本間昭光のMUSIC HOSPITAL 第4回 eill
eillと語るアレンジ術、僅かなこだわりが生む芸術性
2022.09.23 17:00
2022.09.23 17:00
日本を代表する音楽プロデューサー、アレンジャーである本間昭光のインタビュー・コラム「本間昭光のMUSIC HOSPITAL」。毎回現代のセルフプロデュースに長けた若手アーティストを本間のプライベートスタジオに招き、世代を超えた音楽談義をお届けします。
今回お迎えするのは、9月7日(水)にEP『プレロマンス / フィナーレ。』をリリースしたeill。同作に収録された2曲は、ともに9月9日(金)公開の劇場版アニメ『夏へのトンネル、さよならの出口。』を彩るべく書き下ろした楽曲だ。今回はその2曲の話題を中心に、「その発想はなかった」と本間も驚いた楽曲アレンジや、eillの楽曲制作スタイルについてトーク。最後にはちょっとした悩みなんかも打ち明けて……?
提供曲でも自分が歌う気持ちで書く(eill)
本間 音楽を始めたきっかけってなんだったんですか?
eill もともとK-POPがすごく好きで韓国のオーディションとかを受けていて、そこからK-POPのもとになっている部分もあるアメリカのポップスを聴くようになりました。それでビヨンセとかの存在を知って。で、お母さんがモータウン(※1)が好きだったので、そこからK-POPとR&Bとポップスが好きになって。
※1…アメリカ合衆国デトロイトが発祥のソウルミュージックやR&Bを中心に据えたレコードレーベル
本間 そこから自分でもやってみたいなという感じ?
eill そうです。それで15歳くらいから曲を作り始めて、19歳のときにSPACE SHOWER MUSICからリリースさせてもらったのをきっかけに、メジャーデビューしてからもずっとここまでやっている感じですね。
本間 楽曲提供もたくさんやってるよね。
eill 最近だとBE:FIRSTやジャニーズWESTにも書かせてもらいました。
本間 音楽作るとき大切にしていることってありますか?
eill 自分で歌うにしろ、誰かに提供するにしろ、自分事として考えるようにしています。フロントマンって顔も名前も前に出るじゃないですか。だからいちばん傷つくし、いちばん幸せを感じると思うんですよ。だから(提供曲でも)自分が歌う気持ちで書くようにしています。
本間 その人の運命が変わる場合もあるし、提供曲はそこを背負うからね。自分の曲を作るときはどう?
eill すごくバランスが難しいなと感じることが最近多いんですけど、自分がいちばん作りたいと思うもの、自分が胸を張って発信したいと思う言葉とか、そこに悔いがないように作るようにしてます。
本間 その時々の人生の切り取りだもんね。
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