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INTERVIEW

『若き見知らぬ者たち』役作りの裏側、日本映画への夢を語る

「この経験を積むことが大事だった」岸井ゆきのが終わりのない痛みと向き合った3週間

2024.10.16 18:00

2024.10.16 18:00

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日本には本当にいい映画があると誇れる仕事を続けたい

──これだけ重い役が続いている、直近では大作舞台である松尾スズキ作・演出の『ふくすけ2024─歌舞伎町黙示録』において、ふくすけ役を演じられていて、それこそ肉体と精神をなるべくニュートラルに保ってないとご自身が崩れそうになるような瞬間があるんじゃないかと想像してしまうんですね。

そうですね。日向もふくすけも生半可な気持ちじゃできないので、とにかく全力でやるしかない。ふと不安になって「もうダメかも」って思う瞬間はたしかに以前より多くなりました。そうなる瞬間って今まであまりなかったんですが、ずっと張り詰めている状態が長いから。

──どのようにケアしてるんですか?

う〜ん……でも、やっぱり舞台は時間になったら必ず幕が開くので。自分がどんな状態でも必ずやり遂げなきゃいけないって心をドライブさせてますね。ケアの仕方か……そのやり方がわからないんですよね。今回も内山組に参加しているなかで自分の心がすごく削れていくのがわかったし、今は日向でいられるからいいけど、この現場が終わったあとが心配だなと思ってました。自分を取り戻すまでに時間がかかるだろうなと想像はついていて。それで、撮了してから一人旅でポルトガルに行ったりしたんですけど。でも、このやり方ではちょっと回復できなくなってるんだなと、正直に言うと思いました。新しい方法を探さなきゃって。

──それが課題でもある?

見つけないとマズいなと思いましたね。ポルトガルのリスボンに行っても、教会がたくさんあって、泣きながらマリア様の足元を撫でる人を目の当たりすると「みんな許されたいと思ってるんだな」とか、いろんなことを考えてしまって。もっとパリピなところに行けばいいんですかね?

──ハワイですかね(笑)。

ハワイはいいかもしれないですね!

──本作は日本、フランス、韓国、香港合作という、世界に向けて発信する前提で製作された映画でもありますが、岸井さんは『ケイコ』で数々の映画賞を受賞し、ベルリン国際映画祭をはじめ海外でも称賛を受けました。ここから映画人として、俳優部の一人として、どういったことを実現させたいと思っていますか?

俳優部としては、私はやっぱり創作することが好きなので。今作も『ケイコ』もそうですが、その役と映画のことだけを考えて、役を全うしたいという気持ちは今まで通りあります。あとはやっぱり海外の映画祭に行くことで今の日本映画を世界に届けたい。届けたいのですが、でも、それを変に狙うことはしたくないと思ってるんです。「この映画祭はこういう作風が好まれる」とか、そういうことではなく、日本には本当にいい映画作品があると誇れる仕事を続けたいから。真摯に物語と向き合った作品が、世界のマーケットに出ていく。そのことが願望であり、目標ですね。

──もっと個人的な、イチ映画ファンとしての願望はどうですか?

もっと個人なことで言えば、やっぱり映画祭のレッドカーペットを歩きたいです。だって(M・ナイト・)シャマランとかに会えるんですよ!?

──あはははは! シャマランに会えたらうれしいですよね。あとは、岸井さんがずっと敬愛しているクリストファー・ノーランともいつか仕事したいですよね。

そりゃもう、ノーランとレッドカーペットを歩いてみたいですよ!

──ノーランに早く見つけてもらえるように(笑)。

見つけてください。ここにいます。

──『ケイコ』は観てるんじゃないかと勝手に想像しますけどね。

観てほしいですよね。手紙書こうかな!

『若き見知らぬ者たち』場面写真 ©︎2024 The Young Strangers Film Partners

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作品情報

若き見知らぬ者たち

©︎2024 The Young Strangers Film Partners

©︎2024 The Young Strangers Film Partners

若き見知らぬ者たち

2024年10月11日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給・宣伝:クロックワークス

公式サイトはこちら

キャスト&スタッフ

出演:磯村勇斗 岸井ゆきの
福山翔大 染谷将太
伊島空 長井短 東龍之介 松田航輝 尾上寛之 カトウシンスケ ファビオ・ハラダ 大鷹明良
滝藤賢一/豊原功補 霧島れいか

原案・脚本・監督:内山拓也
製作:小林敏之 宮前泰志 藤本款 Amel Lacombe Sang Wook Kang Catriona Chen 菊野浩樹 本間綾一郎 森田篤 東城祐司
企画・プロデュース:宮前泰志共同プロデューサー:Amel Lacombe 本間綾一郎/プロデューサー:吉岡宏城 佐藤雅彦
監督補:長田亮/撮影:光岡兵庫/照明:阿部良平/録音:小黒健太郎/美術:福島奈央花/装飾:遠藤善人/衣裳:加藤哲也/ヘアメイク:寺沢ルミ 杉本あゆみ/助監督:石井純/制作担当:竹岡実
編集:平井健一/音楽監督:石川快/音響効果:長谷川剛(J.S.A)/リレコーディングミキサー:Lionel Guenoun/VFXスーパーバイザー:堀江友則/カラリスト:Alexander Zolotarev/アクションコーディネーター:小原剛/キャスティング:杉野剛/宣伝プロデューサー:深瀬和美/宣伝:小口心平(TAIRA) 山口慎平(TAIRA) 川口菜生子(TAIRA)
格闘技コーディネーター:新明佑介/格闘技指導:伊藤俊亮/格闘技監修:佐藤ルミナ/特別協力:一般社団法人日本修斗協会/協力:トライフォース柔術アカデミー
協賛:バカルディ ジャパン、イングラム、ムンディネロ、LIMITEST、イサミ、敷嶋醸造元 伊東
The Young Strangers Film Partners:カラーバード、TCエンタテインメント、クロックワークス、PANORANIME、MediaCastle Corp.、Neofilms Ltd、TBSテレビ、ハッチ、UNITED PRODUCTIONS、メディアミックス・ジャパン
企画・制作:カラーバード/制作プロダクション:エピスコープ/サウンドプロダクション:PANORANIME/企画協力:ハッチ
製作:The Young Strangers Film Partners

岸井ゆきの

アーティスト情報

1992年、神奈川県出身。2009年にドラマで俳優デビュー。映画初主演となった『おじいちゃん、死んじゃったって。』(17)で第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。恋愛への執着が強いヒロインを好演した『愛がなんだ』(19)では第11回TAMA映画賞最優秀新進女優賞および第43回日本アカデミー賞新人賞を獲得。耳の不自由なプロボクサーを演じた『ケイコ 目を澄ませて』(22)では、第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞をはじめ、第77回毎日映画コンクール女優主演賞ほか数々の賞を受賞。そのほか主な出演作によるドラ「恋せぬふたり」(NHK)、「お別れホスピタル」(NHK)、「パンドラの果実~科学捜査犯罪ファイル~」(日本テレビ)などがある。

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