本間昭光のMUSIC HOSPITAL 第14回 アユニ・D
大事なのは時代への俯瞰力、アユニ・Dと語る音楽で叶えたい夢
2024.08.21 18:00
2024.08.21 18:00
“最新が最高”を続ければ結果はついてくる
アユニ 音楽って面白いです。私なんか本当にペーペーのペーペーなので、自分ひとりでできることは限られていて、ひとりで部屋で作っても淡白な楽曲にしかならないんです。だけど、それをスタジオに持って行って、ひさ子さん、ゆーまおさん、エンジニアさんとかプロデューサーの方とかに追求していただいて、人の力が増えることによって自分が最初に想像していたものとはまったく違う素敵な音楽になるのが楽しくて。
本間 そうだよね。ひとりだけで作る楽しさもあるけど、やっぱりいろんな人の力が合わさると、どんどん掛け算的に良くなっていくから。それがレコーディングの醍醐味だし、できるならそれが一番幸せだよね。
アユニ でも、ひとりでできるのであれば、そんなにカッコいいものはないとも思います。
本間 究極はそれだよね。それには楽器の知識も必要だし、ミックスの知識も必要だし。これから先って、どういうことを目標にしたいと思っていますか？
アユニ 売れたい。それは自分の欲というか、自分がいろんな人に出会いたいというのが大きいんです。自分は出来損ないの人間だったんですけど、音楽の楽しさ、人の優しさに触れて、自分も音楽で他の人に恩返しをしたいというのが大きいですね。
本間 シンプル（笑）。でもそれが一番いい。売れたいというのはいいことだよ。例えば野球だと、プロになりたいというのは、お父さんお母さんに恩返ししたいとか、そういう目的があるじゃないですか。だから入り口としては「レギュラーになりたい」「年俸を上げたい」とかがあったと思うんだけど、その先の例えば大谷翔平さんクラスになると、いかに昨日よりきれいなスイングをするかとか、昨日の自分よりも今日の自分を成長させることをずっと考えていると思うんだよね。
これはずっと言っているんだけど、「最新作が最高傑作」になったほうがいい。今までにも評価されている楽曲はあるけど、それよりももっといいものを作ったら結果はついてくると思う。だからそのために技術を磨く、知識を入れる、いろんな人の話を聴く、そういうことをやっていかないと、結果が自己満足で終わっちゃうような作品になっちゃうからね。人の話を聞く中のひとつに、売れるためにはどういう曲を書けばいいのか、どういう歌詞がいいのか、そういうのがポイントとしてあると思うんだけど──
アユニ 教えてください！
本間 時代を読むことが大事ですよね。音楽を作っていると、どうしても自分の好きな物に寄っていっちゃうんだけど、今売れているのはどんなものなんだろうって、音楽業界全体を俯瞰で見る姿勢とか感覚を持っておいたほうがいいと思う。そうして今のサウンドに共感を持ってくれるお客さんを大切にしながら、変化を恐れずにどんどん時代に合わせてアップデートしていけると、それが一番面白いだろうね。それが結果売れることに繋がる。
アユニ 今はまさにそれを猪突猛進でやろうとしています。今まではBiSHのファンだった方、BiSHの音楽が好きだった方がPEDROに来てくださっていたんです。PEDROも初めはBiSHと同じようにプロの方々にお願いしていたんですけど、今は0→1をほぼ私がやるようにしていて、そうなると音楽嗜好の違いが出てくるんですよね。今は自分のやりたいこと＋今の時代の曲も聴いて、どうしたら今の人たちに伝わるかを試行錯誤しながらやっています。
そうしたら、そんな音楽を好きだと言ってくださるファンの方が増えてきたんです。新しいことをやると、「昔のほうが良かった」という人たちはどうしても出てくるんですけど、そこに引っ張られたらメンタルがやられちゃいますし、自分が上手く生きていけなくなっちゃうので、もちろん今のファンの方も大切に思っているんですが、もう怖がらずに、これからの未来で出会ってくださる方々も想像して音楽をやっていますね。
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