PENTAGONからソロへ、2年ぶり日本公演を控えた想いとは
「一緒に自由を感じてほしい」KINOがアーティスト、プロデューサー、実業家として描く人生戦略
2026.03.03 19:00
2026.03.03 19:00
作品から僕の人生が感じられたらいい
──ここからは、現在進行形の曲作りについて伺いたいと思います。ソロ作のクレジットを見ると、共作が多いようですが、今は、どのような曲作りのスタイルなんですか。
曲によるんですけど……、基本的にはまず、作家陣とミーティングをして、「こういう曲を作りたい」というすり合わせをします。その後に一緒にスタジオに入ってスケッチを作ってみます。そのスケッチを元に各人が自分のスタジオでトップライン、歌詞、アレンジと自分の得意分野を分業して、オンラインを介して曲に仕上げていきます。僕はそれをメインプロデューサーとしてコントロールしていく感じですね。

──プロデューサーとして曲作りを指揮していく中で心がけているのは、どんなことでしょう。
普遍的なものを作らずに、新しいことをやっていくということ。そして、トレンディーだけれど、流行そのままではないものを作る……ということかな。
──音楽トレンドを捉えるために、どのようなキャッチアップをしているのでしょう。
まずは、会社の人たちがまとめてくれるレポートを毎週聞いて、勉強します。個人的にハマっているのは、AIを使って調べることですね。僕は毎日、朝10時にカルチャーに関するニュースとトレンドをAIを使ってキャッチアップしています。それはK-POPのことだけではなく、世界の音楽の動向やトレンドなど幅広く。
──そうやってソロアルバムを作っていったんですね。2023年末に個人事務所「NAKED」を設立して以降、2枚のソロアルバムをリリース。アーティストとしてKINOさんが表現していきたい音楽とは?
最初は、カッコいいこともしたかったし、ダンスもしたかったし、バラードもしたかったんですけれど、今は人間カン・ヒョング(本名)の感情を音楽に込めようと思ってやっています。いつか僕が出した作品を全部聞いたときに、僕の人生が感じられたらいいなという想いです。

──では、今まで出した2枚のアルバムが、どのような感情で作られたのか教えてください。
実は、最初の『If this is love, I want a refund』(2024.05.02発売)は、感情よりも音楽的なジャンルやクオリティを重視していたんです。感情よりもサウンド、歌詞のウィットやライム、パフォーマンスに注力しました。
感情を最優先に作った最初のアルバムは、2作目の『EVERYBODY’S GUILTY, BUT NO ONE’S TO BLAME』(2025.10.13発売)です。ここには、僕がこの2年間感じた「悪い感情」を全部詰め込みました。
──なぜ、あえて悪い感情を?
表現しなきゃ、僕は消えてしまうんじゃないかというくらい追い詰められていたというか……。あの頃は、どんどんストレスが大きくなって、大変だったんですよね……。
──音楽で自分の毒を吐いて、悪いところを全部出し切る感覚だった?
はい。そんな感覚でした。
──今も新しい作品を作っていると思うのですが、今はどんな感情で曲を作っているのですか。
今は、もっと自由な感じかな。
──悪いものは全部吐き出したから?
全部は出てないんですよ、人間だからいろいろあるじゃないですか(笑)。以前は悪い感情があっても、それを人に知られないようにしていたけれど、『EVERYBODY’S GUILTY, BUT NO ONE’S TO BLAME』で悪い感情がある自分を認めて、それを受け入れたら、自由になりました。僕はまだ未熟だし、人生にはまだ学ぶことが多い。完璧じゃないってわかっている。それを認められた今は、昔よりも幸せだと感じられるようになりました。
──人間の成長が音楽で感じられるんですね。
そうなんです。本当に不思議ですよね。昔の日記を見たら、今の自分の成長がわかるじゃないですか。僕は自分の音楽を聴くと、そういう感覚になります。
──自分史のような。
はい、歴史ですよね。面白いですね。今、話しながら、改めてそう感じています(笑)

──でもそれって、自分の全てを不特定多数の聴き手に知られてしまうことだと思うのですが。ご自身は、どんな感覚なのでしょう。
恥ずかしくもあり、嬉しくもあり……ですね。僕は、それが人生だと言ったら大げさかもしれないけれど、自分の今の感情を表現することが運命だと思っているんです。
──アーティストの宿命ですね。
はい。そうですね。
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