ブロードウェイの傑作が現代の日本バージョンに
生田絵梨花を中心にミュージカル界の若手実力派が集結! 『MEAN GIRLS』開幕
2023.01.30 21:00
2023.01.30 21:00
生田絵梨花が主演を務めるブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』が、1月30日に東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で開幕した。
2004年に制作された同名アメリカ映画をもとに、2018年にブロードウェイミュージカル化。新型コロナウィルス流行の影響で2020年にはクローズしてしまったものの、トニー賞において12部門でノミネートされるなど高い評価を博した作品だ。
動物学者の両親を持ち、アフリカで育ったケイディ(生田絵梨花)は16歳になって初めてアメリカに引っ越すことになる。これまで自宅学習で学校に通ったことがなく、浮いているケイディに話しかけたのはアートフリークの女子ジャニス(田村芽実)とゲイボーイのダミアン(内藤大希)。2人から校内の派閥、とくに「プラスティックス(Plastics)」という3人組には気をつけるように言われたケイディだが、プラスティックスのトップで学園の女王様であるレジーナ(石田ニコル)に「仲間にいれてあげてもいい」と言われる。ジャニスに報告すると「仲間になったふりをして弱みを握って欲しい」とのこと。一方、ケイディは得意な数学の授業で知り合ったアーロン(小野塚勇人)に一目惚れをするのだが、アーロンはレジーナの元カレで……というストーリー。
アメリカのティーンズ社会における「スクールカースト」を、ユーモラスに、特に皮肉もたっぷり交えて、極上の音楽とともに描き出したこの作品。なんと言っても見どころは、生田絵梨花を始めとしたミュージカル界の若手ホープが勢揃いしたところだろう。乃木坂46のメンバーとして活動中にも『レ・ミゼラブル』や『モーツアルト!』など数々の本格ミュージカルに出演、卒業後はもはやミュージカル界で欠かせない存在となっている生田。彼女のまっすぐで透明感あふれる歌声と雰囲気が、アフリカ育ちという素朴さを持つケイディという役によく似合う。物語はケイディの一人称でほぼ進むため、披露するナンバーもダンスシーンも多ければ、ゾンビ?から可愛いサンタワンピ姿までさながら七変化のコスチューム姿を見せてくれたりと、まさに“大サービス”! また物語の中でケイディはだんだんと「人気者」になり自分を見失っていくのだが、そんなリアルな等身大の役も似合うのはさすがと言いたい。
そんな生田と紆余曲折ありつつ、友情を育むジャニス役にはハロー!プロジェクトのアイドルグループ「アンジュルム」の一員として活動していた田村芽実。彼女もかねてからミュージカルへ女優の夢を語り、グループ卒業後は数々の舞台に出演、近年は『ウエスト・サイド・ストーリー』や地球ゴージャス『クラウディア』、ブロードウェイミュージカル『イン・ザ・ハイツ』『ヘアスプレー』など大舞台での活躍が続く。今作での生田と田村の「競演」を心待ちにしていたファンも多いはずだ。
学校の中でも「はみ出し者」扱いのジャニスは、非常に個性が強いキャラクターで楽曲もパワフルなものが多いが、そんな難役を田村は見事に演じている。また、今作は生田とのデュエットシーンも多々あるのがなんとも嬉しいところ。レジーナの本性をジャニスがケイディに語るナンバー『Apex Predator』は前半のハイライトの1つだが、2人の実力とパワーが真正面から拮抗するその迫力たるや!! ミュージカル界の新世代台頭を確信できる……そんな意味でもワクワクしてしまう。
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