初上演の日本版が教えてくれる“ミュージカルの本質”とは
名作映画のときめきを“いまの日本”で更新する、星風まどか×城田優共演『PRETTY WOMAN』開幕
2026.01.22 20:30
2026.01.22 20:30
日本版初演となるミュージカル『PRETTY WOMAN The Musical』が、1月22日(木)に東京・東急シアターオーブにて開幕。初日を前にゲネプロと初日前会見が実施された。映画で親しんだ物語が、いまの日本でどう立ち上がるのか。その答えを確かめることになったゲネプロ公演。Wキャストのうち、ヴィヴィアン役を星風まどか、キット役をエリアンナ、ハッピーマン役をspiが演じたゲネプロの様子をレポートする。
本作は1990年公開の映画『プリティ・ウーマン』のミュージカル版として、シカゴにて2017年に初演が上演。その後、2024年には東京と大阪にて初の来日公演が上演されたのも、多くのミュージカルファン、原作ファンにとって記憶に新しいだろう。そして2026年、満を持しての日本版オリジナルキャストでの初演が上演される運びとなった。

ハリウッドの路上で、親友のキット(エリアンナ、石田ニコルのWキャスト)と一緒にコールガールとして働くヴィヴィアン(星風まどか、田村芽実のWキャスト)は、通りで迷子になっているエドワード(城田優)と出会う。道案内をしてくれたヴィヴィアンの自由奔放な姿に興味を引かれたエドワードは、彼女を一晩買うと共に、彼女に6日間の仕事を依頼する。期間限定のパートナーとして一緒に過ごし始めた2人。お互い仕事として割り切った関係だったはずの2人は、次第に惹かれ合っていき……。
「開幕5秒で観に来てよかったと思わせます」とは、ハッピーマン役のspiの会見での言葉。ハッピーマンが観客をハリウッドへと誘うゴキゲンなナンバー「WELCOME TO HOLLYWOOD」と共に、あとはただただ、プリティ・ウーマン=“かわいいヴィヴィアン”に骨抜きにされる時間が、極上のときめきを運んできてくれた。

先入観をやさしく裏切る、星風まどかのヴィヴィアン
映画版はリチャード・ギア&ジュリア・ロバーツ主演で大ヒット。彼女の出世作として、また、ラブコメの金字塔としてあまりに有名な作品だ。身分違いの恋の成就を描くだけでなく、その先にある“なりたい自分”を選び取っていく“現代版シンデレラ・ストーリー”であり、ときめきと同時に、ある種のたくましさも感じさせてくれるのが魅力である。
映画でもロバーツの魅力が作品の魅力に直結したように、ミュージカルでもヴィヴィアンの魅力というのは作品の出来を左右するといっても過言ではないほど重要な要素だ。観劇したゲネプロでは、元宝塚歌劇団花組・宙組トップ娘役を務めた星風まどかがヴィヴィアンを演じた。キービジュアルでは星風がエドワードに出会ってからの上品に着飾ったヴィヴィアン、田村が彼に出会った当時の誘惑的なヴィヴィアンの姿をしていたが、そのイメージと星風自身の上品で凛とした佇まいも相まって、正直、幕が上がるまで星風のコールガール役というのが想像できなかった。

しかし、ステージ上にいたのは、たしかに夜の香りと打算と、わずかばかりの諦観をまとうヴィヴィアンそのものだった。宝塚時代の彼女は相手役に寄り添う柔軟性の高さが際立ち、退団後に出演した『ニュージーズ』や『マリー・キュリー』といったミュージカル作品では芯の強さが目を引いた。ヴィヴィアンはそれらの役ともまた違う、時代や環境に流されながらも、自分らしく生きたいという願いを胸に秘めたイマドキの女性。等身大で共感できる一面を見せたかと思えば、星が飛び散りそうなほどのまばゆい存在感でエドワードの心にするりと入り込む。ピュアと魔性という相反する要素が、これほど自然体で両立するものなのかと驚かされた。ナンバーを重ねるごとにエドワードへの感情が動いていくヴィヴィアンの姿に、星風に対する先入観が心地よく裏切られていく。その体験は、もしかしたらエドワードから見たヴィヴィアンの魅力の変遷に近しいのかもしれない。

一方、もう1人のヴィヴィアン役である田村は、演出・振付を手掛けるジェリー・ミッチェル氏とは『キンキーブーツ』でも一緒に作品づくりをしている。ジェリー作品をすでに経験している、爆発的なパワーを持つ田村が作り上げたヴィヴィアン像にも俄然興味が湧いた。同じ役でも、まったく異なる温度感のヴィヴィアンが立ち上がることだろう。
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