2025.03.27 09:00
2025.03.27 09:00
芥川賞作家・村田沙耶香のベストセラー小説『消滅世界』が実写映画化され、蒔田彩珠が主演を務めることが発表された。
原作は、現在累計170万部を超える芥川賞受賞作『コンビニ人間』直前の2015年12月に刊行された同名の長編小説。超少子化の先、「性」が消えゆく世界で激動する「恋愛」「結婚」「家族」のあり方に翻弄される若者たちを描いた同著は、「常識」という枠の中でもがく現代の私たち自身を合わせ鏡のように映し出し、「日本の未来を予言する小説」と各メディアで話題となった。なお村田は3年半に及ぶ連載が今月書籍化されたことも話題で、この『消滅世界』は4月15日に英語版の刊行も決定している。
物語の舞台は、人工授精で子どもを産むことが定着した世界。 そこでは夫婦間の性行為はタブーとされ、恋や性愛の対象は「家庭の外」の恋人か、二次元キャラというのが常識となっていた。主人公は、そんな世界で「両親が愛し合った末」に生まれ、母親に嫌悪を抱く雨音。 家庭に性愛を持ち込まない清潔な結婚生活を望み、夫以外のヒトやキャラクターと恋愛を重ねる雨音だったが、その“正常”な日々は夫と移住した実験都市・楽園(エデン)で一変する。
本作の監督・脚本はMTV出身、Radiohead、Oasisなど国内外様々なアーティストのライブやミュージックビデオ、CM、ショートフィルム、大河ドラマのドキュメンタリーなど多岐にわたるフィールドで活躍する映像ディレクターの川村誠。独自の世界観を築いてきた映画的・音楽的感性を存分に活かし、本作では繊細かつ耽美な異世界観を追求し長編映画の監督デビューを飾る。
主人公・雨音を演じる蒔田彩珠は、ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(2012)をきっかけに、映画『三度目の殺人』(2017)、第71回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品『万引き家族』(2018)などの是枝裕和作品に出演するほか、河瀨直美監督の『朝が来る』(2020)では中学生で母となった難役を熱演し「第44回日本アカデミー賞」新人俳優賞、「2020年第94回キネマ旬報ベスト・テン」助演女優賞、「第45回報知映画賞」助演女優賞を受賞。さらにNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』(2021)や日曜劇場『御上先生』(2025)に出演すると、SNSでその演技力が話題に。数々の名監督から熱視線を浴び、確かな実力で業界の注目を集める最旬女優が刺激的なテーマを内包した衝撃作の実写化に挑む。
併せて本作の場面写真も解禁され、主演の蒔田、監督・脚本の川村からコメントも到着。村田の著書が実写映画化されるのは今回が初となり、村田ワールド全開の最高傑作と呼び声の高い小説を、様々なジャンルの映像を手掛けキャリアを積み上げてきた川村誠が創造する映画『消滅世界』は今秋全国公開を予定している。
蒔田彩珠 コメント
この物語を、初めはSFと感じる人が殆どなのではないでしょうか。
私自身も、ありえない世界、経験するはずもない気持ちをどう表現するか、壮大なファンタジーをリアルに演じるには、と難しさを感じていましたが、そんな心配は必要ありませんでした。どんどん物語に引き込まれ世界観が変わっていき、これは未来の現実?とまで考えてしまいそうになる自分が怖くなりました。
今、当たり前と思っている現実は作られたものであり、貫いているつもりの自己も危ういのではないか。
脳内が刺激され、人生について深く考えさせられます。
観てくださったみなさんの感想が楽しみな作品です。
川村誠 コメント
観る者が彼女から目を離せなくなる、
シーンを支配してしまうような引力―
兼ねてより俳優としての蒔田さんの存在感と演技力に
底知れないポテンシャルを感じていました。
等身大の二十代女性の自然体の中に、
全ての村田作品の主人公から受け取れる
「自らに刃を向けるような内省」を体現できる俳優。
探し求めていたのはこの方だと、初対面で直感しました。
現場に入り、物語を深いところで理解しながら
感じたままに演じるその姿からは、
一種の”憑依力”のようなものを感じました。
確かに雨音はそこに存在しました。
主人公のこの表情、この感情を描くために映画を撮ったのだ、
と思える瞬間が幾度となく訪れました。
非常に難しいこの役柄に挑んでくださった事に
心から感謝しています。
撮影現場で自分が目の前で感じた「演技で心揺さぶられる感覚」
―その衝撃と感動を、スクリーンで味わって頂ける日が
今から待ち遠しいです