この1年間の自己評価は?手応えを確信した『セフ恋』を語る
「やればやるほど成長できるから、これからの自分が楽しみ」山下美月が忙しさに満足しない理由
2025.09.30 18:00
2025.09.30 18:00
山下美月は、日頃から自分のことを「自己評価が低い」と話している。乃木坂46のエースとしてグループを引っ張り、卒業後は映画・ドラマと縦横無尽に活躍。役者として着実に足場を築きながらも、それでもなお彼女はこの1年間ずっと「“自分でいいのかな”という不安と戦っていました」と胸の内を明かす。
だが、決して彼女はただ弱音をこぼして甘えたいだけのネガティブモンスターではない。むしろその逆。どこまでも自分に対して厳しく、ストイック。自信がないからこそ誰よりも努力し、実力を磨いてきた。
自分のことを認められない。だけど、自分のことをあきらめない。走り続ける山下美月の行く先とは。

「恋愛ってこんななのか……!」と思いました(笑)
──Prime Videoで配信中の恋愛考察バラエティ『セフレと恋人の境界線』。3本の短編映画と、それを観たスタジオ出演者のトークが見どころの本作で、山下さんはそのうちの1本である『特別な人』に出演されています。山下さんにとっては、乃木坂46時代の個人PV「わがまま」以来の今泉力哉監督とのお仕事ですね。
今までショートムービーが多かったので、今回のような長めの作品でご一緒できると決まって、撮影前から楽しみでした。今泉さんの作品は普段からよく拝見しています。『特別な人』は、監督だけじゃなく脚本も今泉さん。すごく贅沢な布陣でやらせていただけたことがうれしかったです。
──今泉さんの現場はいかがでしたか。
私がこれまでやらせていただいたラブコメは、どちらかというとThe少女漫画といったキラキラしたものが多かったのですが、今泉さんの作品はミニシアター系の雰囲気が魅力。なので、あまり演じすぎない、役をつくりすぎないという意識で臨みました。一樹とのやりとりもほとんどがワンカットの長回し。その分、生っぽさがあるというか、演じているけど演じてないみたいな絶妙な境界線にいる感じがしました。あまり演じていないと言って、普段からこんな感じだと思われると困りますが(笑)。
──確かに、山下さん演じる川端先輩はなかなかしたたかで駆け引き上手ですからね(笑)。
普段の私は全然真逆なので、とは言いたいです(笑)。
──それにしても、あの長回しはまるで舞台劇を観ているような感覚でした。
もう舞台ですね、完全に。ドラマの場合、スケジュールの都合上、カットを短く切ってつないでいくパターンが多いので、今回みたいにたっぷり時間をとってお芝居ができる環境はものすごく贅沢でした。撮影中は毎日部屋にこもって長回しということが多くて。集中力と体力はいりましたが、だからこそ川端さんと一樹の関係をしっかり描けたのではないかと思います。
──長回しの撮影は本番前に何度かリハーサルを重ねて?
1、2回くらいドライ(リハーサル)をやって、あとは本番ということが多かったです。そこで監督から「ここはもうちょっとこうしてほしい」というニュアンスの要望を受けて、またリトライというのを繰り返していました。

──特に印象的だったシーンはありますか。
キスシーンは事前に時間をかけて準備をしました。今回、インティマシーコーディネーターさんが入ってくださったんです。インティマシーコーディネーターの方とお仕事をするのは初めてで。事前に、肌の露出ならここまでは見せていいけど、ここからは見せたくないといったことを細かく聞いてくださって。現場でも監督のやりたいことを汲んだ上で、じゃあこういう撮り方でやってみましょうというふうに提案をしてくださいました。おかげで現場もスムーズに進行したし、私も安心して撮影に臨むことができました。
── 一樹とのお互いの腹のうちを読み合うようなやりとりが見ていてスリリングで面白かったです。
もう本当に心理戦ですよね(笑)。恋愛の話に見せかけて、お互いに銃を突きつけているような感覚でした。結構バチバチというか。「恋愛ってこんななのか……!」と演じていて思いましたし、みなさんすごく体力のいることをやっているのだなって驚きました(笑)。

──そのバチバチの心理戦をリードしているのが川端先輩ですが、よくよく知っていくとタフそうな川端先輩が意外と自己評価が低かったりするんですよね。
そうなんです。すごく強く見えるけど、ちょっと寂しい人なのかなと思いました。周りからも人気があって、充実した人生を送っていると思われるタイプかもしれないけど、実は本当の愛を知らなくて、そこが切ないですよね。きっと一樹と出会って気づいたことがたくさんあると思う。大人に見えて、意外と子どもなんだなという未熟さが、可愛らしいポイントなのかなと思います。
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