2022.11.19 12:00
2022.11.19 12:00
シアターコクーンで11月23日より上演される、松尾スズキの最新作『ツダマンの世界』。日本の昭和初期から戦後を舞台に、阿部サダヲ演じる小説家「ツダマン」をめぐる狂気のメロドラマが繰り広げられる。この作品で初舞台を踏むのが、近年映画・ドラマ・CMと目覚ましい活躍を見せている見上愛。各方面から注目を浴びる彼女が、初舞台に向けて思うこととは?
楽しみと「どうしよう」が半分半分
──初舞台がこの『ツダマンの世界』に決まったときの感想はいかがでしたか。
信じられなかったですね、本当にびっくりしました。オーディションだったんですけど、動画を送る形式だったんですよ。だから松尾さんにも直接お会いしておらず……それだけに余計びっくりしたというか。松尾さんの作品に「合格したい」という思いはあったんですけど、受かるとは思ってなくて夢物語のようでした。
──高校時代に演劇部に入っていたり、すごく演劇がお好きだという話を伺いました。「いつか女優として舞台に立ちたい」という思いはあったのでは?
そうですね……いつかは、と考えていました。ただ、今は大学に通いながらお仕事を続けている関係上、なかなか舞台のお仕事はスケジュール的に難しいことが多くて。でもずっと「やりたい」とは思っていたんです。
──大学でも演劇を学ばれているんですよね?
そうなんです。でも今在籍しているのは演出を専門に学ぶコースなので、「自分たちで演じる」ということはないんです。たまに授業のときに自分たちでやってみる、くらいで。だからお仕事として、本格的な舞台を作る現場に加わるというのは今回が本当に初めてで、毎日が勉強です(笑)。
──期待と不安だと、今はどっちの方が大きいですか?
本当に半々ぐらいですね。楽しみと「どうしよう」が交互に来る感じです。
──最初に脚本を読まれたときの感想は。
「すごく面白いな!」でしたね。今回のキャストの皆さんがこの脚本を演じるんだ、と思ったら、単純にすごく楽しみになりました。自分が演じる役に関しては食らいついて、頑張ろうと(笑)。今回、ひとつの役だけではなくて、いろんなキャラクターを演じなければいけないんですよね。だから松尾さんと初めてお会いしたときも、声の使い分けとか動きのこととか、そういうお話をしたんですけど……とにかく、なにもかもが初めてなので、わからないことがあまりにも多いんですよ。だから素直に、何でもやってみようと思ってます。
──松尾スズキ作品はもともとお好きだったとか。
はい! サイン入りの戯曲本も買ってます(笑)。
──松尾作品のどんなところを魅力に感じたんでしょう?
何かこう……人間が潜在的に持っている「嫌なところ」とか、そういう弱いところをすごく愛おしく描かれる方だなと。
──今回の作品もわりとみんな、登場人物が「どうしようもない」んですけど、その「愛おしい」と言うのはわかる気がします。どこか優しいというか。
たしかに、みんなどうしようもないかもしれないですね(笑)。
──実際にお会いした松尾さんの印象はいかがでしたか?
……優しい印象も持ちました。ただ、何て言えばいいんだろう、にじみ出てるものは穏やかなんですけど、こういう作品を書けるということは、そんなにずっと穏やかなわけじゃないと思うんですよね……(笑)。
──大学では演劇を「作る」ことを学ばれている分、現場でめいっぱい吸収できることは吸収したい、という気持ちもあるのでは?
ありますね。「初めて」は1回しかないですし、こんな素敵な方々とご一緒する機会もそうそうないでしょうから、いろいろなことを吸収できたらいいなと思ってます。だって見てくださいよ、(他の共演者が)この方々ですよ? 凄いですよね?!
──確かに凄いですよね(笑)。
だから、本当に頑張らないと! と思っています。
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