フジロックで鮮烈な印象を残したUKの6人組が待望の再来日
Black Country, New Roadのルーツと今、向かう旅路で待つ永遠
2023.04.14 18:00
2023.04.14 18:00
“トーン・ゴッド”の異名をもつルーク
──ボーカルの振り分けはどういうふうにやっているのかが気になってました。良い曲ばかりだから「自分が歌いたい!」って取り合いにならないんですか?
チャーリー コードやメロディーの元ネタをみんなが持ち寄って、そこから発展させていくんだけど、最初にアイデアを持ってきた人が歌うっていう流れになってる。最初のアイデアを持っている人が感情の表現もうまくできるんじゃないかと思っていて。でもそれも今後変わるかもしれないね。
──「Turbines/Pigs」はメイが作った曲ってことですか?
メイ うん、そう。
──寝る前とか、朝起きたばかりの寝ぼけてまだベッドでごろごろしたい時間にぴったりな曲だと思いました。
メイ ありがとう。私は半分寝ていて半分起きている狭間の状態のときに気づきがあるというか、そういう感覚がすごく素敵だと思っていて。でも起きるともう覚えてない、すべて忘れてしまっている。そういう不思議な感覚はすごく好き。
チャーリー 僕も寝起きの状態が一番いい曲がかけると思って、メモったり、ボイスメモに入れたりしているんだけど。フフフフフン〜♪って鼻歌みたいなのしかできない(笑)。
──そういう感覚で作った曲だったんですか?
メイ 「Turbines/Pigs」を作った時はばっちり起きてた(笑)。
──そういえば、去年のフジロックではメイがこの曲を演奏しているとき、他のみんなは座っていましたね。
チャーリー いつからやり始めたのか覚えてないんですけど、あれは毎回やっていて。
メイ 休憩(笑)。
──僕はフジロックで一番印象的だったのがその場面でした。
チャーリー そういう見せ方のアイデアも、もっといろいろ出したいね。
──そもそも音楽って激しい曲だから乗らないといけないとか、悲しいバラードだからしんみりしないといけないとかは無いし。「自由にやっていいんだよ。演者の俺たちが座って聴いてるんだから」みたいな思いを感じることができて本当に嬉しかったです。
ルーク うん、そう思うよ。
──あと、「The Wrong Trousers」って変わったタイトルの曲だと思ったんですが、誰のトラウザーの話なんですか?
チャーリー ああ(笑)。それは『ウォレスとグルミット』っていうクレイアニメのタイトルから取ったんだ。「Wrong Trousers」っていう名前の響きが面白いなと思っていたときに、ちょうどルイスが書いた曲に「Trousers」っていう言葉が入ってたからこのタイトルにしたんだ。僕らはアルバムごとに身につけるものの言葉を入れていて、1stアルバムではサングラス、2ndアルバムではバスケットボールシューズ、今回はこのトラウザーズ、次はポンチョになる予定だよ。
ルーク いろいろなアイテムを出し切ったとき、たぶんBCNRは終わる(笑)。まだまだアクセサリーとかたくさんあるんだけどね。
──そうなんだ(笑)。「Laughing Song」はチャーリーのフロアタムの刻みや重いビートが素晴らしいと思ったのですが、ああいうヘビーな音楽も好きなんですか?
チャーリー ヘビーな楽曲も好きだよ。メタルとは違う、ポストロックとかそっち寄りの方が。スティーヴ・アルビニがプロデュースするスネアのサウンドも張りがあるし、スリントの『スパイダーランド』やPJハーヴェイの1stアルバム、あとアメリカ中西部のエモのドラムもクリーンで、ダサいから逆に好き。今後ちょっとダサいやつもBCNRに入れていきたいね。
──それは楽しみですね。ルークのギターは、アルペジオのセンスもそうですが、全曲通してライブアルバムにも関わらず出音が本当に良くてびっくりしました。
メイ それはトーン・ゴッド(トーンの神様)だから。
ルーク 実はあの音に満足してないんだ。3公演やったんだけど、スタジオでやるみたいに音を録りながら聞き返すことができなかったから。レコーディングする人とも初めての仕事だったから技術的な問題もあって、色々納得いってない部分はあるので次の作品ではもっと納得いくようにしたいと思ってるよ。
──メンバーから「トーン・ゴッド」って言われてるのやばいですね(笑)。
ルーク ライブで一番前にいたお客さんに言われたんだ。それからメンバー内で盛り上がっちゃって(笑)。
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