2022.11.30 18:30
2022.11.30 18:30
なちの歌詞のいいところ(サメの丸揚げを食べながら)
──なちさんの曲があって、それを中心にやっていこうというのはわりとすぐ決まったんですか?
ごうけ そうですね。でもなんか特にこうしていこうみたいなのはなく、それぞれが自分のパートをつけてるし、意見も言ってくれるし。あと家で打ち込みとか、ギターを宅録したりとかで、いい感じになってる。
──なちさんとしては、特に誰に聞かせるでもなく作っていた歌詞とか、初めてつけたメロディがいきなり褒められたわけじゃないですか。
なち はい、信じられなかったですね。歌詞いいねとかメロディいいねとか言ってもらえるんですけど、やっぱり自分が思ったことを書いてやりたいことをやってるから、別に自信がないっていうわけじゃないんですけど、改めて褒められたり共感してもらえると、すごい「ええ?」って感じです。「そうなの?」みたいな。
──歌詞はだいたい実体験なんですか?
なち だいたいそうですね。
──「ジャージ」のジャージを取られたっていうのはどういうことなの?
なち あれは、私ジャージ好きなんですけど、メルカリで緑のジャージを見つけて、コメントつけて値下げしてもらったんですよ。でもその瞬間、違う人に横取りされて。
──あるな、それ。
なち それで悲しくて、曲を書きました。
──メルカリで横取りされたときの歌なんだ。そういう日常の何気ないところから生まれてくるんですね。
なち そうですね。自分の中で書かないと消化できないこととか、たとえば悲しいこととか感謝の気持ちとか、ごめんなさいっていう気持ちとか、自分の中だけで消化できないものを曲にして残せたらいいなって思ってます。
──2人は彼女の書く歌詞のどんなところがいいなと思いますか?
るみなす 等身大というか、普通の人は……。
──なちさんがめっちゃニヤニヤしてる(笑)。
なち 恥ずかしいし、嬉しい(笑)。
るみなす ジャージを取られたとか、スケボー盗まれたとか、他の人も絶対チャリ盗られたとかあると思うんですけど、そこを曲にする人って少ないんじゃないかなと思ってて。失恋ソングだとか応援ソングだとかも作ることはできるけど、なんかその当たり前……。
話を遮るように、店員さんが新しい料理を持ってきてくれた。サメの丸揚げである。お皿にちっちゃなサメが3匹並んでいる。シロザメの赤ちゃんだそう。
ごうけ 赤ちゃん!
なち あ、柔らか! 質感がリアル(※もちろんガチリアルです)。
ごうけ 深海を感じます。
──サメは日本では昔から食べられていますよね。
ごうけ ちっちゃくてかわいい〜。
──「サバがサメを食う」というのはいいですね。
るみなす おいしいんだけど……。
──懸命にハイボールでごまかしてる(笑)。
ごうけ いや、おいしいんだけど、この子の気持ちを考えちゃって。
──それはでも牛だって豚だって一緒だよ。
るみなす そうそう、そんなこと言ったら焼肉行けない。
なち イクラとかも一緒だよ。
ごうけ こうやって命をいただいてるんだね。感謝。
──歌詞の話に戻しましょうか(笑)。
るみなす 歌詞のいいところですよね。なんか普通の日常というか、なちにしか感じられないことじゃないことをあえて曲にするっていうのがすごくいいなって思ってて。だからこそみんなも共感できるのかなって思いました。
──でも「ジャージ」がメルカリのことだとは思わなかった。青春と恋の話だと思ってた。だから日記みたいなことなんですよね、なちさんにとっては。
なち そうですね。
──でもできあがってくる歌詞はそうじゃなくて。「私にこんなことあったんだよ」って知ってほしい感じじゃないのがいいですよね。どうにでも取れるように書くっていう。そこがすばらしいなと思います。
なち サメ、なんか内臓感がすごい。
るみなす わかる。噛んだ瞬間に出てくる感じ。これがアジって言われたら何も思わないけど。
──ごうけさんはなちさんの歌詞についてどんなことを思いますか?
ごうけ わかりやすいなって思います。すごい想像しやすいとか自分に置き換えられるとか。あと具体的っていうのがいいなって。ドラム叩きながら結構想像するんですけど、すごくやりやすいですね。このときなちは本当に楽しかったんだろうなっていうのもわかるし、悔しかったんだろうなとかもわかるし。そういう気持ちになって私も演奏ができるなって思います。
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