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INTERVIEW

映画『生きててごめんなさい』主人公との共通点を語る

黒羽麻璃央の原動力は嫉妬心? 充実するために必要な“余裕”とは 

2023.02.04 17:00

2023.02.04 17:00

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『新聞記者』の藤井道人が企画・プロデュースを手がけ、ドラマ『アバランチ』の山口健人が監督を務めた映画『生きててごめんなさい』が2月3日に公開を迎えた。

現代の日本の若者たちが抱える“病み”を描く本作で、主人公・園田修一を演じた黒羽麻璃央。2023年は昨年から続くミュージカル『エリザベート』に加え、ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』に出演。立て続けに映画公開も控えるなど、様々なフィールドで活躍する彼は、人生に悩み、彼女への“嫉妬心”をあらわにする修一という役にどう挑んだのか。2012年にミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで俳優デビューして以来、役者道をひた走る黒羽に、プライベートと仕事のバランスについても聞いた。

『生きててごめんなさい』予告篇

舞台と映像はまったく別物

──映画を観て、人間らしさが生々しく強く伝わってくる作品だなと感じました。

この2時間の中では修一の“いいとこなし”な姿が描かれていて、ちょっと可哀想というか、演じていてもしんどかった、というのはありました。何をしても、人生がなかなかうまくいかないんですよね。彼の未来が少しでも明るいといいな、というのが演じ切らせてもらっての感想です。

──ただの“いい人”ではない修一ですが、どこに芯を置いて演じましたか?

やっぱり(彼女の)莉奈といる時かなと思います。修一が莉奈と一緒にいるのは、“自分より劣っている人”を身近に置いて安心感を得たいという部分があるんです。たとえば会社の上司に対する修一とは違う顔だったり、「本当に俺がいなきゃダメなんだな」という感情を少しでも表現できたらいいなと思っていたので、莉奈とのシーンは特に大事にしていました。

黒羽麻璃央

──初めから思い描いた通りのお芝居ができましたか?

いやいや、もう本当に監督にいろいろとサポートしていただきながらやったので、感謝しかないです。全部のシーン、全部のカットにちゃんと意味を持たせて、丁寧に丁寧に、感情の流れや表現の大きさについても、ずっと寄り添ってくださって。いいカットが撮れるまで何回もリテイクしてくださったおかげで、すごく素敵な作品になったと思います。

──ほかの作品と比べても、何度も撮り直しを?

そういう印象ですね。映像作品は時間との戦いでもあると思うんですけど、何度も何度も、納得がいくまで、使える時間をすべて使ってやってくださったので、僕自身も完成した作品を観た時には「良かったぁ」とこみ上げるものがありました。

──ちなみに、修一とご自身に通じる部分はありますか?

頼まれたら断れないっていうところですかね(笑)。やらなきゃいけないことを抱えていても、強制的に言われたら歯向かえない。僕もお願いされたら断れないタイプで、流されてしまうので。

──あまり「NO」と言えないタイプ?

人によりけり……長いものには巻かれろ、です(笑)。

──(笑)。現場の雰囲気はいかがでしたか?

とにかく暑かったんですよ。家のシーンにエアコンがなくて、その部屋の中にスタッフさんも含めて10人くらいいるので、「これ、あと何日続くんだろう」と(笑)。でも、撮影の合間には近所の子どもと話したり、現場は和気あいあいとしていました。みんながプロで、メリハリのある現場でしたね。

──自然体の芝居を求められる現場だったかと思いますが、ミュージカルとは演じ方にもかなりの違いがあるのではないでしょうか。

そのあたりは、監督が「もう何%落として」と細かく調整してくれました。この作品を撮っている時にもミュージカルをやっていたので、やっぱりミュージカルの演じ方が出ちゃうんですよね。だから、本当にうまくコントロールしてもらったと思います。

──やはり舞台と映像では、全然違うんですね。

もう、意味がわからないくらい違います(笑)。まったく別物で、カレーとラーメンくらい違います。

──違うけど、両方美味しいですね(笑)。ふだんの役作りについても聞かせてください。

たとえば趣味がある役だったら、その趣味をやってみるとか、形から入っていくようにしています。舞台は稽古で作り上げていくこともできますけど、映像作品はそれがないので、まずは形から入って、中に浸透させていく。自分の中で人物像を思い描いて、声のトーンだったりを突き詰めていく、みたいな感じです。

──現場に入った時に、求められるものが自分の想像していたものと違うこともありますよね?

ありますね。監督と話して、「あれ? 俺、全然違うほうで作ってきちゃった」って。でも今回はリハーサルもあったし、その前に監督とお話しする機会もあったので、ある程度「こういう感じかな」という修一像ができていて、そこから現場で軌道修正をしていきました。

『生きててごめんなさい』場面写真
©2023 ikigome Film Partners

──莉奈役を演じた穂志もえかさんとの共演はいかがでしたか?

本当に不思議な方で、莉奈そのままというか。カメラが回っていないところでも莉奈っぽさがあって、僕にはずーっと莉奈にしか見えなかったです。お芝居もすごくお上手で、迷惑かけられないなと思いながらやってました。

──刺激を受けることもありましたか?

刺激を受けっぱなしです。穂志さんって、ずっとフラットなんですよね。それがすごいなと思いました。演じているのか、演じていないのかがわからないっていう。

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心のターニングポイントになった“逃げ道”

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作品情報

生きててごめんなさい

©︎2023 ikigome Film Partners

©︎2023 ikigome Film Partners

生きててごめんなさい

2023年2⽉3⽇(⾦)よりシネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ渋⾕、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開
5.1ch/107分
制作プロダクション:スタジオねこ
配給:渋谷プロダクション
製作:「イキゴメ」製作委員会

公式サイトはこちら

スタッフ&キャスト

監督:山口健人/企画・プロデュース:藤井道人

出演:黒羽麻璃央、穂志もえか、松井玲奈、安井順平、冨手麻妙、安藤聖、春海四方、山崎潤、長村航希、八木アリサ、飯島寛騎
エグゼクティブプロデューサー:鈴木祐介/プロデューサー:河野博明、雨無麻友子/脚本:山口健人、山科亜於良/撮影:石塚将巳/照明:水瀬貴寛/録音:岡本立洋/美術監督:相馬直樹/美術:中島明日香/小道具:福田弥生/助監督:渡邉裕也/キャスティングプロデューサー:高柳亮博

あらすじ:
出版社の編集部で働く園田修一(黒羽麻璃央)は清川莉奈(穂志もえか)と出逢い、同棲生活をしている。
修一は小説家になるという夢を抱いていたが、日々の仕事に追われ、諦めかけていた。莉奈は何をやっても上手くいかず、いくつもアルバイトをクビになり、家で独り過ごすことが多かった。
ある日、修一は高校の先輩で大手出版社の編集者・相澤今日子(松井玲奈)と再会し、相澤の務める出版社の新人賞にエントリーすることになる。
一方、自身の出版社でも売れっ子コメンテーター西川洋一(安井順平)を担当することになるが、西川の編集担当に原稿をすべて書かせるやり方に戸惑う。修一は全く小説の執筆に時間がさけなくなり焦り始める。
そんな中、莉奈はふとしたきっかけで西川の目に止まり、修一と共に出版社で働く事となる。西川も出版社の皆も莉奈をちやほやする光景に修一は嫉妬心が沸々と湧き、莉奈に対して態度が冷たくなっていく。いつしか、喧嘩が絶えなくなり──。

黒羽麻璃央

アーティスト情報

1993年生まれ。宮城県出身。
2010年、第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにて準グランプリ受賞。
2012年、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで俳優デビュー。
その後、様々な舞台、ミュージカル、映画、ドラマに出演。中でもミュージカル『刀剣乱舞』は社会現象化するほどの人気を博した。
近年の主な出演作は、ミュージカル『エリザベート』、映画『貞子DX』、ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』など。

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