2023.04.08 18:00
「矢吹奈子 卒業コンサート〜未来への翼〜」2023年4月1日 夜公演より
2023.04.08 18:00
HKT48のメンバーとして10年間活動してきた矢吹奈子が、4月1日(土)に横浜・パシフィコ横浜国立大ホールで行われたワンマンライブ『矢吹奈子 卒業コンサート〜未来への翼〜』を持ってグループを卒業した。
矢吹は2013年8月にHKT48第3期生オーディションに合格。当時は小学6年生の12歳というフレッシュさ。翌年の2014年には早くも正規メンバーに昇格し、3rdシングル『桜、みんなで食べた』で初の選抜メンバー入りするなるなど加入初期から活躍してきた。同期で同学年の田中美久とは、なこみくの愛称でファンに親しまれ、2018年の11thシングル『早送りカレンダー』ではダブルセンターを務めたりとまさに盟友と言った関係性を築き上げてきた。また矢吹は選抜総選挙でも躍進し、日韓共同プロジェクト「PRODUCE 48」から誕生したIZ*ONEのメンバーとしてもワールドワイドに活躍。2021年にHKT48での活動を再開したあとは、2022年の15thシングル『ビーサンはなぜなくなるのか?』で初単独センターを務めるなど彼女は長きに渡ってHKT48の人気を牽引してきた。グループにとって大きな存在である矢吹の卒業コンサートでは、HKT48での10年間を総ざらいし、未来へ羽ばたいていくエモさと感動が詰まったステージが繰り広げられた。
超満員の会場にovertureが流れ、ファンの歓声が響く中、矢吹の卒業シングルでHKT48の最新シングル「君はもっとできる」からライブはスタートした。ステージ上段に立つ矢吹は、LEDビジョンに映し出された巨大な白い羽根を背負い、晴れやかな笑顔で前に進んでいく思いを歌唱。彼女をバックアップするように、メンバーは下のステージで力強いパフォーマンスを見せる。メンバーと合流した矢吹は、「ビーサンはなぜなくなるのか?」「突然 Do love me!」「ウィンクは3回」を連続で披露し会場のテンションをグングン上昇させた。
MCタイムでは、矢吹が「この日が早く来て欲しいけど来て欲しくないと思ってたから、なんかほんとに来ちゃったんだなっていう気持ちです」「今日はみなさんの顔を見て、しっかり覚えて帰ろうと思います!」とライブの意気込みを語る。そして矢吹は、「私たちは、おばけを倒す軍隊だ!」と懐かしい彼女のキャッチフレーズを叫び、ファンは「オー!!」の大歓声で応えた。
ライブに戻ると、これまでの彼女の歴史を振り返るようなセットリストが続いていく。渡辺美優紀の「わるきー」をカバーした「やぶきー」を小悪魔感たっぷりに歌い、ももいろクローバーZの「行くぜっ!怪盗少女」では大サビでエビ反りハイジャンプをばっちり決める。4期生とドラフト生とともに「Seventeen」を披露したあとは、研究生の梁瀬鈴雅のピアノ演奏でバラード曲「月と水鏡」を感情を込めて歌唱した。
ここで、研究生の小学生メンバーの安井妃奈と猪原絆愛が、かつてのなこみくのケンカを再現した小芝居を行う。会場内が笑いに包まれると、当時と同じやんちゃキッズな衣装を着たなこみくが登場し「生意気リップス」を元気に歌唱する。矢吹と田中美久の小生意気でかわいいパフォーマンスにファンも大熱狂。手繋いでステージを後にする2人の後ろ姿に、全観客がグッときたことは間違いないだろう。
怒涛のライブはまだまだ続く。矢吹は、昨年5月に加入した6期生と「Make noise」でバキバキのダンスパフォーマンスを見せ、チームKIVと「夏の前」、チームHと「アイドルの王者」を披露。そして、選抜総選挙で初の選抜入りしたときの「センチメンタルトレイン」を切なさと前向きさを込めて歌唱した。
ライブのエモさのギアは、ここからさらにアップしていく。仲のいい同期メンバーの栗原紗英と山下エミリーの3人で「思い出のほとんど」を披露。友情をテーマにしたバラードを、3人は見つめ合いながら涙混じりの笑顔で歌い、会場から温かい拍手が送られる。そして矢吹は、盟友・田中美久とともに「友達でいられるなら」を歌唱。別々の道に進んでいく思いが込められた楽曲を、田中は震える涙声で歌い、矢吹も耐えられずに涙を流す。田中の「ずっとこれからも友達でいようね」の声に、矢吹は「ずっと友達だよ」と返し2人は強くハグする。青春の断片を凝縮したような美しいシーンに、全ての観客が心からの拍手を2人に送った。
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