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INTERVIEW

邦画を牽引する3人が山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』に集結

映画の“よさ”は何で決まる?河合優実×金子大地×寛一郎が今、考え抜いた答えとは

2024.09.09 18:00

2024.09.09 18:00

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河合優実、金子大地、寛一郎という新時代の才能が共演を果たした映画『ナミビアの砂漠』。そこには、令和を生きる20代の退屈と衝動と混沌が、27歳の気鋭・山中瑶子による嘘のない言葉で描かれている。

安易な共感を拒絶するように生きるヒロイン・カナ。その姿に、観客もまた自分の中で持て余していたやりきれなさや寂しさがかきむしられてしまう。

3人は、カナの生き方にどんなことを感じたのだろうか。そして、20代の3人が感じる“いい映画”の答えとは──。

『ナミビアの砂漠』予告

なんてハッピーな現場なんだと思った

──本作は、5月に開催された第77回カンヌ国際映画祭に出品。山中瑶子監督が、国際映画批評家連盟賞を女性監督最年少で受賞しました。そんな山中監督と一緒に作品をつくりながらすごいなと思った瞬間を教えてください。

河合 私の撮影初日がホンダ(寛一郎)の部屋でハンバーグをこねてるシーンだったんです。それがこの映画としても最初のワンカット目だったんですけど、そのシーンが終わった途端、監督がやってきて「これは傑作になっちゃうぞ〜」とおっしゃったんです。覚えてます?

寛一郎 覚えてないや。もう自分のことで頭がいっぱいだった(笑)。

河合 私も正確な言葉は覚えてないんですけど、確かそういうことをおっしゃりながら、めっちゃ爆笑されてて。なんてハッピーな現場なんだと思いました。

河合優実

寛一郎 ああ、そういえば言ってた気がする。僕はとにかく脚本を読んで、この人やべえと思って。なんとも言語化しにくい関係性が脚本の中で描かれていて。しかもそれがロジカルというか、ちゃんと順序立てた脚本の書き方だったんです。だから、どんな人なんだろうと思って現場に入ったら、すごいふわふわした人で。

金子 わかる。僕もどういう人か全然わからないまま現場に行ってみたら、飄々としているというか、すごいふわふわした人でびっくりしました。

寛一郎 映画を観ていただくとわかるんですけど、いい意味で倫理観がバグってるんですよ(笑)。でも、よくわかんないとこはちゃんと道徳的だし。

河合 確かに(笑)。

金子大地

寛一郎 この人の普通は僕らの普通じゃないんだなと。でもちゃんと共感できる普通もある、という感じで。そのアンバランスさが印象的でした。

金子 それでいて、見えない怖さみたいなものがあって。撮っている間は、このシーンをどう見てるんだろうみたいな緊張感がずっとありました。基本はめちゃくちゃ優しいし、リラックスして楽しめたんですけど、たまにこっちが勝手に監督は本当にこれでいいと思っているんだろうかと考えさせられるような。そういう覇気を持っている若手の監督はなかなかいないだろうと思うので、すごいです。

寛一郎 僕も初日はすごく怖かった。この作品のキャラクターは、みんな監督の分身たち。だから、正解は監督の中にあるんですよ。もちろん僕らが脚本を読んでつくってきたものも正解ではあるんだけど。監督の中にある正解とそれが完璧に合致する部分はどこだろうって探っている段階だったので、初日は。リズムも何もつかめてない状態でやっていたので、すごく怖かったですね。

寛一郎

金子 僕も初日はガチガチでした。僕の初日はカナがホンダの部屋から引っ越してくるシーンだったんです。

河合 あの冷蔵庫を運ぶところ?

金子 そうそう。(金子演じる)ハヤシっていう役をどう形にしていこうかなと、最初は迷いながらやってた記憶がありますね。

寛一郎 また監督が簡単にOKと言わないんです。こだわるところはちゃんとこだわる。それに対して、俳優もスタッフもここはこうしますかって自分の意見を持ち寄って話し合いながら一つのシーンを完成させていくような現場で、そういう阿吽の呼吸みたいなものはあった気がします。

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唯一無二の主人公・カナの印象と魅力

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作品情報

ナミビアの砂漠

©︎2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

©︎2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

ナミビアの砂漠

2024年9月6日(金)公開
2024年/日本/カラー/スタンダード/5.1ch/137分/PG12
企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ

公式サイトはこちら

キャスト&スタッフ

出演:河合優実
金子大地 寛一郎
新谷ゆづみ 中島歩 唐田えりか
渋谷采郁 澁谷麻美 倉田萌衣 伊島空
堀部圭亮 渡辺真起子

監督・脚本:山中瑶子
プロデューサー:小西啓介 小川真司 山田真史 鈴木徳至
製作:『ナミビアの砂漠』製作委員会
制作プロダクション:ブリッジヘッド コギトワークス

2000年生まれ、東京都出身。2021年出演『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』での演技が高く評価され、第43回ヨコハマ映画祭<最優秀新人賞>、第35回高崎映画祭<最優秀新人俳優賞>、第95回キネマ旬報ベスト・テン<新人女優賞>、第64回ブルーリボン賞<新人賞>などを受賞。2022年には『ちょっと思い出しただけ』、『愛なのに』、『女子高生に殺されたい』、『冬薔薇』、『百花』、『線は、僕を描く』、『ある男』など数多くの話題作に出演し、今まさに映像業界が最も注目する新進気鋭女優である。近年では『少女は卒業しない』(23)、『ひとりぼっちじゃない』』(23)、『四月になれば彼女は』(24)、ドラマ「不適切にもほどがある!」(24/TBS) 、「RoOT / ルート」(24/TX ほか)、『あんのこと』(24)、劇場アニメ『ルックバック』(24)、Amazon Originalドラマ「龍が如く ~Beyond the Game~」(24)、『八犬伝』(24)、来年公開の第37回東京国際映画祭東京グランプリ受賞作・吉田大八監督『敵』(2025/1/17 公開)、大九明子監督『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025/4 月公開)など話題作への出演が続いている。
カンヌ国際映画祭への出品も続いており、第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でカメラ・ドール特別表彰を受賞した早川千絵監督『PLAN 75』(22)、第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞した山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』(24)など、世界的に高い評価を受けている。

1996年生まれ、北海道出身。'15年に俳優デビュー。近年の出演作は初主演ドラマ・NHK「腐女子、うっかりゲイ告る。」(‘19)、テレビ朝日「おっさんずラブ」(‘18/‘24)、NHK「大河ドラマ 13人の鎌倉殿」(‘22)、NHK BSプレミアム「犬神家の一族」(‘23)や、初主演映画『猿楽町 で会いましょう』('21)、『手』('22)、『Winny』('23)、『52ヘルツのクジラ』('24)、『ナミビアの砂漠』(‘24)など出演。
受賞歴//コンフィデンスアワード・ドラマ賞 新人賞(‘19)、TAMA映画賞 最優秀新進男優賞(‘21)

1996年生まれ、東京都出身。2017年に俳優デビュー。同年公開の映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で、第27回日本映画批評家大賞 新人男優賞を受賞。翌年、「菊とギロチン」で第92回キネマ旬報ベストテン 新人男優賞などを受賞。近年の主な出演作に、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の11人』(22)、TBSスペシャルドラマ『グランメゾン東京』(24年冬OA予定)、映画『せかいのおきく』、『首』(ともに23)、『身代わり忠臣蔵』、『プロミスト・ランド』(ともに24)など。今後は、映画『ナミビアの砂漠』(9月6日)、『シサㇺ』(9月13日)、『グランメゾン・パリ』(2024年冬)の公開が控えるほか、米・スカイバウンド×フジテレビ共同制作ドラマ『HEART ATTACK』(2024年秋以降FODにて配信予定)で主演を務める。

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