2024.05.19 12:00
2024.05.19 12:00
人や夫婦について考えるきっかけになった
──本作の一つのキーワードとしてSNSがあると思うんですが、SNSに対してひたすらこの翻弄されている沙織里に対して、立ち向かっていったのが豊でした。
豊もSNSが引き金になっている部分もあると感じたから動いたんだと思います。結婚するとやっぱり相手の価値観を受け入れないといけないんですよ。“いけない”わけでもないですけど、一人で生きてたときとはちょっと勝手が変わると僕は思うんですよね。セリフでもありましたけど、「便所の落書きだから見なくていいじゃん」っていうことを自分は思ってても、彼女はついつい見ちゃう。家族である以上、その価値観も受け入れなきゃいけないんですよね。単純に「やめりゃいいじゃん」で終われないのが家族で、豊と沙織里の夫婦関係なんだと思います。
もちろん反発や喧嘩もあると思いますし、お互いの主張が合わなくなることや、お互いもともと好きだったところがこういう事件などをきっかけにとても嫌になってしまうとか、相手の長所、例えばズバズバ言ってくれるところが気持ちよかったのに腹立ってきて、すべてうまくいかなくなってくるとか。そういうところが描かれていて、そこも人に対する観察力がすごいなって思いました。僕自身も演じさせていただく中で、人ってこういうものなのかなとか、夫婦ってこういうものなのかなとか、世間ってこういうものなのかなとか、いろいろ考えるきっかけにはなりました。
──青木さんご自身はSNSとどういう距離感をとっていますか?
僕は結構音痴なので、鈍感でいいなって思ってます。あんまり一生懸命じゃないですね。インスタは一応やってますけど。
──自分の性に合わないという感じですか?
合うのかもしれないですけど、それを別に確認する必要もないかなって(笑)。興味ないわけじゃないですよ。
──青木さんは一方で、リアルではMC・ナレーション・舞台・映画・ドラマなど数多くの現場を経験されています。最近だと韓国映画『犯罪都市 NO WAY OUT』への出演もありましたが、様々なジャンルに枝葉が分かれていったのは青木さんご自身の好奇心の強さからなのでしょうか。
そうだと思いますね。そんなにジャンルに拘ってないですから。今は。あまり「こうでなきゃいけない」という考えをなるべく排除するようにしています。
──自分から「あれやりたい」っていう感覚ではなく……?
それもありますよ。本作の場合は、僕はオファーをいただいて「ぜひやりたい」っていう形でしたけど、こういう作品もやりたいなって常日頃思ったりします。あんまり自分のキャリアの伸ばし方とかをそんなに強く意識しているわけではなくて、その時々に来るご縁ですよね。「この役をやらせたら面白いんじゃないか」って思ってくださる方に対していいパフォーマンスをしたり、それ以上のものを提供できたら嬉しいなって思います。その結果がいろんなことに散らばっているっていうだけであって、自分として最初から意図したものではないですね。
──やりたいことを口に出して叶えていくタイプの人もいると思いますが、青木さんはいかがですか?
どっちもですかね? 言うときもあったり、そう簡単に人に言いたくないなってこともあったり。
──では、今後ご出演したい作品のジャンルなどはありますか?
この作品も日本だけではなくて外国の方でもご覧になることはできますし、プラットフォームもどんどん広がっていっているので、ご縁があったらっていうことはもちろんありますけど、国外作品もやってみたいですし、国内でやったものも国外で見てもらうとか、とにかく多くの人の目に触れてもらえたら嬉しいです。
──この映画は海外の方にはどのように見られるんでしょうね。
親子だったり、夫婦だったり、SNSにおける閉塞感は、やっぱり国内国外問わず普遍的な部分もあると思うんですよね。普遍的なテーマは結構散りばめられていると思うので、日本とかアジアとか欧米とか関係なく、どこで見ても理解してもらえると思います。
次のページ