主演作『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』と音楽活動を語る
見る人の気持ちに応えるために、中村ゆりかが“真面目さ”を武器に挑む新たな表現
2023.03.16 17:00
2023.03.16 17:00
短編ドラマ『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』がYouTubeで配信されている。この作品は東京・港区界隈に生息する女たちと、女たちの事情を“晒す”配信者による恋愛群像劇。訳あり港区女子の恋愛を覗き見するスリリングさが話題を集めている。
本作で主演を務めるのは、中村ゆりか。1話で素性が暴かれるが、冷徹でどこか不気味な“謎の女”リナを熱演している。「どの作品にも、世の中に届けたいメッセージや、届けたい理由があるはず」と語る彼女がこの作品から受け取ったものとは?
3月1日には歌手として1st EP『Moonlight』をリリースし、音楽活動も本格始動させた。彼女の表現者としての矜持に迫る。
吹っ切って演じられるのがお芝居の楽しさ
──短編ドラマ『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』1話、私もハラハラしながら拝見させていただきました。中村さんは最初にこの脚本を読んだとき、どう感じられましたか?
結構攻めているお話だなと思いました。YouTubeの配信ドラマなのでいろいろ制限もあると思うのですが、妥協がないなと。テーマになっているのは、パパ活や浮気といったものを晒す配信者。私も覗き見する感覚で、ゾクゾクしながら脚本を読みました。見ていただいた皆さんの反応が楽しみですね。
──中村さんは俳優という職業で、このドラマでいう“暴かれる側”の立場にいらっしゃいます。そういう立場で思うことはありましたか?
私自身はメディアのゴシップには興味がないですし、のめり込んだりもしないですけど、「あー、そういうニュースがあるんだ」とフラットな気持ちで見ることはありますし、見たくなっちゃう気持ちはわかります。恋バナとして興味を持つみたいな感覚というか。見たくなる気持ちや、それを共有したくなるのって、ある種、人間の本能なんじゃないかなと思うんです。だからこそ“暴露系の配信者”をモチーフにしたこの作品も皆さんに刺さる部分や共感する部分がたくさん転がっているんじゃないかなと思いました。
──中村さんが演じたのは“謎の女”リナ役です。リナを演じる上で、意識したことや大切にしたことはありますか?
リナのブレないところは意識しました。リナって、誰かと1対1でキャッチボールする場面で、相手が誰であっても特別扱いしない。それでいて、ちょっと人のことを見下している部分はあるからこそ、「たまたまいた子がヤバイ子だったから、晒しちゃおっかな〜」みたいな悪事を働くというか。特に前半はそういう子に見えるようにお芝居させていただきました。でも最終話で、リナの素性が暴かれるんですよ。リナがどうしてそう言う行為をしてしまったのかが段々と分かってきます。今まで保っていた感情が崩れ落ちて……、そのギャップは大切にしました。
──最終話でのギャップは見どころですね。それまでは、「ちょっと晒しちゃおうかな〜」というノリのある、どちらかというと悪い役ですが、悪役は普段のご自身と違うからこそ、演じる面白さのようなものも感じますか?
そうですね。「どういう子なんだろう」「過去にはどんなことがあったんだろう」ということを考えた上で、ですけど、フィクションなので吹っ切って演じられる。そこがお芝居の楽しさだなとは思います。この作品に限らず、どの作品にも、原作者さんや企画してくださった方には、世の中に届けたいメッセージや、届けたい理由があるはずなので、そこはちゃんと汲み取って演じたいなと思います。
──では、この『晒し愛、こんな夜は誰のせい?』からはどのようなメッセージや想いを受け取りましたか?
リナは各話の登場人物の女の子の裏を暴いて、世に晒して陥れるという悪い役ですが、リナやこの作品は、危ない目に遭いそうな子や、危ないところに足を踏み入れようとしているところを止めているんじゃないかなと思うんです。悪い言い方ですけど、“落ちて”しまった子たちが、晒されることで気づいて、救われるんじゃないかなって。それにしても、やりすぎなところはあると思いますけど。“裏での悪事を暴いて晒すという行為を、皆さんはどう捉えますか?”という問いかけが、この作品にはあるのかなと思います。
──そんな想いを受け取って演じられた本作の見どころを挙げるなら?
1話から4話まで、全部フィーチャーされる人物も違えば、メッセージも違います。そのなかに、グサッと来る場面や共感できるところがあるかもしれません。あと、それぞれのキャラクターのプロフィールを、監督がキャスト皆さんに伝えていたり、細かなセットにまでこだわって作っていたりするんです。ですので皆さんすごく魅力的に写っているので、ぜひ見ていただきたいです。
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