2025.06.05 18:30
日向坂46 BRAND NEW LIVE 2025「OVER THE RAINBOW」より(写真:上山陽介)
2025.06.05 18:30
最後の一曲で放たれた強いメッセージとは
後半戦、大きなヤマ場となったのが五期生によるコーナーだ。最新シングル『Love yourself!』収録、初の五期生による楽曲「ジャーマンアイリス」を披露。大野愛実がセンターを務め、ハンドマイクによる五期生の歌声はとてもフレッシュで、この初々しい感じは今しか味わえないものだと思う。この五期生からレインボーカラーをあしらった白のワンピースドレス衣装に。気づけばおひさまが手にするサイリウムも見事な七色が場内を埋め尽くしている。


待ちに待ったコラボレーションでは、四期生による「シーラカンス」には大田美月、大野愛実、片山紗希、高井俐香が、三期生の「パクチー ピーマン グリーンピース」には蔵盛妃那乃、坂井新奈、佐藤優羽が、二期生曲「You’re in my way」には下田衣珠季、鶴崎仁香、松尾桜の五期生がそれぞれ加わっての共演で喝采を浴びた。正源司陽子センターの「シーラカンス」はステージ壇上で歌い踊った彼女たちだが、レインボーのスカートをひらりと翻したり、揺らしているのが実に美しく、ソカビートテイストがユーモラスな「パクチー ピーマン グリーンピース」では山口陽世がセンター。場内のサイリウムがグリーン一色に染まる中、愛らしいダンスを踊る7人。なお“ごめんね”の締めはなんと五期生・佐藤優羽! 山口陽世が奨めたのだそうで、まさかのサプライズとなった。

二期生エース、河田陽菜をセンターにした「You’re in my way」もゴリゴリの重低音がうねるEDMチューンで、ラップ調のリズミカルなヴォーカルパートが聴きどころ。各々、階段セットを交えてローテーションで位置が代わっていくステージングもなんともカラフル! 五期生のMCコーナーでは森本茉莉の仕切りで、高井俐香や佐藤優羽、松尾桜に感想を語らせる。中でも高井俐香が面白かった。“ひだまりのように温かい四期生の先輩方と、儚くて幻想的な「シーラカンス」を一緒にできたことが、かけがえのない思い出になりました”……言いよどみながらも、この文学性を感じるフレーズがパッと出てきたのなら凄い。急とも言える晴れの舞台できっちりと役割を果たした10名。この先の大いなる予告編も見せてくれたような手応えがあった。

カラフルなレーザー演出も際立ったクライマックスは、まず四期生・正源司陽子と藤嶌果歩によるWセンターの「永遠のソフィア」から。四期生・石塚瑶季、清水理央らが切れ味たっぷりのダンスを見せたのを皮切りに、メインステージとセンターステージで分かれたメンバーが、各々ダンスパフォーマンスの応酬を見せるなど、代々木第一体育館のステージが狭く見えてしまうほどの、はじけたステージングでおひさまを煽る、煽る、煽る! 正源司陽子、藤嶌果歩の柔らかな歌声もこの曲ならではだった。

そして一旦メンバーがステージから消えて、フロアを突き動かすかのような重低音と共に、赤のバックスクリーンに黒いシルエットが映し出されたかと思えば、前半のモノトーン衣装の連作と思えるものながらも、それとは違うセットアップドレスを着用した五期生メンバーが再登場。よく見ると坂道シリーズ特有の二等辺三角形を模した何パターンかのデザイン。こうした演出におひさまのボルテージがますます高揚していく中で披露したのは、なんと「絶対的第六感」。大野愛実、松尾桜のWセンター構成で、五期生だけによるパフォーマンスである。随所で“BRAND NEW”な試みが披露されたのが、本公演の楽しみどころだった。

藤嶌果歩センターの「見たことない魔物」では再び四期生メンバーが勢揃い。センターステージも用いた激しいダンスも織り交ぜて、さらにはおひさまによるメンバーコールも満載。会場一体化しての激しい盛り上がりを見せた。そして「君はハニーデュー」で二期〜五期メンバーが同じステージに登場、正源寺陽子がキュートな笑顔でおひさまを煽りながらセンターを飾る。曲中の“おひさま、これからも一緒にいてください!”の言葉も胸に残ったし、それでいて正源寺陽子がウインクをキメた瞬間にキャノン砲から虹色の紙が放たれたのなんてまさに圧巻だった。


続いて五期生がステージから降り、二〜四期選抜メンバーによる「卒業写真だけが知っている」、さらには二〜四期オールメンバーで最新シングル「Love yourself!」を披露。2曲とも再び小坂菜緒をセンターにしてのパフォーマンス。特に「Love yourself!」は“Oh Oh Oh,Yeah,Yeah,Yeah”のシンガロングパートといい、日向坂46の新たなキラーチューンが生まれた印象。メンバーとの絡みやハグ、指先まで美しいキレのあるダンス、そして小坂が締めるところを締めての大団円。“BRAND NEW”な演目を盛り込みつつ、小坂菜緒中心の楽曲でサンドイッチさせることで、安定感も備えた練りに練られたセットリストだったのである。

イベントTシャツに着替えたメンバーが飛び出してきたアンコールでは、まず「愛はこっちのものだ」。一期生が歌っていた楽曲もちゃんと歌い継いでいく、というさりげないメッセージだったと思う。そして最後の最後に用意されていたのは「僕に続け」。キャプテン・髙橋未来虹もラストMCで語っていたが、“どんな困難も 盾になるよ 夢ある者 僕に続け”というこの強いメッセージを、まさにこのタイミングで発することこそ、新体制で動き始めた日向坂46の気持ちそのものだろう。どうしたってこれからも別離だったり予期せぬことだって起きるのかもしれないけれど、いずれにせよ、そうした人の気持ちをも全部受け止めた上で進んでいくんだ!という大きな誓いをして、9月からの全国6都市13公演にわたるツアーに突入していく日向坂46。五期生という頼もしい後輩を獲て、ダンスパフォーマンスという大きな武器に、既存のグループとは違うメッセージを放つ存在へ、また着実に1コマを進めてみせた、記憶に残るステージであった。


セットリスト
日向坂46 BRAND NEW LIVE 2025 「OVER THE RAINBOW」
2025年5月29日(木)
東京都 国立代々木競技場 第一体育館
00. Overture
01. 青春の馬
02. 海風とわがまま
03. 一生一度の夏
04. 真夜中の懺悔大会
05. あの娘にグイグイ
06. あのね そのね
07. どこまでが道なんだ?
08. 月と星が踊るMidnight
09. アザトカワイイ
10. メドレー(キュン/ってか/君しか勝たん)
11. ジャーマンアイリス
12. シーラカンス
13. パクチー ピーマン グリーンピース
14. You’re in my way
15. 永遠のソフィア
16. 絶対的第六感
17. 見たことない魔物
18. 君はハニーデュー
19. 卒業写真だけが知っている
20. Love yourself!
アンコール
EN1. 愛はこっちのものだ
EN2. 僕に続け
セットリストプレイリスト
https://hinatazaka46.lnk.to/20250529