1975年制作の異色ブラック・コメディが日本の劇場初公開
謎に包まれた予言の声が荒廃した2024年に誘う 映画『少年と犬』予言書&未来予告公開
2023.05.09 18:00
A BOY AND HIS DOG © 1975, 1982, 1990 III LQJ, Inc. All Rights Reserved.
2023.05.09 18:00
5月19日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開される映画『少年と犬』から、予言書と未来予告が公開された。
本作は西暦2024年の荒廃した地球を舞台に、少年とテレパシー犬のさまよえる旅が描かれる異色のSF黙示録ブラック・コメディ。原作は、2018年6月に84歳で死去したアメリカのSF作家ハーラン・エリスンが1969年にネビュラ賞・中長編小説部門を受賞した同名小説。1000を超える小説を執筆し、TVシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』(1964-1968年)や『アウター・リミッツ』(1963-1964年)のほか『宇宙大作戦(スタートレック)』などTVの脚本家としても活躍した彼の作品の中でも、斬新な設定が人気を博した。1975年制作だが今回が日本劇場初公開の本作は、1976年にサターン賞最優秀男優賞とヒューゴー賞最優秀映像部門賞受賞している。
西暦2024年、第4次世界対戦での核ミサイルの応酬により、地球上は荒廃。遺伝子変異により女性は生まれなくなっていた。生き残った者たちは地上と地下シェルターに二分され、地上は食欲と性欲を満たそうとする輩が奪い合いを繰り返し、荒れ放題。テレパシーで会話することが出来る犬ブラッドはいつも腹を空かし、少年ヴィックは女性を求めてさまよっていた。ある日、地下から来た少女クイラを見つけたヴィックはブラッドの忠告も聞かず、彼女を追って地下世界へ。そこは理想郷(ユートピア)なのか、はたまた……。
本作で監督を務めたのは、バイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパー監督作品の常連俳優として知られるL・Q・ジョーンズ。世界観や設定、登場キャラクターなどが『マッドマックス』シリーズ(1979年-)に影響を与えたとも言われており、ゲーム「Fallout4」の元ネタのひとつにもなっている。
少年ヴィックを演じるのは、当時25歳のドン・ジョンソン。後に主演を務めたTVドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』(1984-1989年)で渋さと色気を振りまき一躍スターダムにのし上がった。テレパシー犬ブラッドの深みある声を担当しているティム・マッキンタイアは音楽も担当し、エンディングでは歌唱も披露している。
今回公開された“世界崩壊大予言”と題された予言書では、地上も地下世界もたいへんな阿鼻叫喚の様を図解。いかにしてこの世が荒廃し、悲惨な状況に至るかを遺伝子変異、超管理社会、農場送りといった重要点を交えて解説している。
また、未来予告では、これから起こる出来事と状況を“予言の声”が告げる。後半で響き渡る「これは、かなり高い確率であなたが目にする未来」という言葉の通り、波乱の続く世界を生きる現代人にとって決して他人事ではない、鬼才ハーラン・エリスンが半世紀以上前に見た未来世界が描かれている。