2026.02.19 18:00
2026.02.19 18:00
2025年は、中沢元紀にとって多くの人にその名を知ってもらう1年だった。
連続テレビ小説『あんぱん』で、やなせたかしをモデルとした柳井嵩の弟・千尋を好演。戦争により命を散らしたその人生に、全国の視聴者が涙した。
さらに『君の顔では泣けない』『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』と2本の映画に出演。『最後の鑑定人』『ストロボ・エッジ』と出演作が続く25歳の最新作が、ドラマ『ゲームチェンジ』だ。
演じるのは、3年間のニート生活を送る青年・草道蒼太。夢も未来もあきらめてしまった彼の人生が、スマート農業との出会いによって変わっていく。
自身初の連ドラ単独主演。群雄割拠の若手俳優界で、中沢元紀はゲームチェンジャーとなれるのか。勝負の2026年が始まった。

真ん中に立つ覚悟を決めて現場に入れた
──中沢さんにとっては初めての単独主演作となります。やはり特別な気持ちはありますか。
事務所の先輩たちを見ながら、いつか作品の真ん中に立つことを目標にしていたので、やっぱりうれしいです。
──以前、『ひだまりが聴こえる』では小林虎之介さんとW主演という形でした。
虎とは『下剋上球児』から一緒だったので、彼がいてくれるだけで心強かったですし、プレッシャーも責任も半分半分みたいなところがありました。そこから僕も1年かけて朝ドラを経験させていただいて、自分の中で積み重ねてきたものもあった。そういう意味では、普段の僕は自信がないんですけど(笑)、ちゃんと真ん中に立つ覚悟を決めて現場に入ることができたんじゃないかなと思います。
──座長としての中沢さんは、たとえば現場の居方とか、どういうところに気をつけていますか。
役者だけじゃなく、スタッフのみなさんも過ごしやすい、風通しのいい現場にしたいなというのがあって。だから、なるべく自分から積極的に話しかけるようにしていました。
今回、撮影期間は3週間くらいで、それほど長くはなかったんですけど、その分、みっちりスケジュールがつまっていたので、後半になるにつれて体力勝負になってくるだろうなと思ったんですね。だから、とにかくスタッフさんに話しかけて、みんなで一緒に乗り切れたらという気持ちでやっていました。
──イメージ的には、「オラー! 行くぞー!」みたいな座長ではなさそうです。
そうですね。「俺についてこい!」は無理なので(笑)。みんなで手をつないでいきましょうという感じです。
──そういう座長像は、今まで見てきた先輩方から影響を受けている部分はありますか。
先輩方の過ごし方は本当にみなさんそれぞれ違っていて、どの方も尊敬できる座長でした。その中でも僕の方向性にいちばん合っているなと思ったのは、『あんぱん』でご一緒した北村匠海さん。匠海さんもいわゆる俺についてこいという方ではなくて。どちらかと言うと、縁の下の力持ちタイプ。そこは自分に近いなと思って、参考にさせていただきました。
やっぱり撮影ってスケジュールが押してくると疲れもたまってくるし空気もピリピリしてくる。もちろん多少の緊張感が必要な場面はありますが、今回は特に若い世代が多かったからこそ、なるべくそういうときに僕から話しかけにいくことで、雰囲気がほぐれればいいなと考えていました。

──確かに。中沢さんがいるとなごみそうです。
そうですね、基本的にこの感じでした(と、ほわほわとした笑顔を浮かべる)。作品の雰囲気にも合ってると思いますし、僕のこの感じが今回はいい方向に働いてくれたんじゃないかなと思います。
──役についても聞いていきます。今回演じた蒼太は、3年間のニート生活を経て、社会復帰を果たすことになった青年です。1話を観る限り、ちょっと生命力の低そうなイメージを受けましたが、どういうトーンで演じていこうとプランを立てましたか。
蒼太は、人生一時停止中の男の子。この瞬間さえ良ければいいと思って生きてきたので、そういう雰囲気を特に1〜2話では出せればいいなと考えていました。そこから犬山家にお世話になるんですけど、蒼太以外みんなキャラの濃い人たちばかりなので、とにかく僕はみなさんのお芝居を受けることを意識しようと。目の前のお芝居に素直に反応することを大切にしつつ、テンションの塩梅はこのシーンはこんな感じでいいかなってその都度考えながら試していきました。

──中沢さんは、すごく丁寧に役づくりをする俳優さんという印象があります。以前、『ひだまりが聴こえる』をやったときにまばたきの速度まで意識していたとお話しされているのを読んで、そんなところまで考えるんだとびっくりしました。
『ひだまり〜』に関しては原作もあったので、その雰囲気を大切にしたくて。航平も陰か陽かで言うと陰の男の子。それがこんなふうにまばたきしてたらおかしいじゃないですか(と、突然高速でまばたきをする)。
──そう言われるとそうですね(笑)。
僕の中で、航平はゆっくり時が流れているイメージがあったので、動きもゆっくりを意識していました。そこで言うと、蒼太はゆっくりというより、時が止まっているというイメージのほうが近いかな。姿勢も猫背にして。まあ僕は普段から猫背なんですけど(笑)。あとは、あんまり人と目を合わさないんじゃないかなとか。会社の先輩とばったり会ったときも、ちょっと逃げるような目の動きにして、トラウマから逃げている蒼太の心情を表現できたらいいなと思いました。

──『あんぱん』『WIND BREAKER / ウィンドブレイカー』と体格のいい役が続きました。そこからまた戻していくのも大変だったでしょうね。
そうですね。『ゲームチェンジ』の前に『ストロボ・エッジ』と『最後の鑑定人』があって。特に『ストロボ・エッジ』のときは頑張って落とそうとしたんですけど、その前に8kgくらいガッと上げたのもあって、なかなか落ちきらなくて難しかったです。
──今はもう完全に元通りに?
今、『シッダールタ』という舞台をやってるんですけど(取材は昨年12月に実施)、舞台セットが傾斜がかかっていて、それを登ったり降りたりするんですよ。おかげで勝手に筋肉がついちゃって。観に来てくれた知り合いから「絶対鍛えたでしょ」ってよく言われたんですけど、本当に今は全然何もやっていないんです。
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