イナズマロック フェス 2022 特集 第1回
西川貴教ロングインタビュー【前編】──イナズマの進化がもたらした変化、滋賀に築き上げたもの
2022.09.10 18:00
2022.09.10 18:00
文化の地産地消を
──滋賀でライブハウスというとB-FLATとか、ですよね?
最近だと滋賀U☆STONEとか。本当にまだまだ、お客様が集まっていただいて新しいアーティストを発掘される、という状況じゃない。だから僕らが次にやっていかなきゃいけないことって意味で、このイベントからネクストブレイクを狙うアーティストをフックアップすることはちょっとずつできるようになって。その次はこの地域から出てくる人が目指すべき場所にすることだったり、地域のみんなが発表の場として出てくれたりするような土壌づくりですかね。
うちの甥っ子と姪っ子とかも、小中学校の頃ダンス一つ習うことや、楽器一つ習うことが地元じゃなかなか難しい。そういった中で地域の皆さんと一緒に「文化の地産地消」を目指していけたらいいと思ってます。イナズマも、現状は既に「イナズマフードGP」っていう前哨イベントがあって、「イナズマロック フェス」があって、時期はちょっと違うんですけど「稲妻イグナイト」っていう音楽花火大会があって、複合的に「イナズマ」の名を冠したイベントを続々と増やしているんですけど、通年を通して、全然違ったターゲットの催し物をこれからどんどん同時多発的に増やしていこうとしてます。「イナズマロック フェス」は屋外ですし、本来若年層の皆さんに楽しんでいただくようなイベントになるんですけど、田舎なんで中高齢者の方も多いんですよ。
──そうですよね。客層は都市型のものとは変わってきますよね。
だから今後はその中高齢者の方にも、「イナズマ」の名を冠したイベントを提供できるような準備をしていたり。あとは琵琶湖の東側のエリアだけじゃなくて、今後は北部や西側でもどんどんイベントの規模を拡大させていきたい。真ん中にでっかい水溜りがあるので(笑)、エリアによって全然文化の流れが違うんですよ。北側は岐阜とか愛知とか東海からの影響が大きい。東側はどんどん新興住宅地っていうか土地開発がどんどん進んでいて、人口増加率もすごく高くて。西側は山を越えると福井ですし、北陸からの影響を受けていて。県庁所在地は宅地や開発が早くに進んでたので、まだまだ手に入れやすい価格の時代に移り住んでこられた方々が軒並み70代を超えてるんですよ。まるごと団地ひとつが高齢化みたいなことになってて。
──新しい若い方々の流入はあまりないんですか?
入ってきてはいるんですけど、東側の方が新幹線も東海道本線も高速道路もあって交通の便が良いのでそっちに。そうすると西側の開発が遅れ気味。逆に言うと西にはその分自然が残ってる。観光地化はまだまだしやすいと思ってて。南部の方は奈良とか山側なので、これはこれで独自の文化になってるから介在しづらかったりしてて。そういう意味でも、それぞれの地域の皆さんにも、我が事として地元のことを考えてもらえるきっかけとして、このイベントがあるようにしていこうとしてる最中って感じかな。
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