映画『(LOVE SONG)』出演の感想、俳優業に抱く思いとは
私には夢という“生き甲斐”がある。齊藤京子を強くする「運命」への向き合い方
2025.11.05 18:00
2025.11.05 18:00
作品に出ている時は、役を全うしているから私じゃない
──齊藤さんは運命を信じますか。
はい、信じます。
──運命を手繰り寄せるために、何か心がけていることはありますか。
運命って手繰り寄せるものなのかな、っていうのがあって。ばったり出会ったものや人が運命だと思うから、自分で努力して運命を手繰り寄せるっていうのは、感覚的にちょっと遠いかもしれないです。それこそ日向坂46があって今があるから、その時に受けたオーディションは運命だなって思うけど、自分が何か努力したというより、なんとなく雑誌を読んで「あ、これ受けてみようかな」と思ったので。

──なるほど。その時、その瞬間の出会いやチャンスに行動を起こしてきた、ということですか。
そうですね。お店とかも、なんとなくフラッと入ったところがすごく良かったら「ここ好き!」ってなるし、手繰り寄せるというよりは、急に現れる、自然発生的な出会いに運命を感じますね。
──日向坂46時代、早くから演技の仕事に挑まれてました。それはどういう経緯だったんですか。
それも「こういうお仕事あるけどどう?」ってお話をいただいて、挑戦させていただいた流れですね。
──初主演ドラマ『泥濘の食卓』や今後公開される『恋愛裁判』など、「これやっていいんだ」と驚く作品にも挑まれていて。グループ時代から新しい道を切り開いている印象があるのですが、やり甲斐や使命感など感じているのでしょうか。
確かに、元アイドルが“アイドルの恋愛禁止”がテーマの映画だったり、アイドル活動中に不倫のドラマに出たりというのは、そこだけ切り取るとすごく衝撃的ではあるんですけど、でも作品に出ている時は私ではなくて。その役を全うしているし、監督やプロデューサーの方と話し合って作品づくりをしています。

──それは俳優というお仕事の、自分じゃない人間になれるところに面白さを感じているから?
そうですね。お芝居をすることに対して楽しいって思うし、もっと勉強したいと思います。自分とかけ離れたキャラクターでもやりにくさはあまり感じなくて、原作がある作品なら、その子になりきろうと原作を学ぶことも俳優業の楽しみ方の一つだと思いますね。
──演じたヒカリは、いわゆる男前なキャラクターでした。男前といえば、先日テレビで佐々木美玲さんが、日向坂46時代にバスで泣いていたら前に座っていた齊藤さんが振り返らずにティッシュを差し出してくれたというエピソードを話されていました。あの話はまんま事実ですか。
はい、事実です。

──齊藤さんには、これまで誰かにしてもらって男前だと思ったエピソードはありますか。
なんだろう……私は落ち込んだり、誰にも言えないことを母には言えるので母ですかね。母は全部それを受け止めてくれるし、ただ聞いてくれるだけの時もあるし、改善策を考えてくれる時もあって。頼もしいし、かっこよさもあるし優しいし、さすが母だなって思います。
──今も悔しくて泣いてしまう時はありますか。
たまにありますね。どうしようもなく悔しいことはあるので、それに直面した時は涙が出たりするんですけど、基本的に泣いたりするのはあんまり好きじゃないので極力涙は流さないようにしようと思っています。なので、こらえてはいるんですけど……それでも耐えられない時はあります。
──じゃあバスでの行動は、もし自分だったら見られたくないな……みたいな気持ちからだったんでしょうか。
いや、それは後ろで泣いていることに音で気づいて。「どうしたの?」とか「大丈夫?」って聞くより、そっとしてほしい時ってあるじゃないですか。話しかけられたほうが泣いちゃうみたいなこともあるし。ティッシュだけ渡すのが最善策だと思いました。

──齊藤さんなら、そんな時どう接してほしいですか。
時と場合によりますね。涙ってちょっとかまってほしさもありませんか? 一人で涙が流れる時もあるけど、「どうしたの?」って誰かに話を聞いてほしいときもあると思うんですよね。なのでやっぱり話しかけてほしいほうが強いのかなぁ……。でも、たとえば「大丈夫?」って言われても、大丈夫って言えないから泣いてるのに……って思っちゃうので。優しさは感じるけど、「大丈夫?」だけでそっとされるよりは「これどうすればよかったと思う?」とか、前に進めるような会話ができたらいいですね。
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