2022.07.29 12:00
2022.07.29 12:00
肌で感じた香港映画ブームを振り返って
香港映画はそれまでも結構観ているけど、やはり『燃えよドラゴン』が自分の中での火付け役ですね。『怒れ!タイガー』とかも観ました。この映画のラストがね、まあ色々闘うんですよ。そして相手がジャンプしたところを、下から彼の股間を蹴って終わるんですよ。「え〜!?」って思って。すごいなあって(笑)。
でね、ブルース・リーが大ブームになった頃、『ドラゴン危機一髪』など初期の作品が公開されるというので渋谷東急の映画館に観に行きました。ただ、土曜日の初回に行こうとしていたから、「満席になるな、どうしようと」と悩んでいたんです。すると、JRがストライキをやっていて電車が止まったんですよ。そこで僕は友達の自転車借りて、渋谷までガーッと走って。ストのおかげで人が渋谷に来られないから、観られるかもしれないって。到着すると、劇場が人で溢れていた。私鉄が動いていたんですよ。若いから、そういうのわからなくて。「あ〜そうか、東急東横線とか動いていたんだ」ってね。ただ、一番後ろの席で観ることができました。あの、ブームの時って観客の熱量が異常なんですよ。字幕にね、「李 小龍」ってブルース・リーの名前が出るわけです。すると、それだけで東急渋谷の映画館が「うおおお!!!」って拍手喝采になるの。字ですよ?(笑)。 映画が始まると、肉まんを売っているところに悪いやつが急にくるシーンになる。で、そこに「やめろ」ってブルース・リーが出てくると、「うおおお!」ってまた盛り上がるんです。あの、“うねり”。僕はあれを初めて経験してね。あんな情熱の渦の中で映画を観たことがなかったから、とても面白かったです。
ブルース・リーの映画が現代的なのに対し、ジミー・ウォングの映画はもっと古い中国の話で、時代劇的です。大川橋蔵さんの『新吾十番勝負』に香りが似ている。若い時の彼ってハンサムで、顔が美木良介さんに似ているんですよ。ブルース・リーが出てくる前のカンフーブームを作り上げた偉大な人なので、本当に感謝しています。ウォングさん、キャリアの後半になっても悪役として『捜査官X』という作品に出ているんですよ。金城武が警察官役で、ドニー・イェンも最高だったなあ。ウォングは主人公が出てきた村の教主役で、すっごく強いの。とても良い映画でしたね。