普段のライブとは違うものになる

_{──すごく『BORUTO』の物語ともリンクする部分があるし、でもそこからはみ出していく、普遍的な部分っていうのもすごくある曲じゃないですか。先ほどの話にもあった「自分たちは持たざるものだ」という自意識とも重なるところがあったのかなって。}

ムツムロ　正直『NARUTO』っていう作品が自分たちにとってはお祭りぐらい当たり前にある存在だったんで、この曲のノスタルジーっていうのはそこから来てるのかもしれないです。初めて買ってもらったCDが『NARUTO』のベストだったんですよ。それを家でずっと聴いていたっていうのがあって、それをもう一度全部聴いてから曲を作り始めました。

_{──自分の中の『NARUTO』の原体験というか。}

ムツムロ　そうです。それを集めていって、もう一回自分のフィルターでろ過して戻すみたいな（笑）。

_{──みなさんはこの曲にはどういうふうに取り組んでいきましたか？}

木島　僕、アニメのタイアップのときってどう寄り添うかすごく悩んじゃうタイプで。やっぱり映像付きで流れるんで、その映像の雰囲気も考えながら作ったりして。今回はダンスナンバーっぽい4つ打ちだったんで、そこまでめちゃめちゃ深く考えたわけではなかったんですけど、『NARUTO』は走ってるシーンがやっぱり印象深いんで、あのスピード感はちゃんと出していきたいなって思いながら作っていきましたね。映像でも絶対「ナルト走り」はするだろうなって。

ムツムロ　昔、全員ナルト走りしてましたからね。運動会とかでもしてたからな。

木島　あとはボルトとカワキのふたりの関係性みたいなものもあったので、そこも少しでも出せればなって思って作っていきました。

ukicaster　ギターは、曲調がポップっていうのもあり、歌詞も普遍的な人間の関係性を描いていたりしたので……平常時のハンブレッダーズのギターサウンドでどこまで攻めれるかみたいな意識が今はずっとあるんですけど、自分の我とバランスを考えつつ、どうその普遍性とマッチングさせていくかっていうのを意識しながらやっていました。小綺麗にもなりすぎず、自分の色も失いすぎずっていう、いいバランスでできたんじゃないかなと思ってます。

でらし　小さい頃に見てたアニメの曲とかって、今でも歌えたり思い出せたりする曲っていっぱいあると思うんですよね。そういう曲にハンブレッダーズもなりたいなと思って、そこを絶対譲れないものにするために、アレンジや演奏もなるべくシンプルにして、歌がとにかく入ってくるようにということを意識して、バンドとしては作りましたね。

_{──めちゃくちゃキャッチーな曲ですよね。スッと入ってきて耳に残る。}

でらし　僕もできたとき、ずっとひとりで歌ってました（笑）。

_{──歌詞は結構『BORUTO』のことを考えながら作っていたんですか？}

ムツムロ　『BORUTO』のことももちろん踏まえつつ、パンクにしたくて。サウンドはポップなんですけど、「さよなら」という現実に対してのカウンターパンチみたいなことを歌いたいなと思っていました。『BORUTO』の曲としても『NARUTO』の曲としても、ハンブレッダーズのこととしても聴けるようにっていうのはもちろんなんですけど、プラスアルファで聴いてもらっている人のちっちゃな違和感だったり高鳴りだったりを肯定するような歌詞にしたかったなっていう感じですね。

_{──〈限りなく適当に生きてほしい〉っていうのはパンチラインだなと思うんですけど、あのフレーズが出てきたっていうのはムツムロさんにとっても大事なことだったんじゃないかなと。}

ムツムロ　「適当」って言葉はダブルミーニングじゃないですか。真逆の言葉なのがすごくおもしろいなと思って、「適当」って言葉が好きなんですよね。B型だからってのもあるかもしれないけど。俺以外3人A型で、俺だけB型なんですけど、だから3人はそんな適当に生きたくないって思ってるかもしれない（笑）。でも、自分の中でその「適当」っていうのが救いだなって思う瞬間があるんで。考えすぎる性格なんで、そうなってもらいたいっていう祈りを込めましたね。

_{──「いい加減に」っていう意味と「正しく適切に」っていう意味と。}

ムツムロ　そうそう。

_{──自分はどうですか？ 適当に生きられないタイプ？}

ムツムロ　分からなくて（笑）。なんか最近分かんないんだよな。どう？

木島　え？ あなたが適当かどうか？

でらし　肩の力を抜いてる部分と肩に力入ってる部分がちゃんとあるというか、日頃、何でもいいようなところは手から離れてる感じなのはめっちゃいいなと思う。ちょっと憧れでもある。

ムツムロ　そう、適当に生きるためにめちゃくちゃ理詰めをしてます。ここで適当に生きるためにここはちゃんとしよう、みたいな。たぶん伝わらないと思うけど。

_{──その「またね」を提げて「NARUTO THE LIVE」に登場するわけですが、共演するアーティストの錚々たるラインナップを見たときにはどんなことを感じましたか？}

ムツムロ　「大丈夫かな」っていう。

木島　俺たちでいいのか？って、まだ思ってるよ。

でらし　本当に中高大とテレビで聴いてきたような人たちとの共演じゃないですか。信じられないですね。

_{──でも、そこに同じ大阪出身で世代も近いKANA-BOONがいるのはちょっと安心感があるんじゃないですか？}

ムツムロ　そうですね（笑）。（谷口）鮪さんにはたまに遊んでもらうので。

でらし　たぶん僕たち、会場に行ってすごい縮こまってると思うんですけど、KANA-BOONの顔を見たらすごい安心するんだろうな（笑）。

木島　他のお三方と会ったことないからね、単純に。

ムツムロ　みんな優しくしてくださるんだろうけどね。まあ、この日は結構僕らもお祭り的なライブをすると思うんで、普段のライブとはちょっと違うものになるかもしれないです。

_{──どんなライブにしたいですか？}

ムツムロ　「またね」の2番以降を覚えて帰ってもらえたら（笑）。アニメは1番しか流れないんで。あと、他のみなさんはどうか分からないけど、僕らはライブハウスから来たバンドなんで、そういう部分も含めて自分たちの自己紹介をちゃんとできたらいいなって。