2023.08.02 17:30
にしな ライブハウスツアー「クランベリージャムをかけて」Zepp DiverCity公演より（写真：renzo masuda）
2023.08.02 17:30
“みんなと一緒にクレイジーになれたら”
「東京、最高でした。あと数曲やって終わります」。そんな短い言葉でライブの終わりが近づいていることを告げると、鋭いギターリフが鳴り出す。ここからは代表曲のオンパレード。まずは「スローモーション」だ。激しい心の動きをそのまま音とメロディにしたようなこの曲が、にしなというアーティストののっぴきならない本性を暴き出すように響く。そしてそのまま「ヘビースモーク」へ。たくさん曲を重ねてきてなお、この曲に刻まれたにしなの愛のかたちはやはり不変のものだ。〈深く吸い込んで 貴方以上に身体を蝕め〉──じっくりと語りかけるような曲調がかえってスリリングに、すべてを投げ出すような愛のありようを描き出す。曲が進むごとににしなの歌も感情を強め、熱を高めていった。
そしてその切迫した愛を解放するかのように「終わりの風景」が描かれる「1999」が優しく鳴らされる。昨年のアルバムツアーでもクライマックスとなったこの曲だが、やはりすばらしい曲である。しかも時間をかけて練り上げられてきたパフォーマンスは、この曲に込められた願いをよりヴィヴィッドに映し出す。まさに〈打ち上げ花火〉のような華やかなサウンドが彩るなか、ライブはフィナーレに向かっていった。
そして本編ラストはこのツアータイトルから生まれた「クランベリージャムをかけて」。オーディエンスの頭上からLEDが仕込まれピカピカ光る風船が降ってくる。にしなもステージの上にある風船をフロアに投げ入れたり、かちゃかちゃと動く犬や猫やパンダのおもちゃをステージのあちこちで歩かせたり、自由奔放なパフォーマンスを繰り広げる。楽曲自体もはっちゃけたような賑やかさとやけっぱちのようなテンションが同居した不思議な高揚感をもったものになっていて最高だった。アンコールでにしなは「みんなと一緒にクレイジーになれるライブにできたら」という思いでこの曲を作ったと語っていたが、まさに最後の最後、Zepp DiverCityはクレイジーな狂騒に包まれたのだった。
その後アンコールでは次のツアーの告知もしつつ「ケダモノのフレンズ」、そして締めの「アイニコイ」を披露。にしなは「せーの！」とオーディエンスの歌声を誘って、最後までみんなで楽しもうという姿勢を貫き通した。バンドとのコンビネーションも、お客さんとのコミュニケーションもますます進化し続けるにしなの今を刻み込んだツアー「クランベリージャムをかけて」。その鮮やかで鋭いパフォーマンスは、参加した全員の心に深く、強く残ったはずだ。
写真：renzo masuda
セットリスト
にしな ライブハウスツアー「
2023年7月27日(木) Zepp DiverCity
M1 ランデブー
M2 東京マーブル
M3 真白
M4 夜間飛行
M5 夜になって
M6 FRIDAY KIDS CHINA TOWN
M7 U+
M8 透明な黒と鉄分のある赤
M9 春一番
M10 centi
M11 青藍遊泳
M12 スローモーション
M13 ヘビースモーク
M14 1999
M15 クランベリージャムをかけて（新曲）
En1 ケダモノのフレンズ
En2 アイニコイ
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