2022.09.21 18:00
鈴木真海子、Skaaiとの始まりはセッション
──しゃべっている表情が楽しそうなのを見ると、阿南さんとの出会いが東京に来て一番の出会いというか、今後の起点となるかもしれないですね。ドラムのフレーズも阿南さんが制作に加わったって話だったんですけど、野元さんと2人でやっていったんですか?
野元 今までやらなかったやり方みたいなものを阿南さんは知っていたので、「こういうのもありだな」って感じで、どちらかと言うと先導してくれた感じでした。
──今までやらなかったやり方というのは具体的にはどういう部分ですか?
野元 例えば、ゴーストノートを入れたり。それをすることで、打ち込みでもグルーヴが出る。こういうやり方もあるんだなと思って、勉強になりました。
──真海子さんとSkaaiさんとが今回参加することになったきっかけは何ですか?
荒谷 yonawoの対バンツアーで真海子さんをソロで呼んでいて。その告知というか盛り上げのための合同インスタライブにSkaaiも紹介したいからってノリで呼んで、セッションで仲良くなったのが始まりですね。それが「tokyo」を作ろうってなったきっかけです。
──お互いのバースは分業で作ったんですか?
荒谷 そうですね。初めてラッパーさんを迎えての客演だったので、分かりやすいテーマがあった方が書きやすいだろうなと思って。Skaaiと俺らは最近上京して、真海子さんはずっと東京に住んでいるので、それぞれの東京の捉え方をバースにしたら面白いかなと思って。実は「tokyo」っていうタイトルは仮タイトルだったんですけど、みんなでバースを書いて合わせたらいい感じになったという。
──いい感じどころか、「東京って何でもあるけど何かが足りない」という思いだったり、「失ったものを探し求めるけど東京という街自体にはどこにも無い」って思いだったり、「東京にはそういう閉塞感を感じるけれども、なぜかこの街が好き」みたいな色調が三者三様全て揃ってることに驚きました。その歌詞を最終的にまとめ上げたのは荒谷さん?
荒谷 いや何も触ってないです。
──え!嘘でしょ? それでこんなに揃うんですか!? すげえなあ! これが酒のマジックか(笑)。
一同 (笑)
──てっきり最終的に上がってきた歌詞を荒谷くんが手直しして、揃えたものだと勝手に思ってました。
荒谷 何回かやりとりはしたと思うんですけど、届いたのがすごく良かったし、あとはフックを考えないとって感じでしたね。その時はまだフックができてなくて。
──さっきから話を聞いてると、合気道みたいなバンドですよね。トレンドとは全くその別の見地から音楽を鳴らしてる団体みたいな。押し引きというか、ずっと合気道されっぱなしみたいな感覚があるところが本当に唯一無二と思うところで。曲の細かいところでちょっと聞きたいのが、Skaaiさんのバースの「OK」 という箇所で、薄く拍手が入っているんですが、あれはどこからのアイデアなんですか?
荒谷 多分、Skaaiですね。Skaaiがバースを録っていて、「OK OK」っていうのはデモの段階で入っていたんですけど、「なんか拍手入れたくね?」ってなって。いったん入れてみよっかって本番で入れてみて、結局使いました。
──都会に敗れた人間が自分で自分を鼓舞するという意味での拍手なのか、はたまた諦めの方の「ああもうウケるウケる!」っていう拍手なのかとか、意図を考えちゃうくらい、いい意味で熱を帯びてないというか(笑)。
斉藤 確かに(笑)。盛り上がってはないですよね。
──曲のラストで、ガヤが入って「ふざけだした」とかなんとか言って終わるところとかも、出来上がった音源をそのまま使っている?
斉藤 そうです。マイク1本だけ部屋に立てて、みんなでコーラスを録りました。その時はもうだいぶお酒を飲んでて。
──誰がどのようにふざけ出したのかとか記憶はありますか?
斉藤 俺は覚えてない。
荒谷 みんなもう「やろうやろう」みたいな。メインのボーカルのRECが終わって「思い出作りで、最後なんかやりたいね」って。
斉藤 最初は綺麗にコーラスを録る予定だったんです。それが回してみたら、酔っ払ってるせいでシンバルをガシャーンって倒したりして。そっから何か盛り上がってきちゃって、「もうこれでよくね」みたいな。
──「これでよくね」でこの出来栄えはすごいと思います。「tokyo」のアウトテイク集でミニアルバムができちゃうやつですね。「tokyo(シラフ)」みたいな(笑)。でもyonawoならしっかり売り物になりそうな気がします。
斉藤 確かに面白そうですね。なにかの特典でつけます(笑)。
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