2023.01.22 18:00
2023.01.22 18:00
痛がってられないくらい必死でした
──終盤の三元雅芸さん演じる西崎との大立ち回りのシーンはかなり尺も長めにとられてましたが、あのシーンは芝居の息の合わせ方だったり、事前にたっぷり時間をかけられたんですか?
本来やる予定だったと思うんですけど、最終確認のリハ日に足を怪我して救急車で運ばれて、途中で中断しちゃったんです。一番最初のアクションシーンで、ショッピングモールでワーッとやる殺陣を入れている時に、足の指が脱臼して曲がっちゃって。ほぼぶっつけ本番になっちゃいました。立ち回りをやる前に基礎は園村監督に細かく教えてもらっていたので乗り切れました。あとは何より一緒の方々が上手いから、リードしてもらったことも大きいです。
──坂ノ上さん的にはアドリブで食らいついていったんですか?
いえいえ全然、わたしなんかは……。TAK∴さんや三元さん、あと小沢さんはアドリブもやられていましたけど、私はちゃんと教えてもらいました。
──でもすごいリアリティでしたよ! 足を引きずられて助けられるシーンも。擦り傷絶えずっていう感じだったんですか?
ぼろっぼろですね(笑)。園村さんが、アクションのテンポ感も大事だけど型みたいにはしたくなくて、どろんこなケンカをすごく大事にしている方だったので。殺陣はあるけどがむしゃらにやっていました。それこそ、脱臼しているのに足踏まれこともあったし……。「痛い!」ってなりながら、でも、そうも言っていられないくらい本当に必死でした。
──そうですよね。あのリアリティがすごく好きでした。日本古来の任侠映画のスタイルも踏襲しつつ、開港市という街にリアリティを持たせていたというか。(小沢仁志演じる虎田の部下の)熊本、西崎、野原恵の3人のテンポ感も心地よくて、あの3人だけでスピンオフいけると思いました。3人のリードはどなたがとられていたんですか?
(熊本役の)勝矢さんですかね。すごく支えてもらいました。三元さんは、現場に入る前にアクション練習で相手役としてお付き合いいただいていたので、話す機会は多くて。その流れでクランクインできたから普通に話せるくらいにはなっていたんですけど、勝矢さんは衣装合わせであいさつして次お会いしたのが現場だったので、距離を縮められるかなって思ったんですけど、気さくな方だったので「アニキ!」って感じでついていけました。3人で車に乗っているシーンの時も「3人の関係性が見られるのはこのシーンぐらいしかないから」って積極的に意見やアイデアを勝矢さんが先陣を切ってやってくださったからこそ、グルーブ感は出せたんじゃないかなって思います。
──あのシーンがあるからこそ、後半効いてきますね。
役そのままで引っ張ってくれる存在でした。
──恵も2人から愛されるキャラクターでしたもんね。「開港市の悪が当たり前」と染まりきっていないところから、純粋な目線で犯罪に立ち向かっているというか。野原恵のキャラクターの先の成長も見ていきたいなと思いました。
裏テーマだなって思って、現場でも言っていました。個人的には、メインのテーマがありつつ裏テーマは恵の成長だよねって。
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