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関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ! 第3回

悪者を“軽く”演じるファン・ジョンミンの魅力が爆発『アシュラ』

2022.08.12 12:00

2022.08.12 12:00

韓国映画が世界的に頭ひとつ抜きん出た背景

本作は本当に演技が上手い人たちが集まって「どうだ!」って自分の役柄を全うしながらも「俺の方がすごいぞ」って畳み掛けていく、その演技合戦が魅力の映画ですね。そのやり合う感じをヤン・ウソク監督が引き出している気がするというか、監督のエネルギーを感じる作品です。もちろん、韓国映画特有のバイオレンス描写もすごい。一応韓国って銃社会じゃないから、包丁とか金槌、ハンマーとか斧が良く出てきますよね。そしてやはり、停戦しているとはいえまだ戦争をしている国という背景もある。日本は平和だけど、向こうはいつ開戦してもおかしくないという緊張状態で、2年間の徴兵制度もあります。だからあのキャスト陣はみんな徴兵が終わっている人たちで、だからこそ出せる迫力っていうのかな、とにかく違うよね。

バイオレンスシーンは徴兵時の訓練が生かされているからこその、リアリズムがある。それと韓国の俳優は、とにかく鍛えていますよね。肉体の表現がすごい。

『アシュラ』より(写真:Everett Collection/アフロ)
(C)CJ Entertainment America /Courtesy Everett Collection

それと、韓国はアメリカのことがすごく好きじゃないですか。だからアメリカの真似をよくしていたんですよ。そしてとにかく国が韓国映画産業を盛り上げる気概が強く、韓国の監督人をハリウッドに学ばせに行かせる。それで戻ってきたチームが勉強してきたものを生かした作品づくりをするようになって、今度は逆にハリウッドがそれを真似し始めているくらいですよ。韓国映画はアメリカ映画をすごく研究していますから、カット割がスピーディーなんですよ。日本ってね、いい意味でも悪い意味でも冗長的でね、フィックスのワンカメで長く回すんです。もちろん予算の関係もあると思いますが、それに比べて韓国映画は、アメリカと同じくらいちゃんとカメラの切り替えしができている。日本映画は2、3人で喋っているシーンで、主役が喋る時だけアップになって他の人は背中で喋るみたいな扱いが良くある。しかし韓国映画やアメリカ映画はそこが違って、それぞれの人をしっかり映しますよね。そういう意味で『アシュラ』なんかトリプル主人公だし、3人が主演みたいな映画で、誰が助演かわからなくなる。

韓国は俳優さんも上手いよね。どうやったらあそこまで行くのかな? この前、久々に『仁義なき戦い』を観ましたが、あの頃は日本にもスターがいっぱいいました。輝いていましたよ。最近の邦画は『孤狼の血 LEVEL2』の鈴木亮平くんが凄く良かったので、彼のような良い俳優さんが今後、もっと出てきてくれると嬉しいな。

『アシュラ』を鑑賞する人へ

これはね、ひょっとしたら合わない人がいるかもしれない。あまりにもえげつない作品なので、鑑賞の際は注意してほしいです。もう本当にすごいんですよ。映画の後味は「そういうことか」って、笑っちゃうくらい僕的には良かったです。韓国映画の真髄を見るにはもってこいの映画ですね。

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作品情報

アシュラ

映画『アシュラ』DVDパッケージ

映画『アシュラ』DVDパッケージ

アシュラ

公開年:2016年(韓国)/2017年(日本)
原題:아수라/英題:Asura The City of Madness
上映時間:133分(R15+)
製作国:韓国
配給:CJ Entertainment Japan

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スタッフ&キャスト

監督:キム・ソンス
脚本:キム・ソンス
製作:ハン・ジェドク、カン・ヒョン、キム・ジョンミン
出演者:チョン・ウソン、ファン・ジョンミン、チュ・ジフン、クォク・ドウォン
音楽:イ・ジェジン
撮影:イ・モゲ
編集:キム・サンボム、キム・ジェボム
製作会社:サナイピクチャーズ

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