2023.03.20 18:00
2023.03.20 18:00
声優ならいろんな表現に出会える
──オリジナルまで作っていたとなると、かなり本格的な活動だったのでは。
よく出演していたライブハウスが主催するバンド大会に出場したくてオリジナルを作り始めたんです。やるならしっかりやりたかったので、曲作りだけでなくどうやったらお客さんの心を掴めるのか、名前を覚えてもらえるのか、ライブでの見せ方も常に考えていました。そうしているうちに、徐々に自然とプロになりたいという感情が芽生えてきたんですよね。
──そこで音楽の道ではなく、声優の道に進もうと思われたのにはどんな背景があるのでしょう?
声優を題材にした『声優かっ!』という漫画に出会ったことですね。高校時代のガールズバンドの経験から人前でパフォーマンスすること、歌うことが好きなことに気付いたのと、『声優かっ!』を読んだときに小さい頃から自分にはなりたいものがすごく多かったことを思い出したんです。
──と言いますと?
声優は看護師にも先生にもお花屋さんにもなれるし、動物や宇宙人にも、子どもにも大人にもなれるんですよね。その役に寄り添いながら、その役の人生を生きることができるし、声優という仕事なら演じる以外にもいろんな表現に出会えるじゃん!と思ったんです。声優になりたいと言ったら周りもみんな好意的に受け止めてくれたのも追い風になりましたね。それで養成所に入学することを目標にしつつ、バイトをしながら資金を貯めて自分なりに声優の勉強をするようになりました。
──そのなかで「2016声優アーティスト育成プログラム・セレクション」に参加なさったということでしょうか。
そうです。まず福岡で上京資金を貯めて、上京した後に養成所のお金を貯めようと思っていたんです。余談ですけど、福岡でも東京でも同じチェーン店でバイトをしていたのですが、その東京のバイト先に、同じく声優を目指している先輩が在籍していたんです。その方が教えてくださったのが「2016声優アーティスト育成プログラム・セレクション」でした。力試しだと思って受けたので、まさか受かるなんて思ってなくて。あとから倍率を聞いてほんとびっくりして。
──幼少期から物怖じしない性格、高校時代に組んだガールズバンドでは自己プロデュースを欠かさず、アルバイトで上京と養成所資金を貯めるというタフネスをお持ちというところからも、オーディションでは爪痕を残す場面もおありでしたか?
オーディションでも自己プロデュース癖は出てましたね。博多弁を使ったら面白いかなと思って博多弁で自己PRをしたり……あとは勝負服ですね。当時クマさんにめっちゃハマってたので、クマさんがそのままどーんとワンピースになっている服を着ていきました。アミューズのYouTubeチャンネル(※「AMUSE VOICE ACTORS CHANNEL」)で戸越銀座商店街に行く企画で着ていたので、見たことある方もいらっしゃるかな。
──とっても可愛いお洋服だし前田さんにお似合いですけど、これをオーディションにチョイスする人はなかなかいないでしょうね(笑)。
着ていると落ち着くくらい、単純にその時にいちばんのお気に入りの服だったから選んだんですけど、どうやらインパクトがあったらしくて「なんか変なやつがいる」と思われたみたいで(笑)。
──「声優アーティスト育成プログラム・セレクション」のサイトには「枠にとらわれない人材」を求めているという旨が記載されていました。まさに前田さんのことですね。
ああ、うれしいです。自覚はなかったけど、相当枠からはみ出してたみたいです(笑)。「なんなんだこの子は、気になる」とずっと思っていただけたらしくて、こんな未経験の人間に可能性を感じてくださったことに本当に感謝しかなくて。「声優アーティスト育成プログラム・セレクション」のことを教えてくださった先輩、わたしを選んでくださったスタッフさん、声優の夢を追うこと許してくれた両親、いろんな方のご縁のおかげでここにいることは、生涯大切にしたいんですよね。
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