2023.01.19 17:00
2023.01.19 17:00
これからは自分のベストを探る時間
──鶴嶋乃愛さんと宇垣美里さんとの共演はいかがでしたか?
お2人とも全くタイプが違う女優さんだったので面白かったです。乃愛ちゃんは誰とでも明るく喋れるけど、でも人一倍緊張するタイプでもある。主演のプレッシャーを毎日背負いながらやってたんだな、ということが途中からわかってきました。一見飄々とやっているんですが、実は彼女の中にある責任感も強いし、役を自分の中で捉えていく作業を大切にしている。だけど普段は「21歳の女の子」という部分も見えて。僕としては13歳も離れているんで、最初は「仲良くしてもらえるかな」と不安だったんですけど(笑)撮影を通じてとても仲良くなれたので良かったです。宇垣さんはすごく穏やかな方なんですが、役に対しての熱の入れ方がすごく強くて、ご本人の中でもそこを芯にして撮影しているんだろうなという印象です。仕事スイッチが入ったときのある意味たくましさというか、そういうところが魅力でした。
──ちなみに素の村井さん個人としては、直也のようにアプローチを受けたときに察して断るタイプなのか天然で気づかないのか、どちらなんでしょう?
やっぱり関係性ははっきりしておいた方がいいというのはありますね。恋愛感情を持たれているなと気づいたときに、それに対して中途半端に応えると逆に相手が傷ついたりするじゃないですか。だから「そういうんじゃないからね」と先にはっきり言う。でもそれは34歳くらいからできるようになってきた気がします。
──村井さん、今34歳ですよね……? 最近じゃないですか!(笑)
何て言うんでしょうか……僕も独身なので恋愛もできますし、結婚相手も探しているんですけど、だからこそ「簡単な恋愛をしたくない」という考えになってきました。これが20代の頃だったら、よく知らない相手と時間をかけて付き合って、何年かしたらベストカップルになれるかもしれないという期待もあったと思うんですけど、年齢とともにそこにかける時間とか余裕がなくなってきたぞと……この答えからも、これを読んでいる方が思っている以上に僕が「おっさん」だということがわかっていただけるような気がします(笑)。
──年齢のお話もたびたび出てきましたが、村井さんの中で年齢とともに俳優としての立ち位置やポジションが変化しつつあるというのは感じますか?
変化は感じます。僕より世代が下の20代の俳優たちがたくさん出てきているので、もう「若手の中で頑張っている」という感覚ではないですし、俳優としての居場所をしっかりと自分で認識した上で、それを育てていく作業に移り始めてきているというか。「人は見た目で決まる」じゃないですが、俳優はどうしてもルックスというか、その人が持つ雰囲気や空気次第で役柄の合う・合わないが出てきてしまう。その俳優の人間としての魅力だったり、いい部分も悪い部分も、いろんなものが混ざり合って俳優の「顔」というものが出来上がってくると僕は思っているんです。だからこそ自分の人生や立場、立ち位置をしっかりと受け入れた上で、今自分ができるベストなものは何なのか。これからはそれを探っていく時間なんだろうな、と思っています。
──そのために今自分でなにかやるべきこと、必要だなと感じていることはありますか?
俳優というのはオファーをいただかない限りはなかなか自己評価を作ることができない、不思議な職業だなと思います。だからこそ「こんな役がやりたい」「あんなことがやりたい」というのは基本的に持たないようにしてきたんですけど、それじゃダメなのかなというのは少し考え始めたりしています。もちろん基本的にはいただいた役柄を通して自分なりに成長し、方向性を作り出していきたい、と思っていますが。あ、ただ一つだけやりたい役柄はあります。あちこちで話していますが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のミュージカルが外国で上演されているんですが、もし、日本版が上演されるなら、マーティ・マクフライ役!! これだけは夢が叶うまで言い続けたいと思います。