映画『ミーツ・ザ・ワールド』での出会いや日々の素顔に迫る
杉咲花と南琴奈はどうして惹かれ合った?正反対の2人に共通する“運命の導き方”
2025.10.27 18:00
2025.10.27 18:00
たった一人との出会いが、人生を変えることがある。10月24日より公開中の映画『ミーツ・ザ・ワールド』は、自分の世界に閉じこもっていた主人公が、出会いによって新しい世界の扉を開ける物語だ。
擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」に全力で愛を注ぎながらも、自分のことは好きになれない主人公・由嘉里を杉咲花。歌舞伎町で酔い潰れていた由嘉里を助けたことから一緒に暮らしはじめる希死念慮を抱えるキャバ嬢・ライを南琴奈が演じる。
杉咲花と南琴奈。二人もまた、お互いの人生を変えるような出会いだった。誰かと生きていくことも、一人で生きていくことも難しいこの世界で、由嘉里とライの物語はどんな光を照らしてくれるだろうか。

琴奈とだったら予期していなかったことが起こる気がした
──南さんはオーディションを経てライ役を射止めたそうですが、そのオーディションの最終面接に杉咲さんも立ち会われていたとか。
南 いらっしゃるとはお聞きしてなくて。「え?」って綺麗な二度見をしました(笑)。
杉咲 あはは。
南 びっくりしましたけど、同時にお会いできたことがすごくうれしかったですね。
杉咲 琴奈の反応を見てなんだかうれしかったです(笑)。知ってくれてるんだ、よかったって。
南 そんなこと考えていたんですか(笑)。
杉咲 うん(笑)。オーディションのときは事前に台本をもらってたの?
南 はい。ただ花ちゃんの名前は台本に載ってなかったんです。だから、本当に何も知らないまま行ったので、余計にびっくりしました。
──オーディションでは、ライが由嘉里にメイクをするシーンを演じられたそうですね。
杉咲 私にとってあのオーディションは、ライさんに出会いに行くと同時に、由嘉里のことを探す時間でもありました。そんな中、目の前に琴奈が現れて。佇まいから、なんだか気負っていない感じがしたんですね。そこがすごく魅力的でした。
南 花ちゃんのことは、ずっと前からドラマや映画で観ていて。だから、目の前に花ちゃんがいるという状況が不思議だったし、一緒にお芝居ができるなんて、こんな贅沢な機会は二度とないぞという気持ちでした。
杉咲 メイクをしてもらっている最中に、琴奈の手が私の髪にふれたんです。その所作と艶っぽさになんだか動揺してしまって、思わず台詞を飛ばしてしまって。
南 花ちゃんの前髪がちょっと目にかかる感じで垂れていたんですよね。それをかき上げようとしたんですけど、普通、人に触れるのって躊躇があるものなのに、まったくそういう感じがなくて、完全に無意識。お芝居の中とはいえ、自分でも不思議でした。
杉咲 そのシーンをやって、琴奈と一緒だったら自分の想像から遠く離れたところへ映画としても着地できるのではないかという予感がした。鮮烈な出会いでした。

──実際に撮影に入ってみてからの日々はいかがでしたか。
杉咲 由嘉里がライさんに惹かれていったように、私も琴奈の演じるライさんに魅了される日々でした。映画の中で、(ライの元恋人である)藤治さんと電話をしている最中に、由嘉里にしか見えないライさんが現れるというシーンがあって。そのシーンを撮ったときに、どうしようもなく心が突き動かされたんです。ただ琴奈の顔を見ただけで安心する自分がいて。もう一度、ライさんと過ごした日々に戻れないかなと本気で願った。琴奈の顔を見るまで、こんな感情になるなんて自分でも予想していなくて。ライさんという存在が、由嘉里の中でどれだけ大きな存在になっていたのかを、改めて実感した瞬間でした。
南 そのシーンを撮ったのが、ちょっと久しぶりだったんですね。
杉咲 そうだった。

南 撮影が2週間くらい空いて。花ちゃんと会うのも久しぶりという感じで。それがちょっと役の感じとシンクロしたのかもしれない。私も花ちゃんの顔を見て胸が熱くなったというか、血流がのぼってくるのを感じました。
杉咲 なつかしいね。
南 とにかく私は花ちゃんが由嘉里としてそばにいてくれることに安心感がありました。現場での立ち居振る舞いから役に対する愛まで、すごいなと思うことばかりで、いろんなことを学ばせてもらっていましたし、花ちゃんの大きな背中をずっといちばん近くから見ていた日々でしたね。
次のページ
