会話はほぼプライベート!?今後のシリーズ化への期待も語る
積み重ねてきた2人の時間がここに、向井康二×室龍太の絆を垣間見る『ムロムカイ』開幕
2025.01.29 19:00
2025.01.29 19:00
室にとって向井は「居て助かる存在」
ここから少し、2人の関係性について知らない人のために説明したい。事務所の未デビュー組、通称「ジュニア」には大きく2つの活動拠点があり、1つが関東、そしてもう1つが関西。年齢が若く生活拠点から離れることが難しいため、関西のジュニアたちは基本的には関西を中心に活動している。そのため、関東のジュニアのように東京のキー局が作る全国ネットの番組への出演や、大きな舞台公演のバックで出演するといったチャンスはどうしても少なくなってしまう。そんな彼らが本拠地にしているのが、この公演でも名前が出てきた「大阪松竹座」だ。客席数約1000席の松竹座で年に2〜3回行われる関西ジュニア公演は、コントやライブ、演劇公演などの内容が多く、彼らは「舞台の上に立つ」という経験を松竹座で積み、スキルを磨いていく。ファンがメインとはいえ、“笑い”に厳しい関西の空気の中で、彼らはトークの仕方や、客の空気の掴み方を幼少期から学んでいくのだ。また、関東のジュニアに比べると人数も比較的少ないため、縦横の結束力も強くなる。
WEST.が2014年にデビューして関西ジュニア公演に出なくなったあとはいくつかのいわゆる“ジュニア内グループ”が存在していた状態だったが、その人気グループの中心メンバーだった永瀬廉と平野紫耀がのちのKing & Princeのグループに異動することとなり上京、当時の関西ジュニアのグループは実質上解体。これが2015年ごろの話で、そこから2019年頃まで残ったメンバーたちでなんとか関西ジュニアを支えていこうと必死に活動を続けていた。その状態の関西ジュニアを牽引していたのが、向井康二と室龍太、そして現在「なにわ男子」として活動中の西畑大吾と大西流星の4人だ。そう考えるとこの『ムロムカイ』の2人がどれだけの客前での場数を踏み、どれだけの時間を一緒に過ごしてきたか、想像に難くない。この公演、なんと稽古2日目で台本を外して通し稽古をしたという驚愕の事実が会見で明かされたが、いや、この2人なら……と思ってしまう。
向井は2019年に関西ジュニアから1人Snow Manに加入することとなり、室も同時期に関西ジュニアの公演を「卒業」。この公演の終盤で流れた映像は、まさにその卒業ライブの様子だ。その後Snow Manとしてアイドルの“王道”を歩んでいる向井と、2024年の出演は実に7本と、舞台俳優として大活躍している室。道は別れたものの、それぞれのフィールドで新たなスキルを積み、こうやって一緒の舞台に立っている……その姿に、なんだかぐっと来る。ラストに2人で歌って踊るシーンがあるのも、今ではそういう場がなくなってしまった室にとっては久々のこと。長年の室ファンにはたまらない瞬間だろう。
もともと、「2人でいつか舞台をやりたい」と話していたのは実に6年前なのだとか! この『ムロムカイ』は、彼らが地道に積み重ねてきたことが花開いた場所といえるだろう。取材で2人の関係性を問われ、向井が「家族でもないし、友達でもない、先輩でもない……」と答えたところ室が「一応先輩や!」と突っ込みつつ、向井は室を「例えられない。“室龍太”という存在」、室は向井を「居て助かる存在」と答えた。こんなにも、お互いに相手を信頼した言葉があるだろうか?「今後、できればシリーズ化していきたい」という願望を取材で強く語った2人。確かに今回は初めての2人の公演ということで、ある意味“ムロムカイの自己紹介”のようなものかもしれない。これが回数を重ねていくうちに、彼らがその時に身につけているスキルや、できることというのが、もっと舞台の色として出てくるのでは? この2人が自由自在にそういうものを出してくれるとしたら、想像するだけで楽しみになってしまう。ぜひ、今後の展開を期待していきたい。