主演作『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』への想い
憧れの映像美の世界で、久間田琳加が感じた“頼ること”の大切さ
2023.09.04 12:00
2023.09.04 12:00
女優として、雑誌「non-no」専属モデルとしても同性を中心に大きな支持を集める久間田琳加。9月1日より全国公開中の映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』では、学校で常にマスクを着用し、本音を隠しながら「優等生」になりきる少女・茜を演じている。
本作はそんな茜が絵を何よりも愛するクラスメイト・青磁(白岩瑠姫)と触れ合うことで心を開き、無彩色だった世界が色づいていく……という珠玉のラブストーリー。性別・年代問わず共感できる難役を見事に演じ切った久間田が、役と、作品と向き合い感じた思いとは。茜と自身との共通点を語る飾らない素顔からは、さまざまな現場で愛される魅力が溢れていた。
高校生で迎えたターニングポイント
──今回『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』で演じられた主人公・茜は率直にどのような存在だと思いましたか?
思ったように自分の気持ちをはっきり言うことができなくて、周りの目もすごく気にしてしまって、素でいるところがすごく少ないキャラクターだなと感じました。でも、それが学生ならではと言いますか……中高生の時ってこういうふうに周りの目をより気にしてたなっていうのを思い返してくれる作品で、懐かしい気持ちにもなりましたね。
──久間田さん自身も高校生の頃、モデル活動で忙しくされていたと思うのですが、どんな学生でしたか?
茜ほどではないですけど、常に周りの目とか「みんな今どう思ってるかな」とか、ちょっとは気にしてたなって思います。でも割と今と変わらず明るかったですかね。
──茜を演じていく中で「心地いいと思う瞬間があった」というコメントを拝見しました。具体的にはどういった瞬間だったんでしょう?
前半は自分の気持ちをあまり言えなくて、後半になってくると青磁のおかげで言えるようになるシーンが多いんです。屋上で自分の気持ちを吐露するシーンは「早く撮りたい」と思っていたぐらい溜め込んでいたんですけど、監督のこだわりで、周囲にほとんど高いビルがないところで撮影したので、見上げたら青空しかなくて、そのシーンを撮った時は気持ち良かったですね。
──なかなか屋上で自分のことを叫ぶシーンもないですよね。青磁と茜は一言で“ラブコメ”と言えないような距離感で、お互いを目覚めさせた存在というところもまさに“夜明け”だと感じました。久間田さんは多岐にわたるキャリアで、振り返ってみると「このタイミングが自分の夜明けだったかも」という瞬間はありますか?
大きいのは「Seventeen」(雑誌)に入ったタイミングですかね。私、「non-no」が3誌目なのですが、「nicola」から「Seventeen」になった時は、今までとは違い、ちょっと大人の雑誌になって。自分の中のモデルとしての考え方や表現の仕方がガラッと変わったのは、「Seventeen」に加入した高校生の時ですね。
──その時に見える世界が変わりましたか?
変わりました! 出会うスタッフさんもガラッと変わりましたし、モデルで言うとポージングの種類も全然違って一から学び直したし、すごく視野が広がりましたね。
──楽しくもなったし、逆に壁にぶつかったりも……?
そうですね。「Seventeen」は自分が何を表現したいのかがすごく大事だなって思えた雑誌でもあったので、「美容が好き」とか「ファッションが好き」とか、自分は何が好きだって胸を張って言えるだろう?って考えたのもこの時だと思います。
──本作の茜は少し優等生を演じているようなところがあるキャラクターですが、女優としての久間田さんは、役に本来の自分もちょっと混ぜるか、それとも役に徹するかだとどちらだと思いますか?
いただいた役によると思うのですけど、今回はちょっと自分も入ってると思います。共感できるポイントが多い作品でもあったので「あ、この気持ち分かるな」というのは大切にしてました。
──前作の『おとななじみ』ではいかがでした?
加賀屋楓はハジけた性格で、自分からは遠いところにいると感じていたので、割り切って別で演じていたと思います。それに加えてラブコメディでもあったので、役に徹していましたね。
──両方やっていく上での楽しみ方ってあります?
どっちも楽しいです。でも今作では演じながら自分のことも深く掘っていく感覚があったので、茜の辛さが分かって、自分も一緒に辛くなっていく感じはありましたね。
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