2025.05.26 18:30
2025.05.26 18:30
映画『金子差入店』で記念すべき映画デビューを果たした川口真奈。「第45回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で準グランプリを獲得し、芸能界入り。次世代女優の一角として飛躍を期待される17歳だ。
映画では、母親を殺したヤクザの横川哲(岸谷五朗)に面会を求め拘置所に通い続ける女子高生・二ノ宮佐知を演じた。初演技とは思えない、深い陰影を帯びた表情で観る者を釘付けにした川口だが、素顔は想像以上の天然キャラのようで……。
その才能も、キャラクターも、知れば知るほど底が見えない未完の大器が今、夢へと続く最初の一歩を踏み出した。

子どものときから目立つのは結構好きでした
──まだ取材を受ける機会はそう多くないと思うのですが、どうですか、インタビューされるというのは。
やっぱり自分をさらけ出すのはちょっと恥ずかしい部分もあるんですけど、こうしてみなさんに知っていただけるのはうれしいので、どんどん川口真奈をアピールしていきたいと思っています。
──頼もしいですね。では、川口さんのこと根掘り葉掘り聞かせてください。川口さんは中学3年生のときに「第45回ホリプロタレントスカウトキャラバン(以下、TSC)」で準グランプリを獲得し、芸能界への道を歩みはじめました。もともとこの世界に興味はあったのでしょうか。
私にとってはテレビの向こうの世界という感じで、自分がそこに足を踏み込むことになるなんてまったく想像していなかったんですね。TSCに応募したのも、姉だったんです。でも姉自身も応募したことを忘れていて(笑)。1ヵ月後くらいに予選通過のメールが来て、そこで初めてどうしようかと家族会議を開きました。
──お姉さんが応募されたんですね。
そうです。姉は4つ上で、いつの間にか撮った写真を送っていたので、私もびっくりでした。

──ということは、きっとお姉さんにとって川口さんは可愛くて仕方ない自慢の妹だったんでしょうね。
はい。結構溺愛してくれていて(笑)。いい姉に恵まれています。
──川口さん自身も人前に立つのは好きだったんですか。
結構好きなほうで。国語の音読のときはいちばんに手を挙げるタイプでした。小学生のときは、目立とうとして悪目立ちをしちゃったこともあるぐらいです。
──何をしたんですか(笑)。
卒業式のときに「卒業生、起立」でみんなが拍手をするじゃないですか。あのとき、どこまで拍手ができるだろうと思って最後までずっと拍手をしていたら、その後の校長先生の話にかぶっちゃって、「今のは誰だ」と言われました(笑)。そういうイタズラ心はあるほうかもしれません。
──じゃあ、TSCも結構楽しんでいた感じですか。
すごくいい人生経験ができました。演技にダンス、いろんなレッスンを受けさせてもらって。もともとピアノと水泳をやっていたんですけど、それ以外にもいろんな習いごとがあるんだなって、毎日新しいことを勉強しているような感覚でした。

──自分の中で選考に残れる自信はあったんでしょうか。
全然です。予選敗退ぐらいかなと思っていました(笑)。
──じゃあ、選考に勝ち残っていく中で、徐々に意識が芽生えていったというか。
そうです。「あれ? まだ残ってるぞ、まだ残ってるぞ」って。そこからどんどん自信がついて、よしやってみようと前向きな気持ちになっていきました。選考では20〜30人くらいの子が集められて、可愛い子や脚の長い子でいっぱいだったんです。私はただただすごいなと思って見ていたんですけど、最後に残ったのが私ともう一人の女の子の二人だけで。そのとき、もしかしたら行けるのかもしれないと思いました。
──結果、準グランプリを獲得し、デビューのきっかけを掴みました。
自分の名前が呼ばれたときはびっくりして、うれしさでいっぱいでした。選んでいただいたからにはここから本気で頑張ろうと、自分の中で覚悟が決まった瞬間でもありましたね。
──そして、この『金子差入店』で満を持しての映画デビューを果たします。
TSCが中3の終わりで、『金子差入店』の撮影が高校1年生のときでした。映画のオーディションを受けたのも『金子差入店』が初めてで。監督と少し話したあとに、「これ台本ね。2分後にやるから、ちょっと読んで」と1枚の紙を渡されたんですね。台本には最後の拘置所のシーンが書かれていて、台詞もなく、ただ睨むというお芝居だったんですけど、そこで「目がいいね」と言っていただけて、佐知役を演じさせていただくことになりました。
──佐知がどういう女の子かというのは事前に聞いていたんですか。
唖者で、自宅売春をしているという設定は聞いていて。唖者という言葉自体、そのとき、初めて知ったんですけど。話せない分、表情でしっかり演じないとなと思って、とにかくオーディションでは力強く睨みつけることを意識していました。
──デビュー作としては、ちょっと難易度の高い役です。
ハードな役だなとは思いました。でもだからこそ自分にとっては大きな成長になるだろうなとも思いました。まず撮影前に自宅売春について知ろうと思って、図書館に行って関連する小説を読んだり、テレビやネットで調べたりして。佐知みたいな経験をしている人が本当にいるんだということをちゃんとリアルに感じられるようにするところから始めました。でも調べれば調べるほど、暗い気持ちになるというか、自分のいる環境とは全然違う子なんだなというのがはっきりするんですね。
だからこそ、私の全力を使って演じたいなと思いました。きっと今もどこかに佐知みたいな子はいる。そう思うことで、役と真剣に向き合えた。今の私の持てるすべてを佐知という役に注ぎ込んで演じることができました。
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