広島を舞台に未来を想う映画『惑星ラブソング』の役作り秘話
「楽しみ」だけで行動した方がうまくいく。秋田汐梨おすすめの緊張コントロール法とは?
2025.06.16 18:00
2025.06.16 18:00
綺麗に発音できたのはきっと耳が良いから
──2日前に思いついてそこまで考えているのなら、やはり行動力があると思います。アヤカと似ているぶん、役作りもスムーズでしたか?
英語や広島弁という言語の難しさはありましたが、性格面では共感できる部分が多かったのでそんなに苦労はしなかったです。やったことといえば、台本を読み込むぐらいだったかな。読み込んで、アヤカの心情を理解して、整理してという作業をしました。

──広島弁と英語での演技は初挑戦でしたよね。もともと馴染みはありましたか?
まったくないです。広島弁に関しては、「関西弁と似ているのかな?」というところか始まって色々調べて。京都出身ということもあり、似ている部分もあるなと思っていたので、意外とスムーズにできました。英語は苦戦しましたね。人並み以下の英語力で、まったく話せないんです。ジョン役のチェイス(Chase Ziegler)さんは逆に日本語がまったく話せない方なのですが、曽田(陵介)さんや八嶋(智人)さんは持ち前のコミュニケーション力で言語の壁を超えて会話していらっしゃって。私も喋ろうとするのですが、単語が出てこなくて全然話しかけられない、みたいな(笑)。台本上だけではなく、現場でのコミュニケーションという意味でも大変でした。
──作中では発音が良くて流暢に聴こえたので、意外です。
よく耳が良いねと言っていただけるんです。韓国語は少しだけ話せるのですが、「耳が良いから発音が綺麗だね」と言ってもらえることが多くて。それが活きたのかもしれません。英語の台詞は発音の音源をいただいて、聴きながら覚えていった記憶があります。

──そうだったんですね。曽田さんはわざと日本人英語っぽく喋ってらっしゃったので、秋田さんの流暢な英語との対比が面白かったです。
そうですね。曽田さんは海外に関心がなくて、英語も話せない感じを表現するためにあのような英語にしていたんだと思います。逆にアヤカはアメリカ留学がしたいという気持ちを持っている女の子なので、英語を話せたほうがいいなと思って発音には気を付けて練習していました。
──聞く限り、今回演技の上で苦労したことはあまりなかったのでしょうか。
英語のシーンの演技は苦労しました。台本には英語のセリフと日本語の意味が書かれていたのですが、それをテストのように丸暗記して。でも、本番では英語を話している途中に自分が何を言っているのかわからなくなってしまったんです。覚えた英語を正確に話しながら、言葉の意味も考えながら感情を乗せて演技をするのが大変でした。
逆もそうで、最後に原爆ドームの前でチェイスさんが演じるジョンがたくさんお話するシーンがあるんですけど、めちゃくちゃ長い英語台詞だし大事なことを言っているのですが、英語を聞くことと意味の理解が追い付かなくて……「今、どこまで話した?どこでリアクションするのがいいんだっけ?」となってしまって。台本には日本語が書いてあるので話している内容は理解していたつもりですが、段取りをしてみて「どの英語台詞の後で反応したらいいのか」と相談をした記憶があります。

──たしかに日本語同士で話していると、自然に相槌が生まれますもんね。
そう。それができないんですよ。どこでリアクションを取ったら自然なのかもわからないですし。それが難しかったです。
──まったくそんなふうには見えなかったので驚きです。シーンでいうと曽田さんとチェイスさんと一緒になることが多かったですよね。2人とはどんな話をされたのですか?
曽田さんとチェイスさんは撮影が始まる前に2人で飲みに行ったらしくて。現場でも曽田さんがめちゃめちゃ話しかけているし、チェイスも優しくて温厚な方なので日本語がわからなくても頷きながら聞いていました。3人で話していたときは曽田さんがチェイスに日本語を教えていましたね。
──曽田さんのコミュニケーション能力がすごい!
そうなんです! だから私は基本聞き役でした。英語が喋れないので、喋りたいことを検索しているともう話題が終わってるという(笑)。でもチェイスが翻訳機を通して、日本のおすすめの場所を聞いてくれたりしましたね。私も翻訳機を使って会話をしていました。

──不思議な出来事が起こるシーンもありますが、秋田さんはプライベートで不思議な経験をされたことはありますか?
ある日突然、頼んだ記憶がない宅配便が届きました。
──え、それは大丈夫だったんですか。
当時姉と一緒に住んでいたのですが、調べたら開けた方がいいと出てきて。開けたら医療用マスクとアイドルの方のアクスタが出てきました(笑)。結局管理人さんに言って回収してもらったのですが、不思議というよりも怖い体験でした。
──その後何もなくて何よりです。では最後に、『惑星ラブソング』というタイトルにかけて、秋田さんおすすめのラブソングを1曲教えてください。
宇多田ヒカルさんが大好きで、去年ライブにも行ったので、宇多田さんの曲から選ぼうかな……めっちゃ悩みますが「Letters」にします。まず曲調が好き。不思議なメロディーがあったりするから耳に残るし、生で聴いて、感動してずっと泣いていました。皆さんも思っていると思いますが、何より宇多田さんの声質が素敵。歌詞もいいし、メロディーも素敵だから、失恋した時に聴くとより沁みそう(笑)。

スタイリスト:髙橋美咲(Sadalsuud)
衣装協力:ドレス/KANAKO KAKIMOTO
映画『惑星ラブソング』場面写真 ©︎『惑星ラブソング』製作委員会