お笑いしか考えてなかったふたりと、お笑いしかなくなった伊藤

やつい　仕事は何してたの？

伊藤　携帯ショップの店員です。

やつい　何年働いてたの？

伊藤　2年です。

やつい　何か天啓があったの？

伊藤　それも飽きちゃったんですよね。そこで「俺はお笑いやりたいんだ」と思って、その時にはネクタイを外して走り出してました。

やつい　嘘くさいんだよなぁ。

本間　あれじゃないの？ 遠距離恋愛してた北海道の彼女と別れて。

やつい　全然違うじゃん！話してよ早く（笑）。

伊藤　それはもう2時間くらいかかる話なんですよ！（笑）

やつい　でも結婚しようと思って働いてたんじゃないの？

伊藤　 いや、思わなかったんですよね。深く付き合うと結婚のビジョンが生まれるじゃないですか。ただ、待てと。俺、お笑いやりたかったのに北海道に墓場建てようとしてんの？って思って。そしたらもうネクタイ外して走り出してましたね。

やつい　でもフラれたんでしょ？

（一同笑）

伊藤　 フラれたかフラられてないかで言うと、フラれました。

本間　それで楽しみとかがなくなっちゃって、よくよく自分のやりたいこと考えたらお笑いだったって気付いたんだよね。

やつい　ありがとうございます。それでソニー入ったんだ？

伊藤　それでそうっすね。あの──。

本間　とにかくライブに出ようとしたんだよね？

伊藤　そうですね、ライブに出ようとして。

やつい　わかった、もうキッドくん話して（笑）。

（一同笑）

本間　ライブできる場所探してたらソニーもライブの出演者募集してて、普通のライブだと思って行ったら「履歴書持ってきて」って言われて所属になっちゃったんだよね。

やつい　そしたら最下位になっちゃたんだ。でもそのとき初めて自分がつまらないってことを突きつけられたんでしょ？最下位だよ？

（一同笑）

伊藤　 しつこいっすね！わかりましたよ！

やつい　でもすごいよね、一番下の最下位なのにや団からひとり抜けたときに推薦されるなんて。マネージャーさんから「お前いいぞ」って言われてたの？

伊藤　はい。

中嶋　言われてないでしょ。

やつい　本当のことを話してよ（笑）。

伊藤　僕には直接言ってなかったです。

やつい　確かに、原田泰造さんみたいなとこあるもんね。

伊藤　（しみじみと）嬉しいっす。

（一同笑）

中嶋　で、ネタ見せの日に伊藤のことを捕まえて話をしようと思ったら来なくて、その次の週も来なくて、マネージャーに聞いたら「やばい、あいつもう辞めるぞ」って（笑）。

やつい　話が違うじゃん！あきらめてるじゃん（笑）！

伊藤　そりゃ、ウケないんだったら活力も無いですよ……。

本間　それで来なくなってるところをマネージャーさんに連絡先を聞いて、良かったらって言って入れました。僕はずっとトリオがよかったんですよね。

やつい　前のネタも使えるしね。

本間　ただ今日話してわかったと思うんですけど、バカなのに「どんなネタやりたい？」って聞いたら「時事を切りたい」って言ってて（笑）。

伊藤　昔やってたネタの感じが抜けてなかったんですよね。

本間　「大丈夫？」って聞いたら「新聞はとってるけど読んでない」って言ってて。周りだけ固めてて。

やつい　本当にお金を無駄にするね（笑）。

伊藤　新聞は飽きますよ。

やつい　同じの読んでたの？ 新聞って毎日新しいのが出るんだよ。

伊藤　文字が多いのが……。

本間　それで僕がネプチューンさんのVHSとか見せて、こういう感じのコントがやりたいって教えて行ったらどんどん好きになってくれて、今の感じになりました。演技すれば輝くので。

やつい　自分が演技力があるってわかってた？

伊藤　いや、全くです。

やつい　すごいね、ほんとに。ふたり（本間と中嶋）は同級生なんだっけ？

本間　僕らふたりとも中学受験してるんですけど、小学校のときの塾で出会って、それから大学まで一緒ですね。

中嶋　僕ほんとはもっといい中学に受かってたんですけど、本間に合わせて同じ中学に行ったんですよ。初めて親に反抗しました（笑）。

やつい　それは本間が好きだったから？

中嶋　面白くて衝撃的でした。中学入ってからもずっとクラスで2番目に面白くて。

本間　2番目くらいが玄人向けなんですよね。

中嶋　で、大学は同じ大学だったんですけど校舎が違くて。僕は千葉で、本間は静岡の校舎だったんですよ。そんなときにお笑いやりたいと思って、月1くらいで静岡に通って繋ぎ止めてました。

やつい　すごい好きだね。

中嶋　それで大学で知り合った友達をお笑い好きに育て上げて、本間とその友達を一緒に夏フェスに誘って仲良くさせてトリオを組みました。

やつい　すごいね。めっちゃお笑いやりたかったんだ？

中嶋　やりたかったです。大学も卒業したら親に就職しろって言われるのわかってたのでわざと留年しました。

やつい　一番やばいじゃん（笑）。

本間　僕も親に就職しろって言われてたので飲食会社に受かったんですけど、研修まで行って辞めて、親に「お笑いやりたいから辞めてきた」って伝えて。そしたら「30歳までに売れなかったら就職しなさいよ」って言われたんですけど、うやむやに40までやってます。

（後編に続く）