Bezzy[ベジー]|「人の魅力」にフォーカスしたエンタメメディア

「人の魅力」にフォーカスしたエンタメメディア

COLUMN

ヒップホップで社会を生き抜く! 第9回

ファレル・ウィリアムスにみる適材適所、3度クビにされたマクドナルドのために果たした大仕事

2022.11.27 16:00

©2022 McDONALD’S / By Frank Schwichtenberg - Own work, CC BY-SA 4.0

2022.11.27 16:00

全ての画像・動画を見る(全2点)

先日、今年で音楽活動30周年を迎えると発表したファレル・ウィリアムス。彼の音楽キャリアは、1992年にリリースされたニューヨークのヒップホップグループWreckx-n-Effectのヒット曲「Rump Shaker」から始まった。彼は当楽曲のプロデューサーであるテディー・ライリーのラップパートを書き、それが彼にとって初の商業的リリースとなった。

その後、チャド・ヒューゴとともにThe Neptunesのメンバーとして一つの時代を作るプロデューサーになり、ヒップホップだけではなく、ポップスターも多くプロデュースした。The Neptunesは1990年代後半から2000年代にかけて、手掛けた曲が24曲Billboard Hot 100にチャートインしており、2000年代前半を象徴するサウンドを作ったと言っても過言ではない。彼らはスヌープ・ドッグ、ブリトニー・スピアーズ、ジャスティン・ティンバーレイク、ジェイ・Zなどのアーティストの楽曲を手掛け、人気プロデューサーとして名を轟かせた。

自身のソロ名義では「Happy」などの大ヒット曲を世に出し、今では世界的に知られているファレル・ウィリアムスであるが、先日Apple Music 1のZane Loweの番組に出演した際に「神が自分に音楽の才能を授けてくれた」とコメントしており、自身の才能を他人に貶させるわけにはいかないと発言していた。ファレルはその「才能」に気がつくことができたので、現在も最高峰のプロデューサーとして活躍しているが、最初から自分の「適材適所」を見つけることができていたわけではない。

マクドナルドとファレル・ウィリアムス

ファレル・ウィリアムスはプロデューサーとして成功する前に、マクドナルドで働いていたとインタビューで明かしている。マクドナルドで働いていた彼は、3つの店舗をクビになった経験があるようだ。彼は「ボスにモップがけなどを頼まれても、店内で流れている音楽にノリノリになって仕事を放棄してしまうんだ」と語っており、マクドナルド3店舗を解雇されたと明かしている。しかし、彼はその後マクドナルドにとって重要な人物になるのだ。

2003年、株価が下がり新しいキャンペーンを模索していたマクドナルドは、世界中の14の広告代理店から新規キャンペーン案を募集した。「ヒップホップの要素を含む」という条件のもと、ドイツの「Heye & Partner」という広告会社がコンペを勝ち取った。そのときに提案されたキャンペーンが、かの有名な「I’m Lovin’ It」であった。ドイツの音楽制作会社Mona Davisが「バラッタッタタ〜I’m Lovin’ It」というジングルを制作し、そのジングルを中心にキャンペーンを打ち出す決断をしたマクドナルドは、ポップカルチャーに根づかせるためにゲリラ的な計画を練る。ラッパーのナズの元マネージャーであり、音楽マーケティング会社の代表であるSteve Stouteの本『The Tanning Of America』によると、マクドナルドの計画は以下のようなものであった。

① マクドナルドの広告ということを伏せた状態でアイコニックなアーティストに「I’m Lovin’ It」というフレーズが入った楽曲を作ってもらう
② マクドナルドの広告キャンペーンが開始される数ヵ月前にその楽曲をリリースし、広告より先に「I’m Lovin’ It」というフレーズをカルチャーに根づかせる

さらに、キャンペーンを開始した後には、ヒップホップの要素を使い、CMでスローガンを使用していく。この壮大な計画を実行するために、マクドナルドは当時NSYNCのメンバーとして絶大な人気を誇っていたジャスティン・ティンバーレイクを起用する。ジャスティン・ティンバーレイクは、ファレル・ウィリアムスとチャド・ヒューゴによるプロデュースのもと、楽曲「I’m Lovin’ It」を制作した。この曲は、マクドナルドの広告につながるということを伏せた状態でラジオに“流出”し、サビで「バラッタッタタ〜I’m Lovin’ It」を連呼することによって“マーケティング・スローガンをマーケティングするための楽曲”になったのだ。

この楽曲を皮切りに、マクドナルドは「I’m Lovin’ It」という広告キャンペーンを2003年の9月に全世界に発表し、ラッパーのプシャ・TがラップするCMも放映された。広告についての情報を発信するAdAgeによると、マクドナルドはキャンペーンを開始した年に、現在の日本円2,000億円ほどの予算をキャンペーンに費やしたようで、「I’m Lovin It」は結果的にマクドナルド最長のキャンペーンになった。マクドナルドを3回解雇されたファレル・ウィリアムスは、マクドナルド最大のキャンペーンの中心部分を担う楽曲のプロデュースを務めたのだ。

全ての画像・動画を見る(全2点)

RANKINGランキング

RELATED TOPICS関連記事

  • 機材や録音環境も拘り抜いたSKY-HIからメッセージも BE:FIRSTが初ベスト盤リード曲でThe Jackson 5の名曲をカバー、先行配信&MV公開決定

    2025.10.14 11:00

    10月29日(水)に発売されるBE:FIRST初のベストアルバム『BE:ST』のリード曲が、The Jackson 5の名曲「I Want You Back」のリメイクカバーに決定した。 ベストアルバムのための新曲として制作された「I Want You Back」のカバーは、SKY-HIとSunnyがプロデュース。ファンキーなベースラインやリズミカルなピアノ、ストリングスのアレンジが印象的なオリジナルにリスペクトを込めつつ、“究極のアナログ・コンソール”と称される伝説的機材Neve 8068を使用し、生バンドでレコーディングを敢行。その音源をサンプリングソースとして取り込み、HIP HOP的に… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2025/10/75557/"></a>

    #BE:FIRST

  • 甘い色使いが印象的な新アーティストビジュアルも公開 乃木坂46が40枚目シングルの選抜メンバー発表、6期生の瀬戸口心月と矢田萌華がWセンターに

    2025.10.20 01:30

    乃木坂46が、11月26日(水)に発売する40枚目シングルの選抜メンバーを発表した。 今作では、今年2月に初お披露目となった6期生から鹿児島県出身の瀬戸口心月と秋田県出身の矢田萌華が初選抜でWセンターに抜擢。レビュラー番組「乃木坂工事中」で放送されたコメントにて、センターを務めることについて矢田は「後輩だからって先輩たちに甘えてばかりじゃだめだと思うので、自分の出来ることを探して、このシングルを通して強くなりたい」と成長への思いを語り、瀬戸口はこれまでの活動を振り返りながら「今はできることは少ないので、萌華と一緒に頑張りたい」と意気込みを語った。 同時に公開された新たなアーティストビジュアルは… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2025/10/75901/"></a>

    #乃木坂46

  • 自身最大ツアーのファイナルシリーズ8公演開催も昨日発表 サバシスター、本日発売アルバム収録曲「ドゥルーピーアイズ」MV公開 メインキャストに小籔千豊

    2025.10.15 20:00

    3ピースガールズバンド・サバシスターが、本日リリースした2ndアルバム『たかがパンクロック!』収録曲である「ドゥルーピーアイズ」のミュージックビデオを公開した。 ミュージックビデオにはメインキャストとしてお笑い芸人の小籔千豊が出演。サバシスターは小籔主催の音楽フェス「KOYABU SONIC」に今年と昨年2年連続で出演している経緯もあり、この度サバシスターからのラブコールに応える形で小籔の出演が実現した。 また、アルバムに新曲として収録されている「ドゥルーピーアイズ」は、相手に打ち明けらずに秘めている想い歌ったラブソング。爽快なリズムに乗せて、切なくもストレートに響くメロディが印象的な楽曲とな… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2025/10/75644/"></a>

    #サバシスター#小籔千豊

  • 児玉裕一が手掛けたCM映像の先行公開スタート 離婚伝説がHonda VEZELのCMに新曲「ファーストキス」書き下ろし、明日配信リリース

    2025.10.23 12:00

    Vo.松田歩、Gt.別府純からなる2人組バンド離婚伝説が、10月24日(金)に新曲「ファーストキス」を配信リリースする。 本楽曲はHonda VEZEL e:HEV RSの新TVCMのために書き下ろされた楽曲で、本田技研工業株式会社(Honda)公式YouTubeチャンネルではCM映像を先行公開中。TVでは本日23日(木)19時以降に放映開始となる。 CM映像は、数多くのCMやMusic Videoを手掛ける映像ディレクター児玉裕一が担当。都市の風景を舞台に、離婚伝説の楽曲とVEZEL e:HEV RSの世界観を合わせた印象的な映像となっている。 「ファーストキス」の演奏には佐野康夫(Dr)、… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2025/10/76043/"></a>

    #離婚伝説

  • 全6形態でプレゼントボックスに囲まれたメンバーを写す 乃木坂46の40thシングル『ビリヤニ』ジャケット公開、コンセプトは冬に合わせた“ホリデーギフト”

    2025.10.29 11:20

    乃木坂46が、11月26日(水)に発売する40枚目シングル『ビリヤニ』のジャケットアートワークを公開した。 11月26日(水)・27日(木)の卒業コンサートをもってグループを卒業する久保史緒里の特別仕様盤を含む全6形態で発売される『ビリヤニ』のアートワークのコンセプトは“ホリデーギフト”。たくさんのプレゼントボックスに囲まれながら、想いが届くようにとギフトの準備をするメンバーが映し出され、ガーリーで可愛いらしい世界観の中にもどこか乃木坂46らしい繊細さや上品さを感じるビジュアルとなっている。今回のクリエイティブディレクション・アートディレクションは、37thシングル『歩道橋』からグループのクリ… <a class="more-link" href="https://bezzy.jp/2025/10/76304/"></a>

    #乃木坂46

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram

COLUMN & SPECIAL連載&特集

ALL SERIES

RANKINGランキング

OFFICIAL SNS

  • Twitter
  • instagram