主題歌は中原中也に陶酔するキタニタツヤの新曲に決定
映画『ゆきてかへらぬ』本予告解禁、広瀬すず×木戸大聖×岡田将生の濃密な愛が“行き着くそこ”とは
2024.12.06 07:00
©︎2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
2024.12.06 07:00
2025年2月21日(金)に全国公開される映画『ゆきてかへらぬ』の本予告編と本ビジュアルが解禁された。
本作は「文化の百花繚乱」が咲き誇る大正時代を舞台に、実在した男女3人の壮絶な愛と青春を描いた物語。『ツィゴイネルワイゼン』や『セーラー服と機関銃』の田中陽造が40年以上前に書いた「知る人ぞ知る」脚本を、名匠・根岸吉太郎監督が16年ぶりにメガホンを取り映画化が実現。美しい時代を火花散らすように駆ける3人の男女を広瀬すず、木戸大聖、岡田将生が演じ、さらに田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本佑ら実力派キャストが3人の人生に関わる登場人物を演じる。
解禁された本予告編は、冒頭から広瀬演じる駆け出しの女優・長谷川泰子が「惚れたら、女は身体ごと惚れるのよ」と木戸演じる中原中也と岡田演じる小林秀雄の心を翻弄する妖艶な表情が映し出される。「俺とお前は、離れたら壊れちゃうんだよ」と泰子に切なげに訴える様子にまだ幼さが垣間見える不世出の天才詩人・中也に対し、「君という女は、本当においしそうだ」と成熟した大人の色気を漂わせるのは、のちに”知の巨人”と呼ばれる文芸評論家・小林。踊り狂ったダンスホール、夜の遊園地、手を取り合い滑ったローラースケートの場面から、刹那的な青春を謳歌する3人の煌びやかで歪な関係性が垣間見える。
後半では、次第に狂気を帯びながら苦悩し、執筆と格闘する中也に「全生活を上げて恋をする人もいるわ!」と感情剥き出しに愛を吠える泰子や、激しくケンカをする中也と泰子を仲裁する小林、求め合う小林と泰子、そして迫りくる電車を前に虚ろな表情で立ち尽くす中也など、劇的な展開が続く予告編となっている。果たして、この“3つの愛の行き着くそこ”とは。
同時解禁されたのは、泰子、中也、小林が同じダンスフロアに佇みつつも、それぞれの目線が重なることはなく、3人の歪な関係を表現しているかのような本ビジュアル。「純情なのか 純愛なのか 3つの愛の、行き着くそこ」というキャッチコピーが、濃密な愛の物語を予感させる。
また、主題歌はシンガーソングライター・キタニタツヤが本作のために書き下ろした新曲「ユーモア」に決定。中原中也の文学に陶酔していたというキタニが愛とリスペクトをこめて制作した楽曲となっており、解禁された本予告編でもその一部が初披露された。なおキタニが長編映画の主題歌を担当するのは今回が初となる。
主題歌を聞いた広瀬は「主題歌が始まった瞬間は映画の余韻が残りつつ、後半は違う世界観でちょっと面白いバランス感の楽曲で素敵だなと思いました。」とコメント。木戸は「3人のキャラクターのどの人を歌詞の主人公においたとしても当てはまるような、すごく切なさもあり、ずっと聴いていられる、何回もリピートして聴いていられるような素敵な曲でした。」、岡田は「心地よいリズムで歌詞もすっと入ってきますし、改めて歌詞を見て聴くのと、また理解を深めてからこの曲を聴くのでは(印象が)変わるので、聞くときは歌詞を読んでみてから聞いてもらったら嬉しいなと思います」と楽曲の印象を語った。
併せてキタニタツヤ本人からコメントも到着。さらに、本作のムビチケが12月13日(金)から発売されることも決定した。
キタニタツヤ コメント
詩を書くということは、意味なくただそこにあるだけの現実をあえてユーモラスに捉えて解釈し、言葉というフォーマットで出力しなおす営みだと思っています。単に「面白おかしく」という意味ではなく、ありていでない眼差しを向けることによって現実に隙を見出す、何らかの安らぎの余地を加えるという意味でのユーモア。
加えて、人は永遠ではあり得ないのに反して言葉は永遠になり得ます。残された言葉は他者の心を撫で続ける。現代に生きる私はそういうふうに中原中也の詩に触れてきましたし、泰子もそうだったのかもしれません。
「ゆきてかへらぬ」ラストシーンでの泰子と小林にとって中也の詩はどう響いていたんだろう。また劇場を後にする私たちにとって「ゆきてかへらぬ」という映画そのものはどう響いていくのだろう。そうしたことを考えながら歌を作りました。