『ウォーキング・デッド』から数年経った今の心境とは
『ブルー きみは大丈夫』ケイリー・フレミングが「これ以上はない」と語った撮影体験と学び
2024.06.17 12:00
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2024.06.17 12:00
2018年、世界が1人の子役に注目した。大人気ドラマシリーズ『ウォーキング・デッド』で物語に重要なジュディス役として登場した、ケイリー・フレミングだ。当時10歳ほどだった彼女が、17歳になって主演映画『ブルー きみは大丈夫』のプロモーションのために来日した。
6月14日から公開される本作は、フレミング演じる主人公のビーが不思議な存在「IF(イマジナリー・フレンド=空想の友達)」との出会いを通じてニューヨークで小さな冒険を体験する、ファンタジーヒューマンドラマ。彼女と共にメインキャストを務めるのは『デッドプール』シリーズでお馴染みのライアン・レイノルズ。彼が「実写版ピクサー」と形容する本作は、フレミングにとって大切な作品だと言う。
当たり前だが、子役は永遠に子供ではいない。気がつけばすっかり大人になった彼女が、本作の魅力と、撮影を通して実感した“大切なもの”について余すことなく語ってくれた。
誰にとっても良い作品になった
──米国では1カ月前からすでに公開されていますが、ついに日本でも公開を迎えるにあたって今の心境は?
とてもワクワクしています。実はロンドンで観客と何回か作品を観たんですけど、素晴らしい体験でした。だから日本の観客の皆さんも気に入ってくれると嬉しいです。
──本作は子供向けでもあり大人向けの作品ですが、改めてケイリーさんの視点で本作はどのような映画に仕上がったと思いますか?
ええ、この作品は本当にすべての人のための映画だと思います。家族向きですよね。みなさん本作が子供向けだと思うかもしれないけど、自分の子供を連れて映画館に観に行ったら驚く人が多いと思います。ちょっとびっくりして、ちょっと泣くかもしれない。そして、絶対笑顔にもなる。だから、誰にとっても良い作品になったと感じています。
──私も本作を観て何度も涙ぐんだり泣いてしまったり感動したのですが、脚本を読んでご自身の演じる役柄を知っていく工程はいかがでしたか?
脚本を読んで作品をすぐ好きになったことを覚えています。自分の演じるビーのことが大好きになりました。彼女とは本当に繋がったというか、そういうの経験したことがなかったんです。(脚本を)読むたびに涙が止まらないなんてこと、今までありませんでした。ただの紙にインクで文字が書かれただけのものだけど、私にとっては本当に美しくかけがえのないものになったんです。だからジョン(監督)のビジョンをしっかり表現できたかだけが気がかりでした。
──今まで演じた役の中で最も繋がりが持てたとのことですが、具体的にどんな部分に?
ビーは良い特徴がたくさんあるキャラクターですよね。彼女はとても好奇心旺盛で、とても賢くて、感情的で、深みがある。ちょっと頑固なところもあるけど、そこは私も同じ(笑)。ただ、彼女のような役を演じたことはこれまで一度もありませんでした。映画全編を通してただ、自分自身でいたんです。演技をしていたというより、ただシナリオの中を生き抜いていました。
撮影中、感情的になる部分も多かったけどそういうときは完全に“私”でした。通常、演技で泣くためにはいくつかのトリックが必要になってきます。ご存知のように、たくさんの人がいろんな方法を持っていて、例えばペパーミントスティックを目に使うこともありますが、涙は出てもやけるように痛いからおすすめはしません(笑)。
でも私にとっては、この映画で見せた感情は全てリアルだったから、トリックで涙を引き出す必要もありませんでした。後からCGが入るシーンでも、その光景を肌で感じて自然に思い浮かべることができた。実際、泣きすぎて逆に(監督の)ジョンから「ちょっと涙を堪えてくれないか」と言われたこともあったくらい(笑)。「ごめんなさい」って思いながらも、自分がすごく感情的な人間で、(演技で)泣くのに苦労したことが一度もないことに気づけたんですよね。
──演じられたビーと共に行動するカルを演じたライアン・レイノルズとの共演はいかがでしたか?
彼は本当に素晴らしかった。とても尊敬しているんです。同じ作品に出られてすごくラッキーでした! 彼はご存知の通りとても陽気です。誰もが彼を面白い男性だと思っているけど、実際にそう。それだけじゃなくて、心も広いし優しいんです。そんな彼の良さが本作を通じてより感じられるんじゃないかなと思います。
──尊敬する彼との初対面した時のことを振り返ってみるとどうですか?
彼と初めて会ったのはオーディションでニューヨークに行った時でした。ジョンとはZoomで以前会ったことがあったんですけど、まだその時は2人とも直接会ったことがありませんでした。そしてニューヨークで2人とようやく会うことができたんですけど、彼らはすごく優しくしてくれたんです。オーディションの時、すごく緊張していたんです。でも部屋に入ったら彼らが笑顔で歓迎してくれたから、その顔を見た途端に緊張が一気に吹き飛んでいったのを覚えています。2人とも私に会うのをとても楽しみにしてくれていて、それから2、3シーンくらい演じて。1つはライアンと、もう1つはジョンとやりました。その時、私は演じていたというより、ただの自分として挑んだんです。そして今ここでインタビューを受けているということは、それが上手くいったってことかな(笑)。
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