2023.03.17 11:00
©2023「658km、陽子の旅」製作委員会
2023.03.17 11:00
菊地凛子が初めて邦画単独主演を務める映画『658km、陽子の旅』が、7月28日(金)よりユーロスペース、テアトル新宿ほかで公開されることが決定した。
監督を務めるのは『#マンホール』(2023年)で第73回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に正式招待され、国内外で注目を浴びる熊切和嘉。菊地とは『空の穴』(2001年)以来、22年ぶりのタッグとなる。熊切監督はこれまで『ノン子36歳(家事手伝い)』(2008年)や『夏の終り』(2013年)で個性的なヒロインを描いてきたが、本作でも人生にもがき苦しむ“陽子”というヒロインを繊細に描き出す。陽子を演じる菊地は、“ロスジェネ”とも呼ばれる就職氷河期世代の等身大の姿をリアルに体現し、イニャリトゥ監督やコイシェ監督が絶賛する新境地を開いている。
ストーリーは父の訃報を受け東京から青森県弘前市の実家までヒッチハイクをすることになった陽子が、東京、福島、宮城、岩手、弘前をたどる旅の中で出会う人々とのトラブルやあたたかい交流を通して、後悔を抱え孤立した心を癒していく一夜のロードムービー。42歳、非正規雇用、独身、青森県弘前市出身。人生を諦めなんとなく過ごしていた就職氷河期世代のフリーター陽子(菊地凛子)は、かつて夢への挑戦を反対され20年以上断絶していた父が突然亡くなったことを知らされ、従兄の茂とその家族と共に車で弘前へ一緒に帰ることに。しかし、途中のサービスエリアでトラブルを起こした子どもに気を取られた茂の一家に、陽子は置き去りにされてしまう。陽子は弘前に向かうことを逡巡しながらも、所持金がない故にヒッチハイクをすることに。しかし、出棺は明日。北上する一夜の旅で出会った懸命に働くシングルマザー、人懐こい女の子、怪しいライター、心暖かい夫婦……様々な人々によって、時を止めていた陽子の心が動きはじめる。
公開された特報映像は、長く続く海岸沿いの道をひたすら歩んでいく主人公・陽子が波の荒い海を見つめ、砂浜に横たわり空を見つめるシーンを映し出す。映像内では、映画監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥとイザベル・コイシェがコメントを寄せている。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(映画監督)コメント
彼女が過去と対峙する姿に、悲しく胸を締め付けられた。彼女の苦痛や悲しみは、観客の心を突き刺し、目が離せなくなる。熊切和嘉は、主人公の痛みや雰囲気を探求し、見事に描き出し、素晴らしい仕事を成し遂げた。
イザベル・コイシェ(映画監督)コメント
この映画は孤独と敗北を描いた、力強い物語だ。人生の岐路に立つ孤独な女性を映し出し、観客の心を確実に揺さぶるだろう。