関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ! 第19回
これぞエンタメ!『RRR』監督の傑作『マガディーラ 勇者転生』にみるインド映画特有の魅力
2024.03.24 12:00
2024.03.24 12:00
関根勤が偏愛するマニアックな映画を語る連載『関根勤のマニアック映画でモヤモヤをぶっ飛ばせ!』。第19回は2018年に日本で劇場公開されたS・S・ラージャマウリ監督の『マガディーラ 勇者転生』。
1609年、国王の娘と愛し合っていた伝説的な戦士が、軍司令官の陰謀によって無念の死を遂げてしまう。それから400年後のインドで、バイクレーサーのハルシャはあるきっかけで自身の前世がその戦士であることを思い出し、姫の生まれ変わりであるインドゥとも再開する。しかし、彼らの仲を引き裂いた軍司令官もインドゥの従兄弟ラグヴィールとして転生していた。
『RRR』や『バーフバリ』シリーズでお馴染みのラージャマウリ監督と、『RRR』でラージュ役として存在感を発揮したラーム・チャランのタッグでおくる本作の魅力を関根勤が語る。
第19回『マガディーラ勇者転生』
劇場公開は2018年ですが、2009年の映画なんです。特に主演のラーム・チャランが『RRR』の時は三船敏郎さんみたいにすごく渋かったのが、本作では若くて、風間トオルさんみたいに爽やかでイケメンなのが印象的でした。特にかっこよくてね。
400年前のインドで、男女が横恋慕の男に邪魔されちゃうんです。そして生まれ変わって主人公の記憶が蘇って、現代で彼女とも再会するんだけど、その再会がなかなかうまくいかなくてね。そこで紆余曲折ありつつ、最終的には主人公が愛する姫と離れ離れになってしまった同じような崖で悪者との戦いが再現されるわけです。その展開が熱くてですね、最後には二人は結ばれる。インド独特の現代劇だけで終わらず、過去に経緯があって、結ばれるべき人と結ばれるって壮大な物語です。
すごくロマンチックでね。僕、欧米の恋愛映画は苦手なんだけど、インド映画は何か良いんだよね。なかなか二人が知り合えなかったり、誤解があったりして。ヒロインも最後の方で気付くんです。まさに大庭秀雄監督の『君の名は』みたいな(笑)
特にダンスが素晴らしい。カット割りがすごくて、2週間くらいかけて撮影したのかって思うくらい。もういろんな角度から撮っているんですよ。インド映画で挿入されるダンスシーンって、本当に手が込んでいる。そして格闘シーンがまた凄い!インド映画って、この作品で言えば恋愛ありバトルあり復讐ありじゃないですか。なんか全ての要素をすごく細かくやるんですよね。結ばれなかった恋が、結ばれる。悪い奴に殺されたから、その復讐をする。現代と過去が繋がっていることで、なかなか良いSFになるわけです。だから、僕みたいに恋愛映画が苦手な人も楽しめる作品だと思います。
『RRR』も『バーフバリ』も面白かったし、ラージャマウリ監督は素晴らしいですね。インドのスティーブン・スピルバーグというか、黒澤明なんじゃないですか?(笑)本作と同じ「輪廻転生」をテーマにしている彼の他の監督作『マッキー』も過去に観ましたが、あれはもう少しコメディというか、くだらなくて面白かったです。
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