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ヒップホップで社会を生き抜く! 第7回

スヌープ・ドッグの人生から学ぶビジネスと失敗──自身のブランド価値を理解する重要性

2022.10.10 13:00

snoopdogg.comから

2022.10.10 13:00

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1993年にリリースされたデビューアルバム『Doggystyle』が、世界で1,000万枚以上のセールスを記録し、一躍大スターになったスヌープ・ドッグ。現在30年ぶりにドクター・ドレーとアルバムを制作していることが話題になっているスヌープ・ドッグであるが、彼はラッパーとしてだけではなく、様々な分野のビジネスで成功している。

数々のブランド意外にも、自身のゲーム、料理本、そして朝食シリアルなどを手掛けるスヌープ・ドッグであるが、常にビジネスで成功していたわけではない。彼のビジネスの成功は、過去の失敗の上で成り立っているのだ。そんな彼がビジネスで成功するきっかけとなった学びを紹介したい。

ドクター・ドレーに発掘され、〈Death Row Records〉と契約したスヌープ・ドッグ。1992年にドクター・ドレーの「Deep Cover」に参加し、さらには、同年にドクター・ドレーのソロ・デビューアルバム『The Chronic』に全面的にフィーチャーされ、最注目の新人ラッパーとして大きく話題になる。1993年にはドクター・ドレーがプロデュースしたデビューアルバム『Doggystyle』をリリースし、初週に80万枚のセールスを記録する大ヒットとなった。その後、1996年に同じく〈Death Row Records〉から2ndアルバム『Tha Doggfather』をリリースし、こちらも200万枚を超えるヒットとなった。

このように〈Death Row Records〉時代のセールスを見ると、スヌープ・ドッグが当時からビジネス的にも成功していたように見えるが、実際には〈Death Row Records〉と創設者シュグ・ナイトに悪い契約を掴まされていたようで、経済的な成功を得ていなかったようだ。彼は2017年にラジオ「Power 106」に出演した際に、以下のように語っていた。

「世の中の人達は聞いたことは信じないけど、見たものは信じる傾向がある。俺がインスタで自分が所有する車とか金のチェーンを見せびらかすのではなく、ビジネスをやったり、プロモーションしている様子を見せているのは、自分の責任を果たしているからなんだ。俺も若いときには、今の若いやつらと同じようなことをしていたからね。若いときには金そのものにしか興味なかったし、逆に契約書とかビジネスに興味がなかったから損もした。“Tha Doggfather”が200万枚ぐらい売れたのに、自分が得るべき金額をもらっていないと気がついたのがきっかけで、色々変わったんだ。

それは自分のせいでもあるし、俺には良い弁護士がいなかった。〈Death Row Records〉に“ここにサインしろ”って言われて、目先のことしか見えていなかった。なにも疑問を持たずに契約をしてしまったんだ」

メンターの存在

このような契約の問題や、暴力的な環境に危機感を覚えたスヌープ・ドッグとドクター・ドレーは、結果的にシュグ・ナイトと闘い、レーベルからの自由を得た。不利な契約をしていたそんなスヌープ・ドッグにとって、ビジネス的なメンターとなった人物が2人いる。当時、スヌープ・ドッグが〈Death Row Records〉を抜けるために動いた人物がニューオーリンズのヒップホップビジネスマン、マスター・Pであった。マスター・Pは、シュグ・ナイトのもとから去りたいスヌープ・ドッグを、自身の〈No Limit Records〉に移籍させ、スヌープ・ドッグに新たなアーティスト人生を与えたのだ。

スヌープ・ドッグはストリーミング・サービス「Tidal」の#CRWNシリーズにて、「マスター・Pが俺の人生を救った」と語っている。当時、シュグ・ナイトは悪名高く、その暴力的な行動が恐れられていたため、困っているスヌープ・ドッグを手助けするものがいなかったようだ。特に2Pacが銃殺されたあと、スヌープ・ドッグのレーベルから抜けたいという思いは強まっていた。そんなとき彼の前に現れたのがマスター・Pであった。スヌープ・ドッグは当時のことを以下のようにコメントしている。

「俺が困っていたとき、立ち上がったのがマスター・Pであった。彼は“俺がシュグ・ナイトと交渉する。スヌープはどうしたいかを教えてくれ”と言ってくれた。だから自分にとって重要なことを彼に伝えた。そして彼はみんなが恐れていたシュグ・ナイトに自ら交渉しにいったんだ」

マスター・Pは、スヌープ・ドッグを手助けしたいという気持ちと、当時のサウスで圧倒的に力を持っていた自分のレーベルに西海岸のスターであるスヌープ・ドッグを迎えたら相当話題になると感じていたのだろう。さらにマスター・Pは、シュグ・ナイトと交渉をするだけでなく、生き残る知識を与えてくれたとスヌープ・ドッグは明かしている。

「彼は俺にお金を渡し、家も車も2つ買ってくれた。しかも全部俺の名義で買ってくれたんだ。これは俺がはじめて自分の名義でゲットしたものだった。それまでは、俺のものは全てシュグ・ナイトのものだった。そして俺は家族をニュー・オーリンズにつれてきた。彼は俺に落ち着いて、腰を据えてビジネスをやる方法を教えてくれたんだ

彼は自分でビジネスをコントロールする重要性を教えてくれた。全員に与え、与えたものに対しての責任を持たせる。与えられたものは、自分の名義になるから、それを維持するのも、失うのも自分の責任なんだ。どのようにしたらゲットできるか、そしてどのようにしたら失うのか、それを教えてくれた」

マスター・Pにビジネスを教わったと明かしたスヌープ・ドッグ。また、彼は伝説的ファンクバンド、ザ・ギャップ・バンドのチャーリー・ウィルソンからもビジネスを教わったと語っている。チャーリー・ウィルソンは以前からスヌープ・ドッグにファイナンスのアドバイス与えており、スヌープ・ドッグは「自分のファイナンスが上手く行かなくなったとき、アンクル・チャーリーが言ってたことを聞かないとダメだって思ったんだ。彼は自分の身の回りの問題を見直す機会を与えてくれた」とコメントしている。

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所属していたレーベルを買収

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スヌープ・ドッグ

アーティスト情報

1972年LAはロング・ビーチ生まれ。ギャングの一員として荒涼とした幼少期を過ごしてきたスヌープ・ドッグ(当時スヌープ・ドギー・ドッグ)が、ラッ プに専念しようと91年にネイト・ドッグ、ウォーレン・Gと共にクリーク213を結成。西海岸の首領(ドン)=ドクター・ドレーに見出され92年「ディープ・カヴァー」でレコード・デビューを果たす。その後、ドクター・ドレーの歴史的ソロ・アルバム『クロニック』に大々的にフィーチャーされ、大きな注目を 集める。全編ドクター・ドレーの制作のもと、彼のインタースコープ傘下のレーベル=デス・ロウから満を持してリリースされたデビュー・アルバム『ドギー・ スタイル』(’93)は西海岸のギャングの生き様をリアルに描き、強烈な世界観を提示、驚異的な大ヒットを記録。瞬く間にアメリカを代表するラッパーとな る。その後、名前をスヌープ・ドギー・ドッグからスヌープ・ドッグに変更するもレーベル内の紛争に巻き込まれEMI傘下のノー・リミット・レーベルに移籍、多数のプロデューサー/ラッパーたちとの交流を深めながらコンスタントにアルバムをリリースし、常にシーンのトップ街道を突き進む。特にファレル・ ウィリアムスとのコラボレーション・アルバム『Paid tha Cost to Be da Bo$$』発表後の突き抜け具合は、目を見張るモノがある。再びインタースコープ傘下のゲフィン・レーベルに移籍後も、『R&G(リズム&ギャングス タ):ザ・マスターピース』と06年末の『ダ・ブルー・カーペット・トリートメント』と壮大なスケールのアルバムを立て続けに発表。唯一無二のヴォイスと フロウのラップ・スタイルはすでに孤高の粋にすら入っている。また音楽活動での後進の育成はもちろん、自身のバスケット・ボール・チームを通じた地域社会 の活性化、ハリウッド界への進出なども精力的に行い、その発言、行動には大きな注目が常に集まっている。

(引用)https://www.universal-music.co.jp/snoop-dogg/biography/

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