広島を舞台に未来を想う映画『惑星ラブソング』の役作り秘話
「楽しみ」だけで行動した方がうまくいく。秋田汐梨おすすめの緊張コントロール法とは?
2025.06.16 18:00
2025.06.16 18:00
時川英之監督の最新作で、6月13日から全国公開された映画『惑星ラブソング』。広島を舞台にアメリカ人観光客と広島の若者が出会い、過去と現在が交錯しながら共に未来を見つめる不思議な物語だ。
ヒロイン・アヤカを演じた秋田汐梨のインタビューは約1年4ヵ月ぶりとなるが、その柔らかなオーラは相変わらず。そして以前より大人びた表情や言葉の端々から、役者としての成長を感じ取ることができた。

参加が決まって広島の歴史を改めて学んだ
──前回取材させていただいてからの約1年4ヵ月、ご自身で成長や変化は実感されていますか。
私生活では、大学も卒業し何かに必要な書類関係も母に聞かずに自分で調べてやれるようになりました(笑)。女優としては今まさに成長したいなと思っていて、日々、色々な年代のドラマや映画を見たりしています。
今までは、映画を観てるって自信を持って言えるほど観ていなかったので、今年は自分としてはめちゃめちゃ観てやるぞって思っています(笑)。大学を卒業して時間ができたので、たくさんの作品に触れて色んな方のお芝居を見て吸収して、成長したいな、と。そう思えるようになっただけでも成長なのかなと思います。
──そんな中、最新出演作『惑星ラブソング』が完成しました。まずは出演が決まった時の心境から聞かせてください。
この作品はオーディションだったので、出演が決まった時は素直に嬉しかったです。私にとってはすごく難しいオーディションで、受かると思っていなくてびっくりもしました。「平和」や「原爆」がテーマになっていると聞いて「重たい作品なのかな?」と思っていましたが、見やすいけれど歴史について考えるきっかけにもなる作品になっていて、多くの人に届いてほしいなと思いながら撮影に臨みました。
──「難しいオーディション」というのは、普段のオーディションとは求められるものが違ったのでしょうか。
ビデオオーディションだったんです。課題の台本のみで、他の情報は何もなかったので、自分なりにそのシーンの意味を想像して、撮っては見返して、また別のパターンで撮ってみて……と何度も繰り返しました。そうやってマネージャーさんと一緒に時間をかけてビデオを撮って、最終的に“これで出そう”と決めて提出したのですが、結局それが正解だったのかわからないままでした。でも受かったので、正解だったと思うことにします(笑)。
──そんなことがあったんですね(笑)。本作は広島の歴史が骨子にありますが、この作品に出会う前、秋田さんは広島の歴史についてどういう考えをお持ちでしたか。
私くらいの年代はみんなそうだと思うのですが、授業で教わった程度の知識しかなくて。私、小学生か中学生くらいの時に、家族旅行で原爆ドームの平和記念資料館を見に行ったことがあるんです。実際の写真を見てショックを受けた印象はあるのですが、深くは考えるまでには至っていませんでした。毎年8月6日に黙祷をして、「何年前の今日、犠牲になられた方がいたんだな」と振り返りつつも、深い知識は持っていなかったというのが正直なところです。

──たしかに「原爆について撮影を通して深く知り、平和について考えるきっかけになった」とコメントをされていますね。
『惑星ラブソング』に参加することが決まってから、もう一度平和記念資料館に足を運んだり、歴史について勉強し直したりしたんです。そこで広島の歴史について改めて学んで。もちろん悲しい過去があったことは事実なのですが、「過去を見る、知るではなく、過去の経験を活かして未来をどう変えるのかをみんなで考えよう」という映画のメッセージを踏まえて、未来に目が向きましたね。
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