2026.02.24 19:00
2026.02.24 19:00
藤原が背中で語る希望のメッセージとは
続いて登場する祖父のコーナーも、ゲーム性抜群。生成AIが作成した画像から、曲名を当てるという企画で、おじいちゃん姿の藤原が右往左往しながら頭を捻っている姿を堪能できる。3問全問正解でおじいちゃんの勝利というルールらしいが、大阪公演では全敗。AI特有の解釈によって、まったく答えの予想がつかない問題も多く、おじいちゃん姿の藤原が「わからん!」と頭を抱える姿に、客席は笑いの渦に包まれる。正解が出ても出なくても面白い。そんな企画の絶妙なバランスが、藤原の構成力の高さを感じさせた。

最後に、SNSでもお馴染みのなにふぁむ(なにわ男子のファンネーム)女子・丈子が登場し、作品に華を添える。丈子自身がなにわ男子のファンとして推し活をしているが、彼女もまたライブ配信をしており、複数の視聴者を抱えている。丈子が推す側と推される側の立場を兼ねていることで、彼女の視点を通して、藤原のファンへの感謝と温かな思いが届いてくる構成に、思わずグッとくる。同時に、ファンの応援の声が彼らにきちんと届いているのだと、実感もさせてくれる。彼らを応援することは決して一方通行ではないのだ。
個性豊かな家族(父親は単身赴任中とのこと)が次々登場し、再び小学生の丈一郎の場面へ。藤原が本作に込めたテーマ・家族愛を感じられるハートフルなエンディングを迎える。無垢な彼の笑顔の余韻のせいだろうか。爽やかな春風が吹き抜けたような温かさが胸に残った。
このゲネプロを終えると、彼は翌日の大阪マラソンへ。そして、その翌日には本作の初日を迎えることになる。本作自体も「30歳の挑戦」からスタートした企画だが、藤原はさらに、初日前日のフルマラソン初挑戦という前代未聞のスケジュールに挑む。マラソン挑戦も長らく彼の夢であり、1年以上前から準備してきたという。初のセルフプロデュース公演上演、そして初のフルマラソン挑戦。2つの夢を同時に叶える姿は、ファンにとって希望そのものだろう。「やりたいことは、やればいい」。藤原丈一郎という人は、背中でそう語っているように見えた。

藤原のやりたいことを詰め込んだという本作だが、企画力や構成力も目を見張るものがある。盆が回ることで場面転換をすると同時に、彼が衣裳チェンジで不在の間は趣向を凝らした映像企画が流れる。この映像に登場する人物もあわせると、藤原1人で実に28役も演じているのだとか。1人28役はなかなか聞かない数字である。得意のモノマネも駆使し、膨大な手間ひまをかけて準備されたであろうパロディCMやドラマ予告映像の数々を見ていると、彼が生粋のエンターテイナーであることを感じさせてくれる。
今回の舞台が決まった際、なにわ男子メンバーからはそんなに驚かれなかったのだとか。「いつかやると思っていた」というリアクションが返ってきたそうだが、初めてとは思えないバランス感覚で構成された作品、そしてそれを成立させる藤原の技量の高さを目の当たりにすると、メンバーのそんなリアクションにも納得がいく。メンバーの脳裏には、どんな“ハードワーク”もケロッとした笑顔でパワフルにやり遂げる藤原の姿が見えていたのだろう。
そんななにわ男子は、5周年イヤーのスタートを象徴する10thシングル『HARD WORK』を2月18日に発売。このタイミングで自身の“ハードワーク”を舞台で披露するのが、藤原丈一郎という男なのである。誰かを応援することも、自分が挑戦することも、両方やり遂げたい彼が作り上げた『じょうのにちじょう』。それは家族の温かさ、仲間への愛情、ファンへの感謝。すべてが詰まった、観る人に勇気を与える作品だった。



