秦 基博の楽曲から生まれた映画の撮影秘話を振り返る
⼩川未祐×菊地姫奈×菅⽣新樹×和⽥庵、4人の若手キャストが生きた『イカロス 片羽の街』
2023.03.01 17:00
2023.03.01 17:00
この作品がずっと長く息をし続けてもらえたらいい(⼩川 未祐)
──監督も変に指導しなかったのは、このお二人だったからこそかもしれませんね。
小川 それはありそうですね。監督も菊地さんとお会いしてから、ハナコの方のセリフを菊地さんに寄せて変えたりとかしてたので、本当にこの二人ありきでできるようなものにしようっていう意志もすごい感じました。
──セリフは増えたんですか? 減ったんですか?
菊地 言葉遣いもそうですし、出てくる小物たちとか、そういうのを私に寄せてくださって。食べ物とかもの好きな食べ物で。でも、変な組み合わせで食べたりするところがあるので、そういうところがハナコのちょっと抜けている部分にリンクしてて、いい感じに作ってくださったと思います。
──その変な組み合わせで食べるものとは?
菊地 作中だと、カップラーメンを食べている間に甘いクレープを食べ始めたりとか。
小川 本当にやってる?
菊地 そうですね(笑)。最近一人暮らしを始めて、この前も家に食材が何もないので、冷凍してた白米とチョコレートを食べました。
小川 ちょっと心配ですね(笑)。本当に心配で、ご飯作りに行くから言ってねっていう話をしています(笑)。
──菊地さんからは変な組み合わせをいただいたんで、小川さんの得意料理を教えてもらってもいいですか? 菊地さんに食べさせたい料理。
菊地 作ってもらえるんですか? 嬉しい!
小川 唐揚げいっぱい作りたい(笑)。野菜とかあんまり好きそうじゃないから、山盛りの唐揚げとご飯いっぱい作りたいです。
──ありがとうございます(笑)。そんなお二人のやり取りのイメージとは違って、作品はシリアスな内容だったし、寒かったとおっしゃっていたんですけど、まさに冷えきっている感じ。お二人が演じた役柄の世間に対する失望感も込みで、グレーな空だったりとか、映し方とか、監督のこだわりは撮影の現場で見れましたか?
小川 割と風のように現場にいらっしゃいました。信頼しているスタッフさんたちだったと思うので、監督は本当に楽しそうに。シリアスな感じとは裏腹な感じでした、監督も。こだわりと言ったら、合間に撮るフィルム写真にもすごくこだわっていて。
菊地 確かに(笑)。
小川 映像は「よし、頑張ろう」みたいな感じで、その合間にフィルム写真を撮っていました。
──電話ボックスのシーンや、ジャングルジムの下から狙った画とか、監督もお二人と街を楽しんで撮っている感じがしたからか、美しく感じました。観られたときに、綺麗!ってなりませんでしたか?
菊地 小川さんがすごい綺麗でした。
小川 いや、そんなカタコトで言われたら(笑)。
菊地 (笑)。引き込まれる演技で、私じゃなくてずっと小川さんを見ていました。
小川 お芝居しているときも感じていたんですけど、ハナコが口にする言葉って、普通に暮らしてたら触れないような言葉だったりとか。それを映像にしたときに、言い方が悪いとちょっと嘘っぽくなっちゃったりとか、そうなることがあると思うんですけど。でも、なぜかお芝居していても、彼女の本当の言葉に聞こえるし、映像として見たときもハナコそのままというか。映画にとってかけがえのないものだなと思います。ハナコがハナコでいるっていうことが。
──作品をご覧になられる方に、それぞれメッセージお願いできますでしょうか?
菊地 この作品は自分の中でもすごく思い入れがあって、実際に出来上がった映像を見たときに、自分が今まで目を逸らしていた部分、自分があまり見ようとしてこなかった自分が見れた気がして。今まで気づけなかったところにも改めて気づかされるような、そんな作品になったんじゃないかなと思います。これからご覧になる方々には、是非二人だけの、二人が作る独特の世界観を最後まで楽しんでもらえたらなと思います。
小川 生きていると何かを失うっていうことは誰しも直面する出来事だと思うんですけど、そういうものに直面したときに、この作品とこの楽曲は一度立ち止まって、その悲しみを味わう時間じゃないですけど、ちゃんと自分と向き合って「今は大丈夫だよ」って受け止めてくれるような世界と楽曲だなと思うので、そういうときにふと思い出してもらえるように、この作品がずっと長く息をし続けてもらえたらいいなって思います。
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