ジェームズ・グレイ監督の実体験が元の自伝的物語
アンソニー・ホプキンスとアン・ハサウェイが共演『アルマゲドン・タイム』本予告&ポスター公開
2023.02.17 12:00
(C)2022 Focus Features, LLC.
2023.02.17 12:00
5月12日公開の映画『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』から本予告映像と本ポスタービジュアルが公開された。
本作はジェームズ・グレイ監督の実体験を元にした自伝的物語。故郷ニューヨークを舞台にした5つの映画(『リトル・オデッサ』、『裏切り者』、『アンダーカヴァー』、『トゥー・ラバーズ』、『エヴァの告白』)を撮ったあと、アドベンチャー映画『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』やSF映画『アド・アストラ』で新たなジャンルに挑んだグレイ監督が次に選んだのは、ニューヨークの中でも、彼が実際に育ったクイーンズ区フラッシングの2世帯住宅を思わせる長屋だった。グレイ監督は「ジャングルの映画も宇宙の映画も撮ったことがあるし、そういう経験が好きです。しかしある時点で、無限はある意味、自分の中にあると気づくんです。そして、自分の経験を直接、正直に表現することができれば、それが一番いい。そのために、もう一度自分自身の過去に立ち返ろうと思ったのです。そして、できる限り自分らしいものを作ろうと」とその想いを寄せる。
アン・ハサウェイ、アンソニー・ホプキンスら賞レース常連の豪華キャストが競演。差別と格差が根付く80年代NYを舞台に、多感かつ繊細な12歳の少年ポールが培っていく友情、そして微妙な変化を迎える家族との関係を通して時代を取り巻く理不尽や不公平を浮き彫りにする作品となっている。
1980年代、ニューヨーク。ユダヤ系アメリカ人の中流家庭の末っ子ポール(バンクス・レペタ)は、公立学校に通う12歳。PTA会⻑を務める教育熱心な母エスター(アン・ハサウェイ)、働き者でユーモラスな父アーヴィング(ジェレミー・ストロング)、私立学校に通う優秀な兄テッド(ライアン・セル)と何不自由のない生活を送っていた。しかしポールは、クラス一の問題児である黑人生徒ジョニー(ジェイリン・ウェッブ)と親しくなったことで、複雑な社会情勢が突きつける本当の逆境を知ることになる。あるとき、ポールとジョニーが学校でやらかした些細な悪さが、彼らの平穏な⻘春の日々に大きな波乱をもたらす。その解決しがたい問題に直面したとき、ポールは家族、特に強い絆で結ばれている祖父アーロン(アンソニー・ホプキンス)に頼ることができたが、家庭環境に恵まれないジョニーには支えてくれる大人が誰一人としていなかった。そして、このことが2人の行く末を大きく分けることになる。
解禁された映像は、冷戦の緊張がさらに高まる1980年代当時のアメリカの空気感を象徴するような、レーガン大統領の演説から始まる。続いて映し出されるのは、アメリカン・ドリームに夢を馳せるある一家の日常風景。無邪気に将来の夢を語る子供ポール、無条件で応援する祖父アーロン、そして、そんなどこか呑気な2人に対して小言をいう現実的な母エスターの姿。それはどこにでもある家族の日常風景だったが、ある日親友との些細な“悪さ”がバレたことをきっかけに、これまで当たり前だったポールの日常が少しずつ変化していく。
息子へ過大な期待を寄せ続ける母と、尊大だと思っていた父が漏らす切ない本音、そして、この国と社会で生きていくために“差別”に声を上げられない自分。祖父ポールの願いとともに、少しずつ漏れゆく家族の軋み、ままならない人生の苦みを少しずつポールは受け入れていくことになる。ホプキンスの優しく、そして時には厳しく少年を“正しい道”へと導いていこうとする様子や、ハサウェイのポールを愛するがゆえに過干渉してしまう姿など、名優たちの静かながらも圧倒的な演技が見どころになっている。
併せて公開された本ポスターでは、少年ポールと彼を取り巻く家族や親友との関係が切り取られている。ハサウェイがポールに額を合わせ母の愛を伝える写真や、ホプキンスが孫のポールに語りかける愛にあふれた写真がちぎり絵のようにコラージュされており、ポールとその家族の苦くも愛に溢れた日々の積み重ねをイメージさせている。