見どころ充実の約3時間、ファンならずとも必見の理由とは
日向坂46四期生だから生まれた最高の化学反応がここに、舞台『五等分の花嫁』開幕
2025.03.09 20:55
2025.03.09 20:55
経験を活かしたステージが唯一無二の魅力に
日向坂四期生は2024年に全員で出演した映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』の経験はあるが、メンバーのほとんどが本格的な舞台出演は初めて。それでいて今作、3時間近い大作な上にタイトルでは「舞台」とあるが、歌もダンスもふんだんにあるという盛りだくさんの作品となっている。多くの人にとって、観劇前に想像した以上の歌とダンスの量なのでは。ステージングを担当したのは人気ダンスカンパニー・梅棒の野田裕貴。ストーリーテリングをダンスで魅せていく手法の梅棒さながら、五つ子たちのそれぞれのキャラクターと、揺れ動く心情がダンスと歌でたっぷりと表現されていく。

ダンスの振り付けも各キャラクターにより違いがあるのでそこも見どころの1つなのだが、おそらく相当稽古はハードだったのでは……? と想像してしまう。そんな挑戦と、初舞台ならではの初々しさ。それでいて、ゲネプロでも随所にアドリブ? と思わせるような箇所があり、客席からは笑いが起こっていた。これはアイドルとして多くのステージを踏んできた彼女たちだからできること。今作には、「この舞台でしか観られないもの」があまりにもたくさん詰まっている。


あと、これも書いておきたい。五つ子を演じる四期生を支える、シングルキャストで風太郎を演じる笹森裕貴の安定感たるや! ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズをはじめ2.5次元作品でもキャリアが豊富な彼の存在は大きい。なお、原作を知らない人に説明すると、『五等分の花嫁』という作品がよくあるラブコメと違うのは、とにかく主人公の風太郎が女性キャラからの好感度が低いとこからスタートするので、風太郎という役は基本的には割とひどい目に合っているところ。当然舞台上で動き、走り回る場面が多いわけで……彼の奮闘ぷりにも注目だ。繰り返すと『五等分の花嫁』という作品の人気は五つ子のキャラの魅力が大きいわけだが、実は五つ子と風太郎には過去に関わりがあって……というミステリー要素も全体を通して流れており、これも物語を牽引する原動力になっている。


今回の舞台、原作でいうと全体の1/3ほど、アニメで言うと1期の内容となっており、すべて完結しているわけではない。ということは、これは舞台の第二弾があるのでは? と思ってしまう。実現するかはわからないが、この日向坂46×『五等分の花嫁』という最高の化学反応、ぜひ今後も観られることを期待したい。

