2025.08.29 18:00
2025.08.29 18:00
人は聞いてもらうだけで救われることがある
──受刑者という役柄もあって、ほぼすっぴんのようなメイクが印象的でした。
メイクに関しては(ヘアメイクの田鍋)知佳さんと相談して、極力薄めにしようと決めました。知佳さんとも『春になったら』に続いて2回目なんですけど、知佳さんは毎回台本をしっかり読み込んだ上でメイクも髪型も考えてくださるんですね。それをもとに監督と私と3人で話し合うことで決まっていきました。今回も葉留の心理的な部分に寄り添いながら、イメージを膨らませてくださいました。

──そう考えると、奈緒さんにとって役というのは自分だけでつくるものではなくて、監督やメイクさん、衣装さんと一緒につくるものなんですね。
その想いはすごくあります。なので、こういう場で知佳さんのお話ができることがすごく嬉しくて。作品はみんなで一緒につくるもの。私だけじゃなく、みんながいいねと言ってもらえるのが理想です。衣装もすごいんですよ。あの囚人服は今回のためにつくったものなんです。だから松本さんもとても喜んでらっしゃって、現場でもあの囚人服を着て撮影していました(笑)。
──監督が囚人服を? それは面白い光景ですね(笑)。
そんな松本さんを見ていると、私たちまで嬉しくなるというか。同じ服を着ていることで、一体感を感じられましたし、衣装部さんが作ってくれた衣装を皆で大切にできていることも嬉しかったです。細部まで愛を込めながらの撮影でした。

──改めてですが、奈緒さんにとって「現場」とはどういうものですか。
救いですね。撮影って大変なこともたくさんあるんですけど、現場に救われることもあって。普段の生活の中で落ち込むことがあっても、現場に行くと元気になれる。みんなも頑張ってるんだから私も頑張ろうって、お互いがパワーを送り合いながら作品をつくっている感覚があります。
──救いという言葉が出ましたが、葉留が美容室に訪れた客と髪を切りながら話をするシーンを見て、話を聞いてもらうということがこれほど人にとって救いになるのだなと思い知らされました。
私はもともと人と話をするのが好きなんですね。でも職業柄なのか、どんどん自分の悩みを人に話さなくなっていって。誰にも言えなかった想いが自分の中で溜まって、ちょっとしんどくなった時期がありました。そこから人に話すのって大事だし、話さなければいけないんだと考えを改めて。やっぱり聞いてもらうだけで救いになることってあるんですよね。
たとえば、歌の練習をするときとかも、誰でもいいから誰かに聞いてほしくて。でも、誰にも頼めないときは、うちは魚(うお)という犬を飼ってるんですけど、「魚、見てて」って言って、よく魚に見てもらってます(笑)。やっぱり一人でやるのとは全然違うんですよ。聞いてもらった、というだけで満足できている自分がいたりして。誰かがそばにいてくれるってすごく大事なことだよね、ということをちょうどこの間スタッフさんたちとも話していたところでした。

──という意味では、今、奈緒さんがいちばん正直な気持ちを吐き出せる相手というと。
魚かもしれない。魚はめっちゃ聞いてくれるので。話を遮ったりもせず、たまに首を傾げてますけど(笑)、ちゃんと聞いてくれるから、私も気を遣わずなんでも話せます。
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