2025.10.10 19:00
2025.10.10 19:00
自分でも泥臭いイメージが合っていると思う
──8月にリリースされたばかりの最新ミニアルバム『Roots』もセルフプロデュース作品ですが、7曲すべて違った曲調でバラエティ豊かですよね。
ありがとうございます! 声優だからこそできるアーティスト活動は何かを考えるなかで、楽曲によって声音や表現の仕方を変えて歌うのが面白いのではないかと感じているので、幅広い表現を見せられるように、あえて色々なジャンルに挑戦しました。おそらく、多くの方が『ラブライブ!スーパースター!!』の葉月 恋役を通して私のことを知ってくださったと思うのですが、そこから青山なぎさ自身の歌を届けるとなった時に、ファンの皆さんはどんな音楽が好きで、どんなものを求めてくださっているのか。モニタリングじゃないですけど、色んなジャンルにトライすることでファンの方に響きやすいものや自分が好きなものを見つけていくのもいいですし、あえて絞らずにあらゆるジャンルに挑戦していくのも面白いかなと思っています。

──現時点でファンの方からの反応・反響や自分の中で手応えを感じる楽曲はありますか?
それで言うと1stアルバム『解放』に収録している「Voice」という楽曲になります。この曲はバチバチのロック調で、自分の中でもこだわりを持って制作したものなのですが、昨年11月に開催した1st LIVE「KAIHOU」で披露した時に、ファンの方たちのコール&レスポンスがすごくて、CD音源とはまったく違った雰囲気の盛り上がり方をしたんです。その後も「ああいう曲をもっと増やしてほしい」という感想をたくさんいただいたので、であれば今回のミニアルバムのリード曲もコール&レスポンスのできる曲にしようと思い、サビに“Wow wow wow”という一度聴けば誰でも歌えるフレーズの入っている「夏の夢」をリード曲に選びました。
──早くも前作やライブの成果を踏まえて制作した楽曲だったんですね。今作『Roots』の収録曲はすべて青山さんご自身のルーツに繋がるモチーフがあるとのことですが、「夏の夢」はどんなテーマで制作したのでしょうか。
この曲は高校時代のバレーボール部での経験を歌詞に反映しています。先ほどもお話した通り、私は高校1年生でバレーボールを始めたのですが、周りの子たちは小学生からバレーボールをやっているような経験者ばかりで、高1から始めた私がレギュラーになれるわけもなく。でも、辞めたくないし諦めたくない、「いつか絶対に試合に出る!」という一心で、毎日練習していたんです。結果、3年生の夏の最後の試合でリベロとして出場させてもらって、相手は都大会で優勝しているような強豪チームだったのですが、私はその試合で相手校のエースが打つ球を拾ったり活躍することができて、チームのみんなもすごく喜んでくれたんですね。私、あの瞬間が今でも忘れられなくて。
──青春ですね。
監督からも「お前は一番最初に辞めると思ってた」と言われていたんですよね。あの時、本当に辞めなくて良かったなと思ったんです。その夏の思い出をそのまま歌詞にしたのがこの曲になります。
──そのお話を踏まえて歌詞に目を向けると、グッとくるポイントがたくさんあります。“周りを見て悔し涙 唇噛み締め”は、まさに青山さんの当時の心情そのままでしょうし。
そうですね。あの頃はたくさん泣きました。でも、そんな時に部活のメンバーが「大丈夫だよ」と支えてくれたおかげで自分は1人じゃないと思えたし、それこそコーチや色んな方に支えられながら最後の舞台に立たせてもらえた。私だけの努力じゃないという思いから“僕らならいけるんだ”という歌詞を書きました。

──歌詞には“暑さなんて忘れるほど 夢見て がむしゃらなんだ”ともありますが、ここまでのお話を聞いていると青山さんにぴったりの言葉ですね。
自分でも、泥臭いイメージが私には合っているのかなと思っていて。ファンの方からは結構「何でもそつなくこなす子」みたいなイメージを持たれがちなのですが、それは私が普段から苦労を表に出したくない性格で、苦しかったことや辛かったことを誰かに共有せず、自分の中で消化するタイプだから、外からはそう見えているだけなんだと思うんです。それこそ部活でレギュラーを取れなかった話もあまりしてこなかったですし、「バレーボール部でした」までのところでお話を終わらせていた。でも、どちらかと言うとがむしゃらになって自分の手で掴みに行くのが私の性に合っているので、この曲には私の本質的な部分が結構描かれていると思います。
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