不動の人気作2枚を全曲パフォーマンス
a flood of circleが10年の時を経て鳴らす“今日のための曲” アルバム2枚再現ツアー東京公演レポート
2022.09.22 22:00
2022.09.22 22:00
a flood of circleが、約10年前にリリースした2枚のアルバム『FUCK FOREVER』と『I’M FREE』の全曲を演奏するツアー「Tour “FUCK FOREVER & I’M FREE”」を2022年9月に名古屋、大阪、東京、札幌の4都市で全5公演開催した。
2012年12月5日にリリースされた赤い背景に中指を立てたイラスト写真がインパクト大のインペリアルレコード移籍第1弾ミニ・アルバム『FUCK FOREVER』、2013年7月17日にリリースされた移籍後初にして5作目のフルアルバム『I’M FREE』。この2作に収録された楽曲が、2022年にどう鳴り響くのか? 2022年9月17日(土)の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演の様子をレポートする。
「日本にFUCKが必要だったんじゃないかなと思って」。佐々木亮介がそう言葉にしたのは、『FUCK FOREVER』をリリースした2012年12月のことだった。あれから、もうすぐ10年が経つ。それにも関わらず、『FUCK FOREVER』や2013年にリリースされた『I’M FREE』の楽曲たちが色あせず鳴り響いたのは、a flood of circleの信念がぶれていないことはもちろん、現代社会に必要なメッセージがギュッと詰めこまれていたからなのかもしれない。9月17日に渋谷CLUB QUATTROで行われた「Tour FUCK FOREVER & I’M FREE」東京公演を目にすると、そう思わずにはいられなかった。人々はFUCKを求めている。自分の大切なLOVEを守るための、力強いFUCKを。
ソールドアウト公演ということもあり、隙間なく人で埋め尽くされた会場。年齢も性別もバラバラなオーディエンスは、a flood of circleというバンドが長きに渡り愛されると共に新たなファンも獲得していったことを感じさせる。時計が定刻を示し、赤と青のライトがステージを照らすと、暗幕の奥からメンバーが現れた。
佐々木は「Are You Ready?」と焚きつけると、ポエトリーな語り口の「Summertime BluesⅡ」を投下。助走もなしにかまされる本気のロックンロールによって、1曲目とは思えぬ勢いで瞬時に会場のボルテージは上がっていく。息のあったクラップが鳴り響く「Dancing Zombiez」、ベースラインがのたうち回る「Diver’s High(VAVAVAVAVAVAVA)」と駆け抜けていくセットリストから察するに、「余力を残す」なんて考えは毛頭ないのだろう。4人の個性を混ぜ合わせたハリケーンのような音で、観客を魅了していった。
その後も攻めの勢いは止まらない。「All The Young Rock‘N’Rollers」で声のビブラートに色気を香らせたかと思えば、「KINZOKU Bat」では魂の叫びのように“ぶちのめしてくれ”と刻み付け、強気なギターを「God Speed You Baby」で魅せつける。リズムが変わっても、サウンドが変わっても、テンポが変わっても全くぶれない“a flood of circle”というカラー。MCで佐々木は「昔の曲も今やったら今日の気分でやるしさ、今日の曲になるわけ。(中略)今日のための俺たち、今日のための曲っていうそれだけのことなので」と話していたが、ビートや構成を自由自在に乗りこなす姿は、まさしくその言葉を体現しているようだった。「BLUES NEVER DIE(ブルースは二度死ぬ)」では愛機のホワイトファルコンを降ろし、ハンドマイクで歌唱。「10年前より、今日のがヤバい。その証、アオキテツ」という紹介を受けかき鳴らされるギターソロは、10年間の時の流れを感じさせると共に進化してきた彼らを感じさせる激情があった。
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