映画『ありきたりな言葉じゃなくて』で秘密抱えるヒロインに
役は“そうだったかもしれない自分の人生”、小西桜子が演じる上で大切にしていること
2024.12.27 18:00
2024.12.27 18:00
2020年の映画『初恋』での鮮烈なヒロイン役から4年。ドラマ、映画と着実に活躍の場を広げ、その存在感が日に日に増している俳優・小西桜子。彼女がヒロインをつとめた映画『ありきたりな言葉じゃなくて』が現在公開中だ。
映像業界で起きた“とある実話”を基にしたという今作で、小西は主人公の脚本家・拓也とキャバクラで出会い、彼を翻弄していく謎めいた女性を演じる。テレビ朝日映像初の長編オリジナル映画であるという今作で、彼女がこの役柄に感じたことや、“演じる”ということ、この先の目標について。小西桜子の現在地について、いろいろと語ってもらった。
実話を基にした作品にどこまで共感できたか
──『ありきたりな言葉じゃなくて』で演じられたりえという役ですが、いろいろとネタバレになるのでなかなかお話を伺うのが難しいなと思いつつ……最初にこのお話のオファーが来たときは、どう思われましたか?
この作品は実話をベースにした物語ということで、きちんと思いを背負って、責任を持って演じないといけないな、というのをまず思いました。でも、面白い作品だな、とも思いましたね。
──そう、実話をベースにしているんですよね。りえは主人公の拓也を翻弄する立場ですが、最初はいろいろとバックボーンが謎ですよね。小西さんご自身はどんなキャラクターだと思って演じられてましたか?
りえについては後半でいろいろとわかってくるので、なかなかお話しづらいんですが(笑)……りえの行動って拓也には不可解だったり、悪影響だったりするわけですよね。でもりえからすると、拓也に思うところがある。物事をいろんな見方ができたとき、初めてりえがどんな女の子かというのが見えてきますし、難しい役柄ではありました。でも観ていただいた方にいろんなことを感じて欲しいと、そう思いながら演じていきました。
──小西さん演じるりえが拓也に取った行動には理由があるわけですが、映画を見て思ったのは、「拓也はそんなに悪くないのでは」という人と、「いや、仕方ないかも……」という人と、見る人によって2つに感想が分かれそうだなと。小西さん個人はどう思われますか?
個人的には、私はなるべく視野を広く持ちたいし、想像力を持って、いろんな立場の人の気持ちになって考えたいなという思いがあるんですね。そう考えたらやっぱり……拓也にはちょっと至らないところがあったんじゃないかな、と(笑)。でも実際自分が拓也のようなことをしていないかと言われると、ちょっと自信はないんですよ。人間は誰しもああいった未熟さというのは持っていて、そういう意味では憎みきれないキャラクターですよね。
──これは読者の方にはぜひ映画を観ていただきたいのですが、りえが拓也に近づいたのにはとある「理由」がありますよね。自分がりえの立場だったら、拓也に対してああいう行動に出たと思いますか?
うーん……想像することしかできないですけど、もし自分がりえと同じ立場に立たされていたら、私自身はしないと思います。でも、りえと同じような環境だったらわからないし、りえの気持ちに共感はできるんですね。あと年齢的な部分……若さもあり突拍子もない事をしてしまう、そこにも理由があったんじゃないかなと思います。
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